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 自治体の会計等担当職員のバイブル「地方財務実務提要」第8章に次のような質疑応答があります。

問 入札執行に当たり、議員が立会うことは適当でないと思うがどうか。

答 入札の執行は、自治法第149条の規定により地方公共団体の執行機関である長の権限に属する事務であり、議員が議員又は委員として入札に立会う権能はない(昭28.413、昭32.8.1行実)ものです。

  したがって、貴見お見込みのとおり。

 

 このQ&Aの前には、監査委員についての同様の質問があり、それには、長の権限に属する事務だから、長の判断によるとしており、長が入札の執行を妨げる恐れがないと判断して立会いを許可した場合には可能であると論じています。

 また、このQ&Aの後には、一般人の傍聴についても、長の判断で認めることも可能としています。

 

 議員についてのこのQ&Aについて、前段は全く問題ありません。入札の執行は長の権限であり、議員には立会う法的権能はないという行政実例は、当然のことです。

しかし、後段「したがって、貴見お見込みのとおり。」は、論理が飛躍しています。長の権限ならば「長の判断による」という監査委員についてのQ&Aと同様の回答の方が、論理的です。

議会や議員の権能として入札に立会うことを認めたり、制度化したりするとすれば、地方自治法に違反するでしょうが、長が許可して立ち会わせ、見学してもらうことは何の問題もないはずです。

監査委員や一般住民なら立会って見学させてもいいが、議員だけはダメというのは、バランスを欠いています。「議員としてではなく、一住民として立会わせろ!」と言われたら、どうするのでしょう。また、実際の入札がどのように行われているか見学することは、議員さんにとっても参考になるでしょう。

 

 入札を公明正大に行っているなら、議員でも誰でも見学していただけばいいのに、余計なトラブルを起こさせかねない変なQ&Aだと思います。

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