「キングダム」(原泰久原作)は、春秋戦国時代の中国を舞台に、天下の大将軍になる夢を抱く元下僕の少年信(しん)が、政(せい。後の秦の始皇帝)を助けて活躍するアクション漫画です。2006年から週刊ヤングジャンプに連載され、大人にも大人気で、コミックの発行部数が累計6400万部、アニメでも人気を博し、実写版の映画がテレビでも放送されました。

本書は、ビジネスパーソンにも大人気の「キングダム」を題材に、組織でのサバイバル戦略を論じたものです。「キングダム」のファンであり、この著者のファンでもある私としては、読まないわけにいきません。私が「キングダム」を読み始めたのも、「僕らが毎日やっている最強の読み方」の中で、ビジネスマンが読むべき漫画として著者が推薦していたからです。

「僕らが毎日やっている 最強の読み方」(池上彰、佐藤優)を読んで

 

 「キングダム」の中のエピソードを取り上げ、外務省や拘置所などでの著者の経験も織り込んで人が社会(特にビジネスの組織)の中で生き残る方策が説かれています。

 戦闘に勝った後、味方の部隊が住民を蹂躙しているのに義憤を感じた主人公が、その部隊の将(主人公より階級が上)を斬ります。本来、死罪になるはずの主人公をライバルが助けます。ここで、「仲間の不義にどう対処するか」が論じられます。著者は、組織内の悪を眼にした場合は、できる限り、上層部やコンプライアンス室に内部告発したりせず、見ないふりをすべきだと説きます。その場で感情を爆発させず、その悪を放置すると組織や自分のチームが崩壊する恐れがあるか、また、組織内に自分の味方になってくれそうな人がいるかを見極めなければならないと説きます。納得できない気持ちもありますが、処世訓としてはたしかにそのとおりでしょう。

 直属の上司にパワハラを受けている場合の対応なども論じられています。

 

 「復讐するは我にあり」とは、復讐を決意する言葉だと誤解していました。この言葉は、聖書の中の神の言葉で、「復讐するのは神である自分の仕事で、人間は復讐など考えてはいけない」というのが正しい意味のようです。著者は、組織の中で理不尽な仕打ちを受けた場合も、半沢直樹さんのように「倍返し」などすべきでないと戒めています。

 

 私は、現役時代、組織内でこんなにうまくやれていなかったと思います。多くの人も同様でしょう。でも、参考になる本でした。

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