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 新潟県長岡市で、118日、官製談合等の容疑で、市の工事検査監や県議会議員の秘書、工事業者らが逮捕されました。報道によると、工事検査監は、県議会議員秘書の依頼に応じて工事価格(予定価格)を漏らし、工事業者はその情報をもとに最低制限価格ぴったりで落札したということです。
 さらに、29日、兵庫県西宮市でも、官製談合の疑いで市の下水建設課の職員や工事業者らが逮捕されました。事件は、長岡市とおおむね同じ構造で、職員が設計価格を漏らし、業者がその情報をもとに、最低制限価格を4万円上回る2億5千万円で落札したというものです。

 情報を漏らした市の職員等が悪いことはもちろんですが、制度上の問題を指摘したいと思います。それは、最低制限価格を高く設定しすぎていることです。

 

最低制限価格とは

 最低制限価格は、粗雑な工事を防ぐため、入札に際して発注者が設ける落札の最低金額です。製造や請負の契約のための入札の際に設定することができますが、物品購入などの入札の際は設定できません。これを下回る金額で入札した場合は失格になります。

 一方、予定価格は、落札の上限額であり、これを超えれば落札できません。つまり、予定価格以下、最低制限価格以上の金額で、一番低い金額を入札した者が落札します。だから、最低制限価格で入札すれば、ほぼ確実に落札できます。「ほぼ」と書いたのは、複数者が最低制限価格で入札してくじ引きになることもあるからです。

 最低制限価格は、積算した工事価格から、事業者のもうけに当たる諸経費などを削ぎ落して計算することが本来の趣旨ですが、一律に予定価格の90%とか、3分の2とかで設定する実態になっている団体も多いようです。

 

長岡市の最低制限価格

 市のホームページに、201612月から適用されている長岡市の最低制限価格の設定方針が公表されていました。

 それによると、130万円以上の工事が対象で、次の基準で設定するようです。

1. 算定式:非公表
2.
制限価格:予定価格の70%~90%(現行どおり)
 算定した結果が予定価格の90%を超えた場合は、予定価格の90%となります。

 

 工事価格(予定価格)が分かれば最低制限価格もピッタリ分かったようなので、実態としては、予定価格の90%を最低制限価格とすることがほとんどだったのかもしれません。
 西宮市の手法も、似たような手法のようです。国のモデルに準じているのでしょう。

 

 そもそも、最低制限価格は、その趣旨から、工事の実費だけは賄えても儲けは出ない水準に設定すべきものです。多くの業者が契約したがる価格(ちゃんと儲けの出る価格)を最低制限価格に設定するから、こんな事件が起こるのです。

 このような設定方法は、長岡市、西宮市だけでなく、多くの地方自治体で行われているようです。

 予定価格の90%もの価格を最低制限価格に設定するのは、建設業者の利益を守るためです。納税者の利益は損なわれています。このようなやり方が制度化されているのは、建設業界と行政とのなれ合いの結果だと思います。ただ、市町村などの場合、単純に国や都道府県に準じているだけかもしれません。

 

 皆様の自治体では、最低制限価格をどんなやり方で設定していますか?

 入札後に予定価格や最低制限価格を公表している団体ならば、すぐ分かりますが、近年は、非公表の団体が多いようです。それでも、最低制限価格未満で失格した入札と、落札価格を見比べれば、おおよそは推測できます。

 事件が起こる前に、正すべきは正された方がいいと思います。

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