3月10日のイタリア政府の発表によると、イタリアでは新型コロナウイルスの感染者が1万人を超え、死者も631人に達しました。ここ数日で死者が急増している理由として、特に北部の地域等で医療資源が不足し、十分な医療を受けられない状態になっていることが挙げられているようです。医療崩壊が起きてしまったようです。
イタリアでは財政赤字の削減のため、過去5年の間に約760の医療機関が閉鎖していて、医師56,000人、看護師も50,000人が不足しているとのことです。
日本にとって、身につまされる話です。
日本で続いていた医師抑制策
1960年ころまでは、日本の医師数は西欧各国と同程度でした。それが、1982年、1997年に医師数を抑制する閣議決定が行われ、その結果、今ではOECD各国の平均より3割ほど少なくなってしまいました。
そのため、日本の医師(特に勤務医)は日常的に過酷な勤務を強いられ、過労死する医師も珍しくない状況です。
普段からこんな状況のところへ、イタリアのような感染拡大が発生したらと想像すると、恐ろしくなります。
厚労省が医療体制整備を要請
3月9日、厚労省が都道府県に新型コロナの拡大に備えて、入院できる病床を増やすなどの医療提供体制を見直すことを都道府県等に6日付けで要請したことを公表しました。
その要請では、ピーク時の一日当たりの外来受診者数、入院が必要な患者数、重症者数などを推計する算式を示し、都道府県がその算式に基づいて必要な医療提供体制を整えるよう求めています。要請通りに確保することは困難と考えている都道府県も多いようです。一般に、感染症患者用の病床は、病床全体の1%ほどしか用意されていません。400床ある大病院でも、感染症病床は4~6床程度が一般的です。一般病床で、感染症にも対応できそうな部屋を感染症病床に転用することになるのでしょう。
都道府県は、管内の病院に病床確保を要請せざるを得ないでしょうが、内心忸怩たるものがあるかもしれません。
日ごろ、各病院に対して、統合や病床削減を強く働きかけ、診療報酬などで兵糧攻めを続けてきたわけですから・・・。
過去の政権による医師抑制策が誤りであったことは明らかです。しかし、その責任を追及することは後に回し、今は医療関係者をはじめ国民が協力して乗り切るしかないでしょう。
一段落したときに、今回の騒ぎも踏まえ、今の医療政策を続けていいのか、再検討する必要があります。
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