新型コロナの自粛要請の中、新聞記者らと賭けマージャンをしていたことが文春に報じられ、東京高検検事長を辞職した黒川氏に対し、退任に先立って「訓告処分」が課されました。世論も起こっていますが、この処分は、地方自治体で職員の懲戒を担当したことのある私の目から見ても、不自然で、軽すぎる処分です。

 

早すぎる結論

 まず、訓告処分が早すぎます。事件が報じられる前の519日ころから法務省では黒川氏への聴取を始めていたようですが、22日にはもう訓告処分を決めてしまっています。黒川氏から聴取した内容のみに基づいて決めてしまったものと思われます。

 相手方、その他の関係者から聞き取りは行っていないでしょう。

 それでは、常習性、賭博性などの判断はできないでしょう。

 調査を尽くさず、全容解明をしないまま結論を急いだようです。

 

軽すぎる

 国家公務員倫理規程では、職務上のつながりのあるマスコミ関係者を「利害関係者」とするピッタリの条項はないようです。しかし、検事長から情報が欲しい新聞記者は、明らかに利害関係者でしょう。利害関係者と接待マージャンをし、送迎してもらっていれば、一般の公務員であっても懲戒処分(戒告以上)が相当と考えられます。訓告は、懲戒処分するまでもない微罪に適用するものです。
 「公文書不適正管理に関する職員「処分」はこれだけ?」

 懲戒処分の量定には、様々な加重すべき事由情状を酌量すべき事由が定められていることが一般的です。当然、市民に法を守らせるべき検察官が法を犯した場合や、指導的・管理的立場の公務員の不祥事は加重するのが当然です。今回の場合は、自粛要請期間中であったことも加重要因になるでしょう。

 一方、酌量すべき事情としては、定年延長があります。政権の都合で勝手に定年を延長されて退職手当をお預けにされ、その後の不祥事でチャラにされたのでは、さすがに気の毒かもしれません。

 

 公平に判断すれば、停職相当の不祥事であったと認定し、退職手当を3割程度カットするのが相当だと思うのですが、安倍さんはお友達をとても大事にされる方のようです。
 法務省が懲戒処分相当という意見だったのを官邸が差し戻し、訓告にしたとの報道もありますが、政権側は否定しており、真相解明が求められます。

 この処分が前例になり、禍根を残すことになるでしょう。とりあえず、千点百円(テンピン)までの賭けマージャンはお咎めなしという見解を法務省が示してくれました。マージャン好きの人たちには、朗報かもしれません。

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