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 財務省が、検察庁に押収されていることを理由に森友学園関係の書類の提出を拒んでいたことについて、検察の事情を知る識者からの批判が相次いでいました。頼めば貸してくれるはずだということです。私も、あれは単なる逃げ口上に過ぎず、既に存在を知っているか、探す気がないかのどちらかだと思っていました。

 私は、40年近く前、県庁の新採用職員の時、税務の調査のため、検察庁で、押収している書類の検査をさせていただいたことがあります。特に面倒な手続もなく、この経験から、財務省の言い分は嘘であることを確信していました。

 

償却資産の知事配分

 固定資産税は、市町村税なので、一般には市町村が調査などを行いますが、二つ以上の市町村にまたがって存在する償却資産は、県に申告していただき、知事が関係市町村に課税標準額などを配分する制度があります。資産が複数都道府県にまたがっていると、総務大臣の配分になります。鉄軌道、送油菅、送ガス管、工業用水道管などが、配分資産に指定されています。

 

 私の在職していた県では、これらの知事配分資産について、数年に一度は調査に行って、正しく申告されているかどうか確認することにしていました。その年に調査すべき順番の資産の所有会社に調査に訪問したい旨の連絡をしたところ、会社がある事件の捜査を受けていて経理関係の書類が検察庁に押収されているとのことでした。

 

検察庁での調査

 今の私ならば、そんな面倒なことには関わらず、順番を後回しにしたと思います。が、真面目で怖いもの知らずだった新採用職員の私は、検察庁(地方検察庁)に電話で依頼し、検察庁で書類検査をさせていただきました。

 調査する権限などを記載した公文書の依頼を持って行っただけで、特に面倒な手続はありませんでした。

 検察庁の執務室の会議テーブルに書類を出していただき、先輩職員と二人で、固定資産台帳などを探して確認しました。検察庁の職員の方は、同じ部屋で執務されていましたが、特に厳しく監視されることもありませんでした。ただし、これが、事件当事者の会社の職員だったら、証拠隠滅をしないか、もっと厳格な対応だったと思います。

 調査を終えて帰る前にお礼の挨拶をしたとき、検事さんが、「何か見つかりましたか?」と期待を込めて聞かれました。

 「いえ、この資産の申告については、正しく行われているようです。」とお答えし、帰庁しました。

 

 昨今の一連の事件のおかげで、忘れかけていた懐かしい新採用時代の一コマを思い出しました。


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