地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

 3月8日、選択的夫婦別姓の実現を求めて、12人の原告が東京と札幌で集団訴訟を起こしました。この問題については、過去に何度も争われており、2015年の最高裁判決では「社会に定着しており、家族は社会の自然かつ基礎的な集団単位と捉えられ、その呼称を一つに定めることには合理性が認められる」などとして現行制度を合憲とし、姓に関わる制度のあり方は「国会で論ぜられ,判断されるべき事柄」としました。2021年の最高裁決定も「判断を変更する理由はない。国会で論じられ、判断されるべき事項だ」としています。ただ、裁判官15人のうち、2015年は5人、2021年は4人が「共働きが急増する中で、夫婦とも改姓せずに氏名を使う重要性は切実なものになっている。」など、違憲と判断しています。

 さらに同じ3月8日、選択的夫婦別姓の実現を求めて、経団連、経済同友会の担当者らも同行して企業経営者ら1000人の署名が政府に提出されました。

 選択的夫婦別姓の実現を求める意見書を採択する地方議会も増えていますが、一方、保守派の自民党議員の中には反対の声も強いようです。旧統一教会の政策協定の中に、夫婦別姓に反対する項目もあったともいわれています。

 

戸籍制度の機能維持の工夫が必要

 私は、選択的夫婦別姓に基本的に賛成で、当事者の意向を尊重すべき問題だと考えています。反対派の主張する理由の多くは、取るに足りないものだと思います。

 伝統的な家族制度などといっても、日本人の多くは明治以前は姓など持たずに家族をやっていました。他国の状況を見ても、日本だけ特殊とは思えません。最初は抵抗があるかもしれませんが、単なる慣れの問題でしょう。私の孫たち(娘の子)は私とは姓が違いますが、かわいい気持ちに変わりはありません。

 しかし、相続などを考えると、戸籍制度の機能は維持しなければなりません。戸籍の単位をどうするか、工夫が必要です。

 おそらく、法務省の担当部署等も既に検討を始めているでしょう。政府が早く制度改正の方針を打ち出し、その案を示していただきたいと思っています。

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 自民党の派閥政治資金パーティー券を巡る裏金問題で、下村元文部科学大臣の政治倫理審査会への出席が一つの焦点になっています。彼は、出席の意向を表明したり、それをあいまいにしたりしていたため、政倫審の野党側の幹事らが、意向を確認するための文書を送付していたとのことです。それに対して下村氏本人から野党側理事に電話があり、「政倫審に出席する意思はある。党と相談した上で政倫審会長に申出書を出す。」と返答したことを野党の筆頭幹事を務める立憲民主党の寺田議員が、3月8日、公表しています。

 一歩前進ではあるのですが、「党と相談した上で」というのが気にかかります。一連の彼の動きは、政倫審出席をちらつかせて、それを阻みたい自民党からなるべく多くの見返りを引き出そうとする動きにも見えます。

 

下村氏の政倫審出席は当然だ

 彼は、安倍元首相の死亡後、キックバックを求める議員らへの対応を協議するために集まった安倍派幹部の会議にも参加していたとされており、他の幹部らの証言があいまいであったり食い違ったりしている以上、下村氏にも証言を求めることは当然です。

 彼は、安倍派後継者を目指していましたが、幹部からも外され、森元総理や幹部連中への恨みを募らせていたとも報じられており、失うものはあまりありません。洗いざらい暴露され、これ以上騒ぎが大きくなることを恐れる自民党などから、阻止しようとする動きがあるという報道もあります。ありそうなことです。

 下村氏が政倫審に出席して、当然知っているはずのことをすべて明らかにしてくれることを期待していますが、彼の言う「党と相談した上で」というのが、どこまで話すかを党とすり合わせることまで含むとすれば、あまり期待はできません

 彼にとっては、政治家として注目を浴びる最後の機会かもしれず、国民の側に立ったさわやかなふるまいをお願いしたいものです。

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 3月2日(土)から3日(日)にかけて、多くのメディアが、政府がデフレ脱却を表明する検討に入ったと報じました。複数の関係者への取材から分かったとのことです。春闘で物価高に見合う賃上げが実現するかどうかや物価の見通しなどを見極めて判断するとのことです。くれぐれも、岸田政権の成果にしようなどという政治的な思惑で判断しないよう願いたいものです。

 

多くの人はしらける

 仮に今、岸田政権が何らかの形で「デフレ脱却」を表明しても、多くの人はしらけるだけでしょう。デフレを脱却したという実感を伴っていないからです。

 春闘の状況を見極めるとのことですが、多くの中小企業は春闘とは無縁です。それらの従業員は、賃上げなどないか、物価上昇に追いつかない程度の賃上げしか得られないでしょう。

 最低賃金に近い給与で働いている労働者は、最低賃金が引き上げられた相当分程度の賃上げはあるでしょうが、あの引き上げ率も物価上昇率に及ばないものだったため、「デフレ脱却」など実感できないでしょう。

 先日、日経平均株価が史上初めて4万円を超えたとき、メディアが「街の声」を拾って紹介していましたが、景気回復を実感している人はほとんどなく、「景気回復なんてどこの国の話だ?」としらけている印象でした。

 こんな状況で「デフレ脱却」など表明されても、自分たちは置き去りにされたという気持ちになってしまい、それが政権への怒りに転化しかねません。

 

 たしかに、「デフレ脱却」宣言のようなものを出すことで、心理的な効果が期待できるかもしれませんが、それは、多くの人が景気回復の兆しを感じている場合に限られると思います。最低賃金の伸びがが物価上昇を上回らなければ、底辺にいる人たちはそんな兆しを感じられないでしょう。

 政府は、企業等に賃上げを「要請」するのではなく、最低賃金引き上げによって「義務付け」なければなりません。

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