地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2020年01月

 連日、しどろもどろの答弁が続く安倍総理ですが、さすがに先日の衆議院予算委員会での迷答弁には議場に嘲笑が広がったようです。

 「桜を見る会」を組み込んだ観光ツアーへの参加を募る文書が地元有権者に送られていたことに関して、共産党議員が文書を示しながら「募集していることはいつから知っていたのか」と質問しました。それに対し、総理は「私は、幅広く募っているという認識だった。募集しているという認識ではなかった」と述べ、募るのと募集するのではどう違うんだなどという下らないやりとりがあったようです。

 この人は、ろくに考えないで言葉を発し、それを訂正せずに取り繕おうとしてますます変なことになるというパターンが多いようです。政治家としてという以前に、社会人として恥ずかしいですね。

 こんなのは笑い話でもいいですが、見過ごせない責任転嫁もあります。

 

内閣府に責任転嫁

 参議院の予算委員会では、「桜を見る会」の招待者に安倍事務所が推薦した人について、安倍総理は「事務所でチェックするといっても限界がある。最終的な責任を負うのは内閣府で、内閣府がふさわしいかどうかを含めて取りまとめている。」と答弁したとのことです。

 実態を無視した、ひどい責任転嫁です。内閣府のトップが自分であることを忘れ、事務方に責任を押し付けようとしているようです。今度は、適切なチェックを怠ったとして、また内閣府の官僚を処分するのでしょうか?

建て前は、たしかに、内閣府が推薦された人が基準に該当するかどうか、どんな功績があったのか、チェックすべきなのでしょう。しかし、安倍事務所が推薦してきた人について、内閣府が、この人はダメとかチェックできるはずがありません。そして、中央省庁をそんなポチの集団にしてしまった最終責任は、総理にあるのです。

 

 総理をかばって書類を隠し続け、嘘をつき続ける内閣府の官僚と、その彼らに無情にもさらに責任を転嫁する恩知らずな総理、いつまでこんな茶番が続くのでしょうか?

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 本書は、前著「日本人の勝算」での主張、すなわち、日本の再生のためには最低賃金を引き上げて中小企業を改革するしかないことについて、反対意見を詳細に論破し、実行しなかった場合の悪夢のようなシナリオを描いて見せています。

 「中小企業改革で再び輝くか、中国の属国になるか」という刺激的な副題がついています。前著でも著者の主張に賛同しましたが、本書を読んで、さらに確信が深まりました。

 『「日本人の勝算」(デービッド・アトキンソン)を読んで』

 

 エビデンスの緻密な積み上げに基づいており、非常に説得力があります。理論的な反論などできないのではないかと思います。

 

国益と企業経営者の利益の不一致

 多少の例外はあるでしょうが、規模の大きい企業の方が生産性が高く、賃金も高いことは否定しようがありません。それでも、人口が増えていた時代は、雇用を吸収するために企業の数を増やすことが国益にかなっていました。

 人口が急激に減少している時代には、人口減少のスピード以上に企業数が減少しなければ、企業の平均規模は縮小し、生産性が低下します。

 生産性に低い企業を退出させて生産性を上げる現実的な方法としては、最低賃金の引き上げがベストというのが著者の考えのようです。私もまったく同感です。

 中小企業経営者としては、従来通り安い労働力を使って生産性が低くても利益を上げられる方がありがたいわけで、国益と企業経営者の利益が不一致になってしまっています。

 「最低賃金を1000円に引き上げたことで倒産してしまうような、低賃金労働に依存した企業は、日本社会にとっても労働者にとってもマイナスでしかないのです。人手不足下でもあり、倒産してくれたほうがありがたいくらいなのです。」等、反発する人は多いと思いますが、これ以外の処方箋はないような気がします。

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 2019年末から翌年始にかけて、米国とイランの武力衝突の激化が懸念されましたが、双方が自制し、安堵しています。今回の危機は、米国が突然イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官をドローンを使った攻撃で殺害したことが直接の原因です。

 トランプ大統領は、当初、司令官がアメリカ大使館への攻撃を企図していたなどと主張していましたが、差し迫った脅威などなかったことが米国政府内部から明らかになっています。このあたり、米国行政組織の健全性、良識を感じます。日本の中央官庁も見習っていただきたいものです。

 

少しさかのぼっても

 今回の両国の対立に至った原因は、イランが核開発を制限することと引き換えに経済制裁を解除していたオバマ政権による合意を、20186月にトランプ政権が一方的に破棄したことです。

 この一方的な破棄には、ヨーロッパ各国なども反対していたのを、トランプが強行したものです。

 

そもそもの原因は

 さらにさかのぼると、英米がパレスチナにイスラエルを建国させたことイスラエルが核兵器を保有したこと(フランスが協力したと言われている)が原因でしょう。あの地域で、イスラエルが核を持つ以上、イランやイラクも持ちたくなる気持ちは理解できます。

 

 結局のところ、イランは欧米に翻弄されている犠牲者だと思います。私もイランやイラクが核を持つことは不安で、反対ですが、一連の対立についてはイランに同情しています。

 トランプ政権の予測不可能性、危険性についても、恐怖を感じています。

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 年が明け、IR誘致に関する汚職河合前法務大臣夫妻の公職選挙法違反事件等に関し、次々と新たな事実が明らかにされています。「桜を見る会」の問題と合わせ、政権の末期症状といった状況です。そんな中、令和2年の通常国会が開幕しました。

 施政方針演説で、国民が説明を求めている問題について何も触れませんでした。政策課題にまい進するふりをして説明責任を免れようとする底意が透けて見えます。

 与党もそれに呼応し、野党の代表質問で「桜を見る会」の問題を追及したことに対し、自民党の二階幹事長が「桜はもう散った」などと、この問題の追及を続ける野党に苦言を呈しました。

 野党の支持者でもない私のような国民の多くも、「ふざけるな!」と思っています。説明らしい説明もせずに終わりにするなど、許されるはずがありません。もう2か月もすれば、桜はまた咲きはじめます。

 

「説明を求める」とは「辞めろ」ということ

 世論調査によると、国民の多くが安倍総理等に説明を求めています。しかし、総理が説明できると考えている人は、ほとんどいないでしょう。詳しく正直に説明すれば、総理が政府の行事である「桜を見る会」を私物化していたこと、前夜祭で公職選挙法等に違反することをしていたことなどが明らかになってしまうからです。

 国民の側も、それを承知しながら説明を求めているのは、つまり、「辞めろ」ということなのでしょう。

 

おもしろい展開を期待しているが・・・

 私が今後の展開に注目しているのは、参議院選の際に河合案里候補の陣営に自民党本部から1億5千万円もの資金が提供されていたことがバレた件です。この額は、同じ広島県選挙区の自民党の現職候補(落選)に提供された額の10倍という常識外れの金額合法的な選挙運動だけでは使い切れない金額とのことです。

 これは、落選された候補者、その派閥の親分である岸田氏は、怒り心頭でしょう。ここまでされて怒って暴れなかったら、岸田氏の求心力が危険になるでしょう。誰がこのような不公平なことをしたか、自民党内のコップの中の嵐を楽しみにしています。

 しかし、「桜を見る会」は総理自身の直接の問題であるのに対し、河合夫妻の問題はそうではありません。総理は、「桜を見る会」への追及が弱まって好都合だと思っているかもしれません。菅官房長官の力を削ぐための総理側の仕掛けだなどとする、うがった見方まであるようです。

 下手なお笑い番組やサスペンスよりおもしろそうですが、子供達には日本の政治の醜さをあまり見せたくありません。

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 「桜を見る会」の招待者名簿等の公文書不適切管理に関し、内閣府が117日付けで職員を「厳重注意」の「処分」をした旨、公表しました。「処分」されたのは、6人です。

 2011年から2017年に人事課長を務めた5人は、招待者名簿を文書管理簿に記載するのを怠ったこと、現人事課長は、昨年11月に参院予算委員会に推薦者名簿を提出した際に推薦部局名を原本から削除し説明もしなかったことに対する責任を問われたものです。

 アンバランスな措置で、本命を追及されないよう幕引きを急いだ印象です。

 

「厳重注意」は法律上の処分ではない

 国家公務員も地方公務員も、法律上の処分(いわゆる「懲戒処分」)は、免職、停職、減給、戒告の4種類だけです。厳重注意とか文書訓告等は、事実行為としての処分とか、矯正措置と呼ばれるもので、懲戒処分をするほどでない微罪に適用されます。懲戒処分は確実に履歴書に記載されますが、厳重注意などは記載されずにその場限りの場合が多いようです。

 懲戒処分であれば次の期末勤勉手当、昇給に確実に影響しますが、厳重注意などの場合は反映させるかどうかは、各省庁、自治体の取扱いによります。また、履歴書に残るわけでなければ、あとでカバーすることもできます。

 今回、内閣府は、誰も懲戒処分にはせず、「厳重注意」という微罪扱いで済ませたようです。

 

処分が軽く、アンバランス

 文書管理簿への記載を怠ったとされる人事課長経験者5人が、厳重注意であることは理解できます。管理簿に記載すべきは課長自身でなく、部下だったでしょうし、単に事務がずさんだっただけとも考えられます。

 しかし、参議院に提出する文書から推薦部局名を削除した行為は、改ざんともいえるもので、少なくとも減給以上の懲戒処分が当然ではないでしょうか?これを他の5人と同じ厳重注意というのは、非常にアンバランスです。現職の人事課長が、お手盛りで決めたということでしょうか?

 また、名簿の保管期限を1年未満に改定した起案者、決裁者、今年度分の名簿の破棄を指示した担当者などは、今回処分された6人よりずっと罪が重いでしょう。何の処分も下されないことは、官邸忖度を是認するもので、あり得ません。

 

 通常国会が始まりました。野党、マスコミは、小細工による幕引きを許さず、追及を続けていただきたいと思います。

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