後期高齢者医療費の自己負担額は、原則として1割、現役並み所得者(住民税課税所得が145万円以上の者)等は現役と同様に3割となっています。

 現在、この1割負担となっている人のうち負担能力のある人について、2割の負担とする制度改正の議論が進められています。1010日の報道によると、厚労省では年収240万円以上383万円未満の人について、2割負担とする案で調整に入っているようです。

この厚労省の案は理解できるのですが、108日、財務省の財政制度等審議会・財政制度分科会での議論は、これとは別の方向性を示唆しており、心配しています。

 

財務省の主張

 財務省は資料で、後期高齢者の窓口負担について可能な限り広範囲で2割負担とすべきだと主張し、遅くとも団塊の世代が後期高齢者となる2022年度初めまでに改革を実施したい考えを示しました。委員からも賛同の声があがっていたようです。

 また、財務省は、「年齢を基準に一括りにせずに負担能力を踏まえる必要がある」、「高齢者は現役と比較して平均的に所得水準が低い一方で貯蓄高は高いことや、所得が低い高齢者でも相当の金融資産を保有している人がいることを踏まえて制度設計の検討を進めるべき」としています。

 財務省の誘導したい方向性が、かなり露骨に報じられています。

 

2割負担導入は賛成だが資産に着目は反対

 高齢化がますます進み、社会保障費が増大する中、2割負担の導入には賛成です。年齢で一括りにせずに負担能力を踏まえるべきことも、その通りでしょう。

 しかし、資産の多寡に着目するのは、非常に筋悪で、こんなことをしたら悪政と言わざるを得ないでしょう。

 年収1千万を超えていてもほとんど貯えのない人もおり、300万くらいでも将来への不安に備えて貯蓄している人もいます。資産は、収入の時点で既に課税された残余を倹約して蓄えてきた結果でもあるのです。

 また、高齢者が資産を蓄えているのは、年金で生活するのが苦しそうだから自助努力してきた結果です。国がそのような状況に高齢者を追い込んでおきながら、資産があるからといって貯えてこなかった人より高い負担を求めるのは、わなを仕掛けて追い込んでいるような悪政でしょう。イソップの「アリとキリギリス」のキリギリスのような生活を国民に奨励しているようでもあります。

 また、こんなことをすると、多額の資産を持つ本当の金持ちは、海外に資産を移すでしょう。

 収入、所得で線引きする厚労省案の方が妥当だと思います。

 

 財務省のエリート官僚の皆さまも、こんな悪代官のようなことを考えず、国内で発生する収入、所得をマイナンバーを活用して完全に補足することを考えていただきたいものです。

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