著者の植山氏は、医師の過労死などの問題に取り組む全国医師ユニオンの代表を務める内科医、佐々木氏は、慢性疲労や睡眠などを専門とする労働生理学者です。

 本書の1章は、「日本の医療は安全か」という題で、日本の医師たちが政策によって起こっている医師数の絶対的な不足の中で殺人的な長時間労働を強いられていること、医師の過労死や過労による自死が多発していること、その結果医療の安全が守られていないことが、説得力たっぷりに説明されています。

 2章「睡眠のメカニズムと過重労働の危険性」では、睡眠のメカニズムが詳しく説明され、医師の長時間勤務、当直(実質的に夜勤)明けにそのまま日勤に従事(当たり前のように行われているそうです。)することがいかに危険なことかが説明されています。実験によると、飲酒運転以上に危険な行為のようです。

 3章「医師の過労死はなぜ起きる」4章「豊かな社会を目指して」では、医師の過労が解消されない理由、その解決策が考察されています。

 

 政府が医師数を抑制するために医学部の新増設を認めない等の施策を続けていたため、日本の医師数は諸外国に比較して著しく少なくなってしまいました。その結果、日本の医師(特に勤務医)は、異常な長時間労働を強いられています。過労死や過労による自殺も多発しています。

 検査結果の見落としなどの医療ミスも後を絶ちませんが、その多くは医師が多忙すぎることが原因です。

 政府には、根本的な対策を講じていただきたいものです。

 

 また、本書の主題ではないのでしょうが、睡眠のメカニズムについて詳しく説明されています。何時に起きなければならないと思うとストレスがかかって、深い睡眠の量を減らし、睡眠の質も低下させてしまうメカニズムも説明されています。

 私自分の睡眠を改善するためにも、役立てることができそうです。

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