音信不通となった子の名義の携帯電話の利用料金について、親が支払いを拒否できるか争われていた訴訟で、83日、東京地裁は「親が拒否すれば請求を止めることができる」と判決しました。なぜこんなことが訴訟にまでなるのかと思うほど、常識的な判決だと思います。

息子が15歳の時に携帯電話を契約し、親が料金を払うとの同意書にサインしましたが、成人した息子が音信不通になり、毎月10万円近い料金が引き落とされるようになったとのことです。ソフトバンクに請求先変更を求めたものの「契約者本人が手続しなければ変更できない」と拒否され、提訴に至ったとの報道です。

判決では「同意書に基づく支払いは任意で、維持する義務はない」「その後は息子に請求し、支払いがなければ強制解約することになる」とし、父親が支払いを拒否して以降の計約20万円の引き落としには根拠がないとして返還を命じました。

ソフトバンクは、控訴せず、判決は確定しました。

 

杓子定規な解釈より具体的妥当性

 判決の内容は至極当然なものです。この状況で父親に携帯料金の支払を続けさせるなど、社会正義に反するでしょう。

 しかし、法律的に考えると、契約上の根拠なく本人以外の者に契約内容の変更を求めたり、契約解除を求めたりすることを認めるのは、難しい面もあったでしょう。

 約款の文言の杓子定規な解釈より、具体的妥当性、社会正義を優先すべきことを示す好例だと思います。

 

ソフトバンクの判断は

 父親の求めを拒否したソフトバンクの判断は、おそらく、本社の法務部門や顧問弁護士に相談した結果ではないと想像しています。法務部門等が関与した上での判断だったとしたら、少しお粗末です。現場の判断で拒否し、そのまま訴訟に至ってしまったような気がします。

 控訴しなかったことは、当然とはいえ、的確な判断でした。

 

 行政の場でも、杓子定規に規則に従おうとすると、公正とは思えないことになったり著しく不合理なことになったりする場面が時々あるものです。規則、条例などは、不備を発見したときは速やかに改正することが必要です。

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