地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2020年05月

 5月27日に閣議決定された第二次補正予算の中に、医療従事者等への給付金が含まれています。趣旨には賛同できるのですが、医療従事者等相互間の分断、反目を招かないか、危惧しています。

 

 示されている案によると、都道府県から新型コロナ対応の役割を設定され、実際に感染者を受け入れた医療機関に勤めている、患者と接する医療従事者や職員が20万円役割を設定されているが結果的に感染者の受け入れがなかった医療機関に勤める場合は10万円新型コロナ対応に必ずしも従事していない医療機関に勤務して患者と接する医療従事者や職員に5万円などとなっています。

 予算見積もりの想定では、20万円の対象者が79万人、10万円が35万人、5万円が196万人で、合計で310万人です。

 

 具体的な制度の詳細は報道からはよく分かりませんが、このような制度には必ず、支給不支給、金額ランクなどの線引きがあります。

 例えば県立など、複数の病院を経営する経営主体に勤務する看護師さんなどは、どこの病院に配属されているかによって対象か否か、金額のランクが異なります。また、同じ病院に勤務していても、どのセクションに勤務しているかでも異なってきます。

 病院に勤務している知人から聞いた話ですが、救急車で運び込まれた患者に発熱等があったので念のためCTを撮ったら肺炎を起こしていた、しかしPCR検査をしたら陰性だったのでホッとした・・・、などの事例があるようです。救急ではなく、一般外来の患者の中にも咳や発熱のある人はたくさんいるでしょう。

 

 PCR検査も必ずしも正確に判定できるわけではない中、接した患者の中にPCR検査が陽性の人がいたかどうかで支給の有無、支給額が異なる制度は、あまり合理的とは思えません。

 また、都道府県から新型コロナ対応の役割を設定されていない病院で、コロナ患者が発生した場合は、5万円でやむを得ないのでしょうか?

 

 国立、都道府県立病院では、新型コロナの感染者の対応をした場合に、1日3千円ほどの特殊勤務手当を支給することにしたところが多いようです。

 それらも含め、医療従事者間で不公平感が生じたり、反目を招いたりすることのないような制度設計、運用をお願いしたいと思います。反目を生じさせるくらいなら、こんな給付はしないほうがいいと思います.。
 経営が困難になっている医療機関を支援し、間接的に医療従事者を支援するほうがベターだと思うのですが・・・。


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 森友、加計学園の問題から、桜を見る会の問題まで、国民に対して嘘を言い続けてきた安倍総理ですが、検察官の定年延長問題でも目に余りました。

 次から次へと息を吐くように嘘をつき続ける姿は、とても日本人とは思えず、某国人のようです。また、追いつめられると、先のことを考えずに、とっさに嘘をついたり極端なことを言ったりしてその場だけしのごうとする姿は、宿題を怠ける小学生のようです。

 

検察庁は事実経過を明らかにせよ!

 一連の騒動の発端になった黒川前検事長の定年延長について、政権側は、検察庁からの提案だったなどと言っています。最後の形式的な手続として検察庁から内申のような書類が出されたかもしれませんが、言い出しっぺは検察庁ではなく、官邸だったことは、マスコミ等の取材で明らかです。

 黒川前検事長の訓告処分も、当初は検察庁から懲戒処分が必要との意見が出されていた疑いが濃厚ですが、安倍政権は、検察庁の意見に基づいて訓告処分になったと言い張っています。

 官邸の言っていることを真に受けている人はほとんどいないとはいえ、検察庁は、そんな汚名を着せられたままでいいのでしょうか?国民の信頼を失ったダメージを最小限にとどめるためにも、事実経過を明らかにしていただきたいと思います。

 

すぐバレる誤魔化しも

 安倍総理は、訓告処分に基づいて黒川前検事長の退職手当が減額されるような説明をし、一部のマスコミがそれを真に受けて報じていました。実際は、訓告処分を受けたことによって減額されたわけではなく、自己都合退職(普通退職)になったから定年退職と比較して減額になっただけのようです。訓告処分を受けたから減額になるわけではありません。

 制度を知っている人が聞けばすぐにバレてしまうような誤魔化しをなぜするのか、それで国民は誤魔化されると舐めているのでしょう。残念ながら国民の一般的な知的レベルは安倍総理より上で、なかなか誤魔化されません。

宿題は終わらせたと嘘をついて遊びに飛び出す子供はたくさんいます。私もそうでした。しかし、そんなことをして後で自分が困る経験を重ね、成長するにつれてそんなことはしなくなるのが普通です。彼の場合、是正されないまま、老年期を迎えてしまったようです。

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 私の住む市では、新型コロナ対策の特別定額給付金について、5月11日(月)からオンライン申請の受付を開始し、5月22日(金)から支給が始まりました。私も、511日に自宅からネットで申請したので、22日に口座に振り込まれました。

 「マイナポータル初体験」

 

 私は、特にトラブルなく、スムーズに支給され、市の職員に余計な手間をかけさせずに済んで安心しましたが、オンライン申請の不備が多発し、混乱しているようです。市長が、22日から申請書の郵送を始めたのでなるべくオンライン申請を使わないよう市民に呼び掛けています。

 私は幸運にもスムーズにいきましたが、実は不安だった点もあり、このシステムの欠陥を感じました。

 

世帯構成、世帯主が不確か

 我が家は、今年の2月から、独身サラリーマンの息子が勤務の都合で同居しています。それまでは他市に住んでいたのが、転入してきたのです。その際、市が我が夫婦と同一世帯と判断したか、独立の世帯と判断したか、私にも息子にも知らされていないのです。世帯とは、住所と生計を同一にするグループです。息子が、独立生計と判断されれば別世帯扱いもあり得ます。

 また、同一世帯と判断した場合、主として生計を支える世帯主を誰と判断したかも、私や息子には知らされていません。私のように、定年後、年金開始前の境遇では、息子が主たる生計維持者であることもあり得ます。

 「「世帯」「世帯主」とは」 参照

 

 私は、世間一般の常識的判断から、息子も同一世帯、私が世帯主だろうと推測し、私の名前で申請しました。当たっていて幸いでした。

 

システムの不備

 今回、オンライン申請をしようとしてできなかった人の中には、電子証明書の有効期限が切れていた人も多いようです。マイナンバーカードの有効期限が10年、公的個人認証の有効期限が5年と食い違っているのは、不便で、間違いやすいので、改めていただきたいものです。

 また、オンラインで2回、3回と申請し、市の担当の手間を取らせるトラブルが多発しているとのことです。二重に受け取ろうとする悪意があるわけではなく、本当に受け付けられたか心配でもう一回やってしまうようです。こんなことが防げないシステムは、欠陥品でしょう。

 

 今回のことで、マイナポータルの欠陥がかなり明らかになりました。今までは使う人がほとんどいなかったため、気づかなかった欠陥なのでしょう。

 この騒ぎが収まったら、速やかに改善が必要です。

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 新型コロナの自粛要請の中、新聞記者らと賭けマージャンをしていたことが文春に報じられ、東京高検検事長を辞職した黒川氏に対し、退任に先立って「訓告処分」が課されました。世論も起こっていますが、この処分は、地方自治体で職員の懲戒を担当したことのある私の目から見ても、不自然で、軽すぎる処分です。

 

早すぎる結論

 まず、訓告処分が早すぎます。事件が報じられる前の519日ころから法務省では黒川氏への聴取を始めていたようですが、22日にはもう訓告処分を決めてしまっています。黒川氏から聴取した内容のみに基づいて決めてしまったものと思われます。

 相手方、その他の関係者から聞き取りは行っていないでしょう。

 それでは、常習性、賭博性などの判断はできないでしょう。

 調査を尽くさず、全容解明をしないまま結論を急いだようです。

 

軽すぎる

 国家公務員倫理規程では、職務上のつながりのあるマスコミ関係者を「利害関係者」とするピッタリの条項はないようです。しかし、検事長から情報が欲しい新聞記者は、明らかに利害関係者でしょう。利害関係者と接待マージャンをし、送迎してもらっていれば、一般の公務員であっても懲戒処分(戒告以上)が相当と考えられます。訓告は、懲戒処分するまでもない微罪に適用するものです。
 「公文書不適正管理に関する職員「処分」はこれだけ?」

 懲戒処分の量定には、様々な加重すべき事由情状を酌量すべき事由が定められていることが一般的です。当然、市民に法を守らせるべき検察官が法を犯した場合や、指導的・管理的立場の公務員の不祥事は加重するのが当然です。今回の場合は、自粛要請期間中であったことも加重要因になるでしょう。

 一方、酌量すべき事情としては、定年延長があります。政権の都合で勝手に定年を延長されて退職手当をお預けにされ、その後の不祥事でチャラにされたのでは、さすがに気の毒かもしれません。

 

 公平に判断すれば、停職相当の不祥事であったと認定し、退職手当を3割程度カットするのが相当だと思うのですが、安倍さんはお友達をとても大事にされる方のようです。
 法務省が懲戒処分相当という意見だったのを官邸が差し戻し、訓告にしたとの報道もありますが、政権側は否定しており、真相解明が求められます。

 この処分が前例になり、禍根を残すことになるでしょう。とりあえず、千点百円(テンピン)までの賭けマージャンはお咎めなしという見解を法務省が示してくれました。マージャン好きの人たちには、朗報かもしれません。

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 本書には「大人の「終活」新作法」という副題が付いています。理性ある大人としては、自分の死に際して家族や社会になるべく迷惑をかけないように、準備しておくべきであるというのが、その趣旨なのでしょう。

著者がある母親から聴いた話として、次のような事例が紹介されています。

非常に進行が早く命にかかわる病気の10代の子供の手術が3週間も先送りになってしまい、その理由が、90代の末期がん患者の緊急手術が入ったためだったということです。

そんな事例から、著者は「命は平等だ」というキレイごとに疑問を呈しておられますが、私も全く同意します。医療資源には限りがあり、限られた医療資源を誰に使うか、選択が行わざるを得ません。新型コロナウイルスの感染爆発で人工呼吸器が不足したイタリアなどでは、高齢者には人工呼吸器は使わないという運用が行われたことが報じられていましたが、象徴的です。

著者は、次のような重い、究極の選択を読者に迫ります。「もしも1人しか受けられない手術であれば、自分の子供と親、どちらを優先しますか?」これが、今、日本の医療が迫られている究極の選択とのことです。

何の準備もないまま、病気や老衰が進行したり不慮の事故に遭ったりして生命が危険になったとしたら、今の日本では、延命措置が行われてしまいます。それを本人が望んでいなくても、病院などが当然のこととして行ってしまうのです。それは、本人や家族にとっても不幸なことであり、社会にとっても大きなコストのかかることです。その医療資源は、将来のある若い患者に振り向けられるべきものだったかもしれません。著者は、「増える社会保障費は未来を削ること」と主張されています。

そのようなロスを防ぐため、ある程度の年齢になったら、元気なうちにリビングウィル、延命措置の拒否の意思を表示しておくべきであり、これが「大人の「終活」新作法」の一例なのでしょう。

 

 著者の夫は41歳で病気で亡くなり、著者はそれを機に、死に臨んでいる人やその家族等のサポートをライフワークとされたようです。「アクティブ・エンディング」とは、死の瞬間まで続く「生」をずっと追求し続けること、自分の命をどうしたいのかを考えていくことだと言われます。

 

 終活についての本はたくさんありますが、本書の特色は、自分や家族のためばかりでなく、社会のための終活を推奨していることです。

 

本書巻末には、日本尊厳死協会の「尊厳死の宣言書」などが載っています。私は既にエンディングノートを作成しており、延命治療は拒否する旨を記述していますが、この様式も作って自署しておこうと思います。

そうしておけば、いざというとき、家族がそれを医師に見せてくれるでしょう。

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