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 地方公務員の退職手当は、それぞれの退職手当条例で定められており、額の水準は団体ごとに異なりますが、制度自体は共通する部分がほとんどです。

 常勤職員(定年後の再任用職員等を除く。)が退職した場合に支払われますが、支払われない場合がいくつかあります。

 一つは、不祥事で懲戒免職になったり、失職したりして、全額について「退職手当の支給制限処分」を受けた場合です。以前は、懲戒免職処分などになると退職手当も無条件で不支給でしたが、現在の制度では、支給制限処分という別の処分が行われます。

 「退職手当支給制限処分」参照

 

 もう一つは、退職した日やその翌日に、国家公務員や他の地方公共団体の職員になった場合です。これらの場合は、退職手当の通算規定のある団体が大多数です。この通算規定があると、その時には退職手当は支払われず、次に採用された団体を退職する時に期間を通算して支払われることになります。

 

定年退職の場合等は不合理

 この通算規定は、国と地方、地方団体相互(県と市町村)などの人事交流を円滑に行うためのものです。別の団体に出向して修行し、その後、元の団体に戻って活躍した後に退職することを想定した制度です。

 都道府県の課長や部局長に中央省庁の職員が出向し、その後古巣に戻ることを想定すれば、このような制度は有効でしょう。しかし、定年退職や勧奨退職の場合を考えると、非常に不合理です。

 国や県を定年等で退職した職員が一定のスキルを持っている場合、他の団体が任期付職員として採用したい場合があります。任期付職員には、定年が適用されません。そのような場合に、この通算規定が支障になります。何十年もの退職手当を肩代わりするなど、不合理です。

 採用を1日空けて、4月2日採用とするなどで、通算規定を逃れる例も聞きます。医師などは、団体によって定年の年齢が異なる場合があるので、ある自治体の公立病院を定年退職後、他の団体に採用される例もあり、このような手法が使われます。

 

 通算規定は、定年退職や勧奨退職の場合は適用しないように制度改正すればいいのです。本当は、国が国家公務員退職手当法を改正すれば、地方公共団体も追随するのでしょうが、国が動かなくても、各団体の判断で条例のこの部分を改正してしまうべきでしょう。

 我が団体では、改正するべく、検討しています。

 

某団体の退職手当条例の例(参考)

(勤続期間の計算)

第〇条 退職手当の算定の基礎となる勤続期間の計算は、職員としての引き続いた在職期間による。

2〜4 省略

5 1項に規定する職員としての引き続いた在職期間には、職員以外の地方公務員又は国家公務員 (以下「職員以外の地方公務員等」と総称する。)が引き続いて職員となつたときにおけるその者の職員以外の地方公務員等としての引き続いた在職期間を含むものとする。(一部省略)ただし、退職により、この条例の規定による退職手当に相当する給与の支給を受けているときは、(一部省略)その者の職員としての引き続いた在職期間には含まないものとする。

(職員が退職した後に引き続き職員となつた場合等における退職手当の不支給)

第〇条 職員が退職した場合(一部略)において、その者が退職の日又はその翌日に再び職員となつたときは、この条例の規定による退職手当は、支給しない。

2 職員が、引き続いて職員以外の地方公務員等となつた場合において、その者の職員としての勤続期間が、職員以外の地方公務員等に対する退職手当に関する規定又は退職手当の支給の基準により、職員以外の地方公務員等としての勤続期間に通算されることに定められているときは、この条例による退職手当は、支給しない。

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