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 この本は、ことさらに歴史の常識を覆す事実を並べ立てている本ではありません。古文書に残された当事者の肉声から、歴史に記されていない舞台裏を覗いて楽しんでいる本です。

例えば、明治天皇の皇后のお付きの世話役が、皇后が京を出て新しい首都である東京に定住するまでを記した日記から、皇后がどこで何を食べ、どこの風景に心を動かされたかを解説しています。

とはいえ、私が理解していた歴史と異なっていたこと、知らなかったことが、たくさんありました。

 

まず一つは、三方ヶ原の合戦です。通説では、武田信玄の軍勢が徳川方より圧倒的に

多かったことになっています。それは、織田の援軍が3000人ということがベースになっているものですが、徳川の重臣だった酒井家の記録では織田の援軍は約2万とされ、甲陽軍鑑でもそれを裏付ける記載があるそうです。そうすると両軍の兵力は拮抗していたのに徳川家康が敗れたということで、徳川家にとっては具合が悪いので、江戸時代に現在の通説が作られたのだろうということです。やはり、歴史は勝者が作るものなのです。

 

 もう一つは、昭和20年の宮内省主馬寮の職員が記した日誌によるものです。太平洋戦争末期の空襲では、皇居も大きな被害があり、4月の空襲では雅楽奏者ら2名、5月の大空襲では33名の職員が犠牲になったとのことです。皇居でこれほどの被害が発生していたことなど、私は全く知りませんでした。

 

 ほか、豊臣秀頼が秀吉の子ではなさそうなことを古文書から考察、古文書の中から発掘された美談から映画『殿、利息でござる!』が製作されたいきさつなど、雑多と言えば雑多ですが、興味深い話がいくつか載っています。

 私も古文書が読めればいいなと思います。たまに、県や市の生涯学習の講座で、古文書の解読のコースを募集していることもありますが、古文書どころか、現代の崩し字も読めない状況なので、きっと落ちこぼれると思い、躊躇していました。

 古文書が読めれば、役所の仕事でも役立つ場面があったと思います。もっと若いころ、古文書の読み方を学んでおけばよかったと後悔しています。

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