政策課題はたくさんありますが、私が現在最も心配しているのは、地域の医療崩壊をどう防ぐかという問題です。診療報酬の相次ぐマイナス改定や医師偏在の問題などにより、多くの地方の医療機関が存亡の危機に立たされています。
深刻な医師不足
医師が大都市に集中し、地方圏、特に過疎地などで医師が不足する問題は、以前からありました。しかし、多くの地方の医療機関では、病院長や自治体幹部が大学の医局に頭を下げ、医師を回してもらうことによって医療を維持してきました。
しかし、働き方改革に伴い医師の超過勤務を基準内に収めようとすると、大学病院自体で大量の医師が不足し、地方の医療機関に医師を回す余裕がなくなってしまいました。
大学の医局から、今年度末での医師の引き上げを通告されている病院、診療科の噂は私の周辺でもあちこちで聞こえ、かなりの数になっているのだろうと想像しています。他のルートで医師を探すことも、うまくいっていない場合が多いようです。
地域にとっては、医療崩壊が間近に迫っている感じです。
医師不足は政府の責任だ!
1960年ころまでは、日本の医師数は西欧各国と同程度でした。それが、1982年、1997年に医師数を抑制する閣議決定が行われ、その結果、今ではOECD各国の平均より3割ほど少なくなってしまいました。
1980年ころまでは医学部定員は拡大してきましたが、見直しの動きが出始め、1982年に鈴木内閣が「今後における行政改革の具体化方策について」を閣議決定しました。その中で、医師・歯科医師が過剰とならないよう適正な水準とするよう検討を開始するとされました。その閣議決定に伴い1986年に旧厚生省、文部省において医学部定員の10%削減を目指すことが決定され、順次削減が行われました。
さらに、1997年、橋本内閣が「財政構造改革の推進について」を閣議決定し、医学部定員の更なる削減に取り組むこととして、その後も削減が実施されました。
2006年ころから地方での深刻な医師不足に対応するため、地域枠などで定員増を認めるようになりましたが、焼け石に水といった状況です。
その結果、日本の医師(特に病院勤務医)の労働時間は殺人的なレベルに達しており、医師の過労死も珍しくありません。
地域の医療崩壊は、医師の長時間労働の問題を無視して医師数を抑制し続けた政策、医師の偏在を放置し続けた無策によってもたらされたものと言わざるを得ません。
政府は、どう責任を取るつもりなのでしょうか?
医師以外のスタッフも不足
地方、特にへき地や離島の医療機関では、看護師、薬剤師はもちろん、理学療法士、作業療法士、栄養士、調理員、介護職員、事務職員など、あらゆる職種の職員が不足しています。調理や請求業務などを外部委託しようとしても、委託業者自体が人員不足に陥っているなど、担い手がいない状況の地域もあります。
日本全体の人口、特に生産年齢人口が減少する中で、過疎が進む地域では、どうやって地域医療を守っていくのか、苦慮している状況です。外国人労働者の受け入れが始まっている職種もありますが、限られています。
スタッフ不足のために、一部の病棟や診療科を閉鎖している病院も、私の知る範囲でもたくさんあります。この状態が進めば、せっかく医師がいても、病院を閉鎖せざるを得ません。
今からでは手遅れの感もありますが、早急に国レベルでの対策が必要です。
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