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 2017年の本屋大賞にノミネートされ、新聞のランキングなどでも売れている本としてかなりの間ランキング入りしていました。広告でも「4度泣ける!」とされていたので、本当かどうか読んでみたいと思っていました。

 

作品の概要

 ある喫茶店のある席に座ると、望んだとおりの時間に戻れるという設定です。しかし、そこにはいくつもの厄介なルール、法則があります。

中でも、過去に戻ってどんなに努力しても現在の状況は変えられない、過去に戻ってもその座席から離れてはならないという二つの制約は、一般に人が過去に戻りたいと思う動機のほとんどを無にしてしまう厄介なものです。

この作品には、それでも過去に戻りたいと願い、戻った人たちを巡る4つの話が収められています。この続編の「この嘘がばれないうちに」も同様の構成です。それぞれの小話は、相互に関連し、全体としてストーリーを形成しています。

 

本書の第1話「恋人」は、結婚を考えていた彼氏と別れた女性が、せめて自分の気持ちを伝えたいと思い、別れの場面へ戻る話です。

第2話「夫婦」は若年性アルツハイマーで記憶が消えていく男の妻(看護師)が、まだ妻のことを分からなくなる前の夫に会いに行く話です。

第3話「姉妹」は、家出した姉が、自分に会いに来た帰途に事故死した妹に会いに戻る話です。

第4話「親子」は、心臓に疾患があるため出産後に死んでしまうだろうと覚悟している妊婦が・・・。ネタバレになりそうなので、この辺にしておきます。

 いずれも、起ってしまった外形的な現実は変えられなくても、心の持ちようが変わることで、幸せになることができ、その後の生き方を変えることができるということが、作者の訴えたいことであり、このシリーズのテーマなのでしょう。

 

感情の運動不足解消のために

 精神科医の和田秀樹さんの話では、感情の老化が全身的な老化の引き金になるということです。人は、壮年期になると仕事のストレスなどでイライラしがちで、そんな状態ばかり続くと脳の中の前頭葉が萎縮し、感情が老化して、意欲に乏しくなってしまうとのことです。それを防ぐには、時々は、笑ったり、ハラハラしたり、感動したりする機会が欲しいところです。

 

実生活では、特に年を取ると、笑ったり感動したりする場面が減ってしまいがちです。私もそれを自覚し、実生活では機会が少ない感情を読書で補うようにしています。

 「感動」したくて本書を手に取りましたが、期待にそう内容でした。

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