223日、旅行業大手のJTBが資本金を23400万円から1億円に減資することが報じられました。コロナ禍による旅行需要の減少で巨額の赤字が見込まれることが原因ですが、資本金が1億円以下になると「中小企業」として税制面などで様々な優遇措置を受けることができ、それを狙っているとの解説です。

 コロナ禍に苦しむ外食、航空産業などで、中小企業の優遇制度を狙った減資が相次いでいるようです。

 

資本金の額による差別は不合理

 企業の実態に変化がなくても、帳簿上の資本金の数字を資本剰余金などに振り替えるだけで税負担が緩和されるような制度は、不合理です。制度の歪みを感じます。

 コロナ禍で苦しむ企業を救う対策は必要でしょうが、資本金の額で区別することは合理的ではありません。資本金などは、会社が大きくなっても少額に抑えておくこともでき、会社の規模を必ずしも反映していません。

 

中小企業を優遇することは不合理

 起業したばかりの企業を優遇して育てることは合理的でしょう。しかし、設立されてからいつまでも小さいままである企業を優遇することは、合理的とは思えません。

 私は、菅政権にはあまり期待していないのですが、デービッド・アトキンソン氏を成長戦略会議のメンバーに起用していることについては評価し、期待しています。日本経済を再生するための方策に関する彼の意見に賛同しているからです。

 人口が減少する中で日本の経済規模を維持、成長させるためには、生産性を高める必要があることは当然です。そのためには、労働者を生産性の高い企業にシフトさせる必要があります。つまり、生産性が低く、従業員に低い賃金しか支払えないような企業には退場してもらい、その労働力を生産性の高い企業にシフトさせるべきであることも当然です。最低賃金を戦略的に引き上げ、それに耐えられない企業には早々に退場してもらう方が日本にとっても労働者にとっても幸せというのが、彼の主張です。

 「国運の分岐点」(デービッド・アトキンソン)を読んで

 「日本人の勝算」(デービッド・アトキンソン)を読んで  参照

 

 スタートアップ企業を支援することは合理的ですが、いつまでも小規模のままで低生産性、低賃金の企業を制度的に優遇し続けることは、不合理であり、日本の衰退につながります。

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