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 国家公務員の定年を現在の60歳から引き上げる案が、現実味を帯びてきました。確かに、年金支給を遅らせなければ年金財政が破たんするなどの問題があることは理解していますが、結論を先に述べれば、次の理由から私は反対です。特に、国家公務員については、人事を非常にゆがめてしまい、非効率になってしまうのではないかと思います。

 

1 公務員ばかり優遇することになる、人件費の増大

  これは、既にマスコミなどから批判されていることです。人件費負担を増やさないためには、よほど大胆な給与制度の改革が必要になり、現実には難しいのではないかと思います。

2 元気老人ばかりではない

  高齢職員の元気度には個人差があり、私自身もそうですが、60歳くらいになると責任が重くて体力的にもきつい職に就いていたくない職員も多いだろうと思います。

3 昇任を遅くせざるを得ず、若手のモチベーションに影響

  今まで通りの昇任速度を保とうとすれば、管理職ばかりが多い頭でっかちの組織になってしまいます。

 

 総じていえば、現行の再任用制度などの運用でいいのではないかと思います。60歳でいったんリセットして、その後は本人の働く意欲次第で再任用に応じる、再就職する、蓄えがあれば引退するなど、自分で選べる現行制度ではダメなんでしょうか?

 年金の支給開始を遅らせるならば、再任用の上限を現行の65歳から引き上げる議論は、必要だと思います。

 

再任用で収入低下はやむを得ない

 一部の高級官僚でなければ、再任用や再就職では収入は激減します。しかし、私自身もそうですが、一般的には子育ても終わり、あまりお金の要らない時期だと思います。年金開始まで、老夫婦二人が退職金をあまり取り崩さずに生活できればいいのではないかと思います。個々には、子供がまだ小さいとか、親の介護費用などの問題を抱えている人もいるでしょうが、それは、親も元気で独身貴族を謳歌していた時期や子供がいなかった時期に個人的に蓄えておけばよかっただけのことで、定年延長で一律に対処すべき問題ではありません。10年ほど前に退職した先輩たちと比べて生活はかなり苦しくなっていますが、社会全体から考えれば、やむを得ないことだと思います。

 また、子供の病気などの偶発的な不運は、社会的にセーフティーネットを整備すべき問題で、公務員の定年延長で対処すべき問題ではありません。

 

 なぜ今、財政困難の中、定年延長を持ち出すのか、理解に苦しみます。

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