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 1213は、江戸では年末恒例の大掃除の日でした。煤掃きとか、煤払いといいます。当時は、かまど、囲炉裏など、家の中で火を焚いていたので、その煤が天井や梁に付着し、年に1度くらいは掃き落とさなければならなかったのです。

 そんな大変な作業でしたが、江戸の庶民は、それをイベントに変え、楽しんでいたようです。

 作業が終わり、一段落すると、商家などでは、参加者を順番に胴上げするという習わしがありました。その後には、御苦労さまの意味で、鯨汁がふるまわれました。普段はつましい生活をしている中で、御馳走だったのでしょう。

 

男性にとっては楽しみ 女性にとっては災難

 もっとも、胴上げを楽しみにしていたのは、男性ばかりのようで、女性にとっては災難だったようです。着物の下には下着など着けていないのですから、大変です。

 主人のおかみさんやお嫁さんに対してはあまり手荒なこともできなかったでしょうから、最大の標的になったのは、下女のようです。いくつかの川柳から、そんな情景が浮かんできます。

 「13日 柱から下女 引っぺがし」

 (嫌がって柱にしがみついている下女を引っぺがして胴上げする)

 「ひんまくれ などと番頭 声をかけ」

 (普段は上品そうな番頭さんが「ひんまくれ」などと・・・)

 「鯨汁 食い食い下女は 悔しがり」

 (さっきは、あんな恥ずかしい目にあわされた・・・) 

 今ならば、間違いなくセクハラで、雇い主や番頭も責任を問われ、賠償を支払わなければならないケースです。

 江戸時代は、今とは桁違いに男性本位の社会だったようです。

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