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 「地球儀を俯瞰する外交」とは、安倍総理が自らの外交姿勢を言うときに近年お気に入りにしているフレーズで、最初に用いられたのは2013年の第2次安倍内閣の所信表明とされています。首相官邸のホームページで、今も使われています。

私は、このフレーズを聞くと、いつも「沈黙の艦隊」(かわぐちかいじ)を思い出します。20数年前に大人気を博したあの名作漫画です。

 あの最後に近い場面で、海江田艦長が国連総会で演説し、テレビ中継で世界中の人に呼びかけます。「ロシアに生きる人類!」「パプア・ニューギニアに生きる人類!」・・・と、原稿を読むことなしに、日付変更線から西に向かって一つ一つすべての国の人々に呼びかけ、呼びかけられた人々は胸を熱くします。

 それを目にしていたアメリカの大統領が、「光の届かぬ深海で・・・。小さな国々まで記された地球儀を頭に入れてあの男は戦っていたのだ!」とつぶやくのです。

 読んでいて私も胸が熱くなる名場面です。

 

 あのような感動的な状況を描写すべき表現なのに、安倍首相が特に崇高な理念も持たないままに、単に各国を手当たり次第に訪問していることの正当化に使っていることについて、少し腹立たしく思っています。イメージの盗用と言ってもいいかもしれません。

 

 それにしても、誰があのフレーズの使用を思いついたのでしょう?きっと、総理のブレーンの一人で「沈黙の艦隊」を読んで感動した人だと思います。安倍総理自身ではないでしょう。

 「背後」を「せいご」と読んだり、「云々」を「でんでん」と読んだりする人が、「俯瞰する」などという難しい言葉を思いつけるはずがありません。

 

 私は、「沈黙の艦隊」を読んだ時のさわやかな感動が汚されてしまったような残念な気持ちです。あの作品を読み返すたびに、きっと安倍外交を思い浮かべてしまうでしょう。もう取り返しがつきません。

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