地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2018年01月

   サイト案内(目次)   


 立憲民主党の枝野代表の国会での質問に対する答弁で、安倍首相が、佐川国税局長の更迭を拒否したとのことです。「適材適所」とのこと。財務省には、よほど人材がいないのでしょうか?

 

税務署職員の士気に影響している

 初めから危惧されていたことですが、やはり、証拠書類の提示を求められた納税者などが、「書類は廃棄しました。」「廃棄しましたが、適切に処理しております。」などと応答することが多くなり、税務署員が対応に苦慮しているそうです。私の知り合いの税務署員もこぼしていました。

 これでは、税務署の職員の士気を下げてしまいます。

 就任以来会見も開かず、マスコミを避け、納税者の納税意欲をそぎ、税務署員の士気を下げる長官のどこが適材適所なのでしょうか?

 

 彼が国会で説明したことのうち、森友学園側と売買代金を提示しての交渉(すり合わせ)はなかったと言ったこと、廃棄したはずの資料が廃棄されずに残っていたことの、少なくとも2点は、虚偽であったことが明らかになっています。そのことについて、何の説明もされていません。

 

佐川局長を擁護する立場からの理屈を推測してみても

 彼の国会での説明は、組織の部下(近畿財務局など)からの報告をそのまま答えただけである可能性は考えられます。しかし、そうだったとしても、調査がいい加減であった責任は免れません。また、その説明が誰からなされたかを明らかにしないと、真相の解明はできません。真相解明を妨げていることの責任は、多大です。

 彼が、部下をかばっている可能性もないわけではありません。しかし、いざ事件になった場合は、包み隠さず洗いざらいにすべてを公にすることは、行政の鉄則です。今回、国有財産が極めて低廉な価格で売払われようとした事件であり、誰の責任でそのような判断をしたのか、組織の責任で明らかにし、責任者は処罰されなければなりません。それをするのが財務局という組織の長だった佐川氏の責任であり、できなければ自ら責任を取るべきです。

 

誰も説明責任を果たしていない

 安倍首相も、「丁寧に説明」と口先では言われていますが、今回の枝野代表に対する答弁にしても、安倍首相も麻生財務相も全く説明責任を果たしていません。これほど税務の現場を困らせている人事がなぜ「適材適所」であるのか、丁寧な説明をすべきではないでしょうか?

 

 佐川氏らにも御家族がいられると思うと、内心気の毒にもなります。これまでは、自慢のお父さん、自慢の息子だったのでしょうが・・・。

 官邸が佐川氏を更迭できないのは、よほどばらされたくない弱みがあると推測せざるを得ません。

   サイト案内(目次)   


 河野外相が、演説で、竹島はわが国固有の領土と主張したことに抗議し、撤回を要求しているとの報道です。外相の話した内容は、当たり前のこと過ぎて、日本国内ではほとんど報道されていませんが、韓国は敏感に反応したようです。

 日本政府、あるいは、河野外相が撤回するはずもなく、韓国政府もそれは承知しているはずで、撤回要求は単なるポーズです。

 以前から、竹島問題については、国際司法裁判所(ICJ)に単独でも提訴すべきだと考えていました。韓国が応訴しないため、実際の手続には入らないでしょうが、それでも提訴すべきです。問題はその時期だけで、遠からずチャンスは来ると思うので、準備を怠らないようにしていただきたいと思います。

 

提訴すべき理由

1 国際法上の正当性は日本側にあること、日本は武力に訴えるつもりがなく法廷での決着を希望していること、日本は国際正義に反することを求めているわけでないことを世界に示すことができる。

2 韓国内で、応訴せずに占領を続けていることについての自国の正当性に疑問が生ずる可能性がある。韓国内では、過去の歴史について捏造した内容の教育がされているので、多くの韓国人が本気で自国の正当性を信じているようである。その嘘をどんどん暴いていく必要がある。提訴によって、情報発信の機会が得られる。

3 竹島を返さない限り日本からは何も期待してはいけないことを、韓国に示すことができる。

4 韓国との関係がこれ以上悪化しても、日本にとっての悪影響は少ない

 

提訴の時期の条件

1 韓国で親日的な政権は考えにくいが、現在のように露骨に反日的な政権の方が提訴しやすい。何か新たに反日的な政策をとった時が、アメリカなどの理解を得やすく、提訴のチャンスである。

2 最大の障害が、北朝鮮問題で、これがあまり緊迫しているときは、提訴しにくい。現在でも、有事の際に自衛隊が邦人救出のために韓国の港を使用することに難色を示しているとのことであり、日本としては失うものはない状態だが、アメリカが嫌がると思われる。

 

 なるべく早い時期に提訴すべきと思われますので、国内でも提訴の機運が高まることに期待しています。

   サイト案内(目次)

 昨年(平成29年)5月に地方公務員法が改正され、2年後(平成32年)の41日以降、非常勤職員に関する制度が大幅に変わることになりました。現在、各自治体では、2年後に施行される法律に合わせて、制度の見直しをやっておられることと思います。

 私が現在お世話になっている小規模自治体でも、県の動向を見ながら、見直し中です。

 

現在の非常勤職員

 現在、地方公共団体では、いわゆる正規職員のほか、臨時的任用職員(地方法第22条)、任期付職員(地方公共団体の一般職の任期付職員の採用に関する法律)に加え、いわゆる非常勤の職員と呼ばれる職員がおられます。従来の地方公務員法には、非常勤職員の採用について、きちんとした定めがなかったため、各自治体で様々な実態があります。

 大きく分けて、一般職特別職2種類になります。

 一般職は、法律上の根拠としては、正規職員と同じく、地公法第17条を根拠として採用されますが、正規職員と異なり、1年等の任期が定められています。昔は(今も一部の自治体では)、日々雇用職員と呼ばれることも多かったようです。

 特別職には、長、議員、委員などが含まれますが、一般職員と同じような仕事をする「嘱託員」などが、今回の見直しの対象です。定年退職した職員などが、1日6時間程度の勤務時間で、嘱託員として非常勤で働いている例も、しばしば見られます。また、図書館の館長などの管理職が、特別職の嘱託員等という身分になっている場合も見受けられます。

 

見直しの理由

 最大のポイントは、特別職の嘱託員です。この人たちは、多くの場合、一般職の職員と同じような仕事に従事しています。また、勤務時間も常勤職員と同じ場合もありますが、地方公務員法が適用されず、守秘義務や職務専念義務、営利企業への従事制限等がないのです。そのことの是正が、最大の目的だろうと思います。

 もう一つは、非常勤職員の勤務条件の改善です。非常勤職員には、期末手当等の支給ができず、また、定期昇給などもありません。官製ワーキングプアなどという言葉もあります。

 

一般的な見直し方向

 見直しの方向としては、現在の一般職非常勤職員、特別職の嘱託員を、新たに創設される「会計年度任用職員」という職にまとめ、地方公務員法の適用を受けるようにするという方向でしょう。

 特別職の嘱託員でも、管理職的な業務に従事していた職員については、会計年度任用職員には馴染みにくいので、各団体で何らかの工夫をされることになるだろうと予想しています。

 会計年度任用職員は、期末手当等の支給対象にもなり、契約更新時の昇給も可能なようです。処遇改善は、一般論としては望ましいことですが、従来、パートタイマー的に働き、健康保険や税金などで配偶者の被扶養者の扱いを受けていた人で、それができなくなる可能性を危惧する人もいて、必ずしも歓迎一色でもないようです。

 

 いずれにしても、県や周辺自治体と情報交換しながら、より良い制度を作っていかなければなりません。

 にほんブログ村 政治ブログ 地方自治へ
にほんブログ村 参加しています。


   サイト案内(目次)

 大阪大学の入試で、試験監督の教授が試験中に居眠りをし、いびきをかいていたとして、訓告処分を受けたとのこと。このニュースを聞き、県庁在職中の出来事を思い出しました。

 

 職員採用試験での出来事です。

 私がその部署に在職中、採用試験中に居眠りをする試験監督員は、聞いたことがありませんが、居眠りをする受験生は、時々見たり聞いたりしました。

 

 そのときも、ある専門職(理科系ではない)の採用試験で、最初の教養試験の開始早々に眠り始めた受験生がいたそうです。静かに眠っているなら監督員も放っておくのですが、いびきをかき始めて周囲の受験生が気にしている様子であったため、監督員が脇に行って注意しました。しばらくは静かでしたが、もうしばらくしたら再びいびきをかき始めたため、脇に行って、「周りの迷惑なので、受験を続けられないなら退室してください。」と注意しました。その受験生は、そのまま終了時間まで在室しました。その後の小論文などの試験も受けて、帰ったそうです。

 

 試験の点数は、当然、惨憺たるものだったのですが、数日後、知事への手紙が届きました。内容は、監督員によって受験を妨害されたこと、その職種の仕事に無関係な2次関数の問題などがあって無意味な試験であることへの抗議でした。

 知事への手紙については、担当部署が回答を作り、広報広聴担当課を通じて知事の了解を得て、返事を出すのがルールです。

 私の部署では、当然、いびきをかいて周りの受験生の迷惑になるようなら制止しなければならないこと、2回注意したこと、教養試験の数学は中学生程度の一般的な思考力をみるものであることなど、当方の対応は適切であった旨を丁寧な言葉で説明した回答文案を作成しました。

 一般的には知事が細かく注文を付けるケースも多かったのですが、このケースについては、さすがにあっさりとOKになり、ホッとしました。

 回答後も、さらなるリアクションはありませんでした。

 

 そう若い人ではなく、つぶしの利く職種でもないので、今頃はどうしているだろうと、久しぶりに昔のエピソードを思い出しました。

   サイト案内(目次)

 中国の攻撃型原子力潜水艦が、11011日に尖閣諸島周辺の日本の接続水域を潜没航行したというニュースが流れ、緊張が高まっています。

 当初ニュースを聞いたときは、「またか」と思っただけだったのですが、よくよく聞いてみると、かなり危険な事態だと感じています。接続水域であれば、どこの国の船であれ無害航行が認められており、表立って抗議することもできません。注意を促す程度の対応が普通です。しかし、私も不勉強で知らなかったのですが、潜水艦が潜航しながら入った場合は、無害航行とは認められず、攻撃されても仕方のない状態とのことです。

 中国は、そこまで露骨に尖閣を奪いに来ているのです。

 

なぜ国際司法裁判所(ICJ)に提訴しないか?

 ICJに提訴しないことについて、いくつかの理由が挙げられています。

 まず、日本が提訴しても、中国が応訴しなければ、ICJは裁判を始められない。だから、中国を反発させるだけで、意味がないという理由です。

 次に、日本は、尖閣の帰属については何の争いもなく、日本の領土だと主張しているのに、提訴したら、係争地であることを認めることになってしまうという理由です。

 三つめが、現在日本が実効支配しているのだから、わずかでも失う可能性があるようなことをするべきでないという理由です。

 どれもなかなか説得力のある理由ですが、それでも私は、単独提訴すべきだと思います。理由は、次のとおりです。

 

 単独提訴でも、日本はこの問題について、ICJに委ねる用意があることを公な形で示すことができます。中国がそれに異を唱えるのであれば応訴すればいいのであって、武力で奪いに来れば、無法国家であることを国際的に示すことになります。つまり、中国が武力行使をすることのハードルを上げる意味があると思います。

 また、提訴の仕方ですが、帰属の問題について提訴するなら係争地であることを認めたことになるでしょう。帰属の問題についての共同提訴を中国に働きかけるなどは、論外だと私も理解しています。しかし、中国の艦船がたびたび領海侵入することなどの排除を求める形の提訴はできないのでしょうか?日本の領海であることを前提に、侵犯を繰り返していることの中止を求めるのです。これなら、係争地であることを認めたことにならないと思います。訴訟が始まれば、前提として帰属が問題となるでしょうが、堂々と日本の主張をすればいいと思います。

 「せっかく実効支配しているのだから、わずかでも失う可能性があるようなことは」という意見は、もし国際的な正義の観点から見て、中国側にも多少の理があるのなら、仕方のないことだと思います。日本は、不当な利得を求めているわけではないのですから。

 

 このままいけば、中国がますます行動をエスカレートさせ、危険が高まることは必定だと思います。相手が、武力行使をしてきてからでは手遅れです。

今回の潜水艦の事件などは、単独提訴をする絶好の口実になるのではないでしょうか。

↑このページのトップヘ