地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2020年04月

 WHOをめぐって米中がせめぎ合いを続けています。といっても中国はあまり表に出ず、その意を受けたWHOのテドロス事務局長がアメリカの攻撃にさらされ、防戦に努めているように見えます。

 

WTOの中国寄りが露骨過ぎた

 新型コロナウイルスの問題に関するWHOの動き、中国に気を使った対応ぶりがあまりに不自然で、さすがに露骨過ぎました。武漢における感染拡大の初期、中国政府が新型の感染症の発生を隠し、感染拡大防止の対応が遅れたのは、否定しようのない事実です。中国の政府系でないマスコミ、ジャーナリスト等も指摘しており、否定しているのは共産党政権の主流派(習近平系)だけです。その中国政府の対応をWHOが称賛して見せ、世界を唖然とさせました。

 

良識派の国々も

 世界の多くの国々は、アメリカの中国やWHOに対する姿勢にもうさん臭さを感じており、これまではどちらとも距離を置こうとする国が多かったように思います。巻き込まれたくない気持ち、トランプ大統領と同列視されたくない気持ちがあるのかもしれません。各国首脳には知的エリートが多く、その種の人はトランプ大統領に対しては冷笑的であるようですから・・・。

 しかし、WHOの露骨に中国寄りな姿勢や、中国政府が感染拡大の責任を全く感じていないような居丈高な態度を示し続けるのを見て、米国を応援する気運が高まってきたように感じます。フランスも米国によるWHO改革の要求に賛同したという報道がありました。

 

台湾の参加を拒むことは完全な悪

 WHOは、世界の健康、医療等のための組織であり、例えば感染症対策にしても、少しでも多くの国や地域が参加すべきです。政治的な問題を理由に台湾の参加を拒むことに一片の正義もありません。そのことだけをとっても、WHOは正常に運営されている組織とは言えないでしょう。

 WHOの改革が求められていますが、台湾の参加を認めるか否かが、まともな組織になったか、相変わらずダメな組織のままなのかのリトマス試験紙かもしれません。

 日本政府にも、中国政府に過度に気を遣わず、WHOの正常化に向けて努力するようお願いします。

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 本書は、いわゆる明治維新150にちなんだ内容で、賊軍とされてしまった会津の名誉回復を狙った勢力が起こす事件を描いたものです。「戊辰150年の歴史を正す者」から、上野公園の西郷隆盛の銅像を破壊せよとの脅迫状が届くところから物語がスタートします。

 随所に歴史上の出来事が紹介されていて、著者は明治維新には否定的な意見をお持ちのように感じます。私も会津藩などに同情しており、明治維新は評価しておらず、日本の近代化のためにあのような暴力革命は不要だったのではないかと考えています。その点、著者の考えには共感します。

 「平成の薩長同盟?」 参照

 

 しかし、内容は・・・。

 長州出身者が主体となった「長州商事」、会津出身者を主体とする「会津商会」、東武鉄道、東京都などがドタバタ騒動を繰り広げる内容です。正直に言えば、動機などの設定が荒唐無稽すぎて、もはや推理小説、ミステリーとは呼べない内容です。ユーモア小説、コメディーのようなストーリーですが、それにしてはハチャメチャ度、滑稽味が足りず、おもしろくありません。中途半端な内容です。

 十津川警部や亀井刑事もこんな物語に登場させられて、困惑しているのではないかと思います。

 

 西村京太郎先生の十津川警部シリーズを出版すれば、買ってしまう昔からのファンがいて、それなりに売れるのかもしれません。しかし、こんな酷い作品を出版すれば、先生の名声に傷がつくのではないかと思います。私は、読んでいて少し悲しくなりました。

出版社、編集者は、目先の欲にとらわれず、先生の名声を大切にしていただきたいと思います。

 「西村京太郎氏の近年の作品が変だ1 「札沼線の愛と死…」

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 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、地方では苦境に陥っている病院が少なくないようです。遠からず、経営破綻する病院が出るのではないかと心配されています。

 

コロナ以前から

 今回のコロナ騒動以前から、地方の病院は、診療報酬の引き下げ、医師不足、看護師等の医師以外の専門職の不足などで、苦しんでいました。医師の働き方改革の影響で、これまで医師を派遣してくれていた大学病院等が医師を引き上げ、診療科を閉鎖、縮小している病院もたくさんあります。

 

コロナによる患者の減少

 仕事で関係のある病院の話では、コロナ騒ぎの影響で、外来患者数が2割ほども落ち込んでいるということでした。たしかに、病院の待合室で待たされたりするのは感染が不安なので、受診を控えようという気持ちは理解できます。

 コロナに備えて病床を確保するため、手術、入院も急ぐもの以外は控え、収益源の健康診断やドックを中止している病院も多いようです。

 

 このままでは、資金不足に陥る病院が出るのではないかと関係者が不安に思っています。

 なお、病院関係者の話によれば、深刻な不足が続いているマスクは、410日ころから国や県から届き始め、一息つけたようです。それだけは喜んでおられました。

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 広島県の湯崎知事が、421日、国が新型コロナ対策として全国民に一律給付する10万円について、県職員が受け取る分を寄付してもらい、県の新型コロナウイルス対策の財源にしたいという意向を表明しました。

財源が不足しているという現状は理解できますが、雇用主が従業員に寄付を割り当てるなど労働法の視点から問題があります。それに加え、地方財政法にも抵触すると思われ、いささか無理筋でしょう。ネット上は賛否が分かれているようですが、識者からは冷笑的な声が多かったようです。

この思い付きは、さすがに22日に早くも事実上撤回に追い込まれました。恐らく良識のある県幹部などが忠告したのでしょうが、県職員の懐を狙うことはあきらめていないようです。

 

地方財政法の規制

この法律は、地方公共団体の財政運営、国と地方公共団体や地方公共団体間の財政的な関わり方の基本事項等を定めています。

 その第4条の5では「割当的寄附金の禁止」を定め、その内容は、国は地方公共団体やその住民に対し、都道府県は市町村やその住民に対し、市町村は住民に対して、寄付を割り当てて強制的に徴収してはならないというものです。

 

地方財政法第4条の5(割当的寄附金等の禁止)

 国(国の地方行政機関及び裁判所法(昭和二十二年法律第五十九号)第二条に規定する下級裁判所を含む。)は地方公共団体又はその住民に対し、地方公共団体は他の地方公共団体又は住民に対し、直接であると間接であるとを問わず、寄附金(これに相当する物品等を含む。)を割り当てて強制的に徴収(これに相当する行為を含む。)するようなことをしてはならない。

 

地方財政法の解釈

 戦後の財政難の時代、寄付金の名目に隠れて国や地方自治体による強制的な負担の転嫁が横行していた反省から、上の条文は、国や地方公共団体の行為をかなり広く規制する解釈が通説になっています。

 例えば、「間接であるとを問わず」とは、実行委員会や「〇〇財団」などを設けてそこを介して寄付を集めるような行為を指しています。

 「割り当てて強制的に徴収」は、一体的な観念と解され、「割り当てる」ということは、当然、強制の意味を含むものであるので、本条はこの「割り当てる」という行為自体を禁止し、あわせて「強制的な徴収(これに相当することを含む。)」を禁止しているという解釈です。つまり、割り当てをしても強制的に徴収さえしなければよいと解釈してはいけないということです。

 「強制的に徴収」とは、権力関係を利用して強圧的に寄附をさせるという意味であり、応じない場合に不利益をもたらすべきことを暗示する等社会的心理的に圧迫を加える場合も含むという解釈です。

 

広島県の事例

 広島県の今回のケースは、知事の言葉から、職員一人当たり10万円という目安、目標金額を割り当てたと解釈すべきでしょう。また、ほとんどの職員は、県の住民でしょう。

誰が寄付に応じ、誰が応じなかったか当局に把握されるでしょうから、職員に心理的圧迫が生じることは明白です。

地方財政法の通説的解釈からすれば、今回の広島県知事の思い付きは、違反です。

また、職員団体も、こんな無理筋を許しては存在意義を問われるので、大反対するはずで、実現は不可能だったでしょう。

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 アベノマスクは、4月20日ころから一般家庭にも届き始めたようですが、それに先立って配付されていた妊婦さん向けのものの評判がさんざんで、品質の問題等から配付が一時中断されるという報道です。

 髪の毛が付着している、しみがついているなどの苦情があったようですが、21日の昼の時点で、8000枚近くの不良品が見つかっているとのこと。

 また、学校向けのものにも、虫が入っていたなどで、配付が中断されているようです。よほど品質管理がずさんなようです。

 

厚労省が契約先の公表を拒否

 理解できないのは、厚生労働省が契約相手先を非公表にしていることです。

 大量に発注した高額な契約と思われるので、普通なら一般競争入札に付すべきものでしょう。1500万円を超える物品調達でしょうから、WTO案件かもしれません。

 緊急に調達する必要があるという理由で、入札に付さず、随意契約で調達したとしても、相手先を非公開にできる法律上の根拠が理解できません。

 一般に、国の機関も地方公共団体も、金額の大きい契約を行った際には、相手先や金額を自らホームページ等で公表します。それをせず、野党やマスコミなどからの製造元の照会にも応じないというのは、尋常ではありません。

 よほど尋常でない、ヤバイ契約をしているのではないかと、疑われても仕方がないでしょう。

 

466億円をドブに捨てる?

 私たちはこれまで、マスクなどはどこの国の製品であっても衛生的な環境で製造されたものと信じ、使ってきました。しかし、これほど品質の評判が悪いと、せっかく届いても素直に使う気になれません。一度洗ってから使いたくなりますが、ただでさえ小さすぎて鼻と口を同時に覆うことができないのが、洗うとさらに縮み、使い物にならないようです。

 結局、466億円の血税(といっても当面は借金だと思いますが・・・)を無駄にするのか、契約を解除して、まともなメーカーに乗り換えるか・・・。これほど品質に問題があれば、契約解除もできるのではないかと思います。

 

 契約先を非公開にし続けることなど、できないでしょう。これまでも国民は安倍政権を信頼していませんでしたが、今回のアベノマスク契約相手方隠ぺいにより、さらに不信を募らせています。

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