2019年は、池袋で元高級官僚の87歳男性が起こした悲惨な交通事故、川崎市で51歳の無職の男性が登校中の小学生を襲った事件、元農水事務次官の男性が自宅で引きこもりの長男を殺害した事件などが次々に発生し、上級国民、下級国民という言葉が人々の口に上りました。また、元号が替わる際に異例の10連休があり、連休を楽しむ上級国民とそれに奉仕する下級国民という構図も語られました。

 本書は、そんな社会の分断が起きてしまった原因などについて、様々な統計等を基に分析、考察したものです。単なるルポではなく、かなり専門的な分析もされているようです。

 

 大きく3つのパートで構成されています。

 Part1は「「下級国民」の誕生」Part2は「「モテ」と「非モテ」の分断」Part3は「世界を揺るがす「上級/下級」の分断」です。

 Part1では、2001年には世界2位にもなった日本の一人当たりGDP2018年には26位になり、マカオ、シンガポール、香港に大きく引き離されて韓国にまで肉薄されるようになってしまったのはなぜか、なぜ生産性が相対的に低下してしまったのか、なぜ相対的に貧しい国になってしまったのか、平成の時代に何が起きていたのか、令和ではどんなことが起こるのかが論じられています。非常に読みごたえがあり、共感できるところが多いのですが、一部疑問があります。

 「最低賃金引き上げが雇用を減らすかどうかは経済学者のあいだでも議論が続いていますが、若者の雇用にマイナスの効果を及ぼすことについては確固とした合意が形成されています。」という点です。現在の日本のような労働力不足の下では、最低賃金を多少引き上げても若者の失業率を上げはしないと思うのですが・・・。この点では、私はデービッド・アトキンソン氏の意見の方に賛成です。

 『「日本人の勝算」(デービッド・アトキンソン)を読んで』

 

 正規と非正規の身分差別的な不公正な格差を廃止し、労働市場を流動的なものにすれば、生産性も上がるでしょう。団塊の世代の正社員の既得権益を守ることが至上命題だった平成が終わり、労働力市場が合理的なものになって、生産性が上がるよう、有権者の一人として見守りたいと思います。

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