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会計年度独立の原則、予算単年度主義の一人歩き

 地方自治体が結ぶ契約の中には、相手方と単価だけを契約し、実際に発注して初めて債務が発生する、いわゆる単価契約という種類があります。コピー用紙とか、文房具、ガソリン、灯油などの購入のために、多くの自治体では単価契約を結びます。その契約を結んだだけでは自治体の債務は発生しないため、支出負担行為には該当せず、「予算の執行」にも該当しません

 したがって、会計年度独立の原則とか、予算単年度主義とかに関係なく、いつ契約しようと、地方自治法上の制約はないものです。実際、法令をきちんと解釈して運用する自治体では、繁忙期を避けるため、1年間の単価契約を10月から翌年9月までの1年間で結んだりしています。

 しかし、あまり法令を読まない自治体では、予算単年度主義の名のもとに、このような契約まで41日付けで結ばないといけないと考え、そのように運用しています。そのような残念な自治体は、かなりの数に上ります。

 

地方自治法の関係条文

(会計年度及びその独立の原則)

第208条  普通地方公共団体の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。

 各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもつて、これに充てなければならない。

 

(支出負担行為)

第232条の3  普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為(これを支出負担行為という。)は、法令又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。

 

 読めば御理解いただけると思いますが、支出負担行為に該当しない契約は、どんな期間、時期に契約しようと、制約はないのです。

 

41日付け単価契約の弊害

 41日から実施したい単価契約を41日付けで締結しようとする場合、長期継続契約などを41日付けで結ぼうとする場合と同様の弊害を生じます。

41日付け契約の弊害 長期継続契約の運用」参照

つまり、不適正、業者との癒着、日付の遡りなどの違法行為の誘発、競争の阻害などの原因になってしまうのです。

契約期間を41日から1年間にしたければ、それはいいでしょう。しかし、契約日を41日にしようとすれば、上述のような不都合は免れません。

前年度中の適当な時期に入札などの契約準備をし、3月中に契約を締結すればいいのです。

 

年度を超える単価契約

暖房用の灯油の単価契約を考えてみましょう。4月くらいはまだ寒いので、4月末くらいまでの契約期間は欲しいところです。そんな場合は、例えば11月から4月末までを契約期間にするべきです。わざわざ3月末でいったん契約を終わらせ、41日から結びなおすのは、無駄な作業でしょう。

  こういう契約は、地方自治法などによって、禁止されていませんが、禁止されていると錯覚して「自粛」している自治体がたくさんあるのが実態です。
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