著者は、MMT(現代貨幣理論)の論者のように、日本のように国債のほとんどを国内で消化しているような国はどんなに国債を発行しても破綻することはないと主張しているのではありません。国家が無限に借金をできるなら「錬金術」だと言います。日本の国家が破産するかもしれないという前提で、個人としてどのように危機管理すべきかを説いています。

 歴史的にみると、国家が破産状態になることは、頻繁に起こることです。このような危機は、戦争、内乱、原発事故のように、個人としては管理できないリスクよりはるかに対処しやすいものだとのことです。

 

財政破綻する時

 国が破綻するのは、借金の返済に窮した時です。その時に経済的に起こるのは、①金利の上昇、②円安、⓷インフレ の3つで、それ以外のことは起こらないとのことです。

 財政破綻は、国債の暴落による金利の急上昇をきっかけに始まります。他の理由で円安やインフレが発生しても、金利が大きく上がらなければ、景気回復につながるので、財政は破綻しないとのことです。

 国債が暴落し、金利が急上昇すると、国債を大量に保有している金融機関の経営が危険になります。また、変動金利で住宅ローンを借りている個人などが返済不能になり、破産、自殺が急増します。

 

 これまでも国の財政が破綻する時は、極端なインフレ(ハーパーインフレ)が発生し、国民が保有している預金等の価値を減少させることによって国家の借金が清算されてきました。

 

個人としての対応

 本書では、財政破綻に備える金融商品として、国債ベアファンド、外貨預金、物価連動国債ファンド、変動金利型の個人向け国債などが紹介されています。

 

 本書は、いくつか「コラム」が差しはさまれています。そこには、「国債価格が下がると金利が上がる」「インフレになると通貨は下落する」「金利が高くなると通貨は下落する」といった経済、財政の基礎知識が解説されています。

 私は今まで金利が高い方が通貨は上昇すると思い込んでいましたが、それは一時的な現象で、長期的には金利が高くなると通貨は下落することが分かりました。

 

 なかなか読み応えがあり、経済の基礎知識も得ることができました。

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