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前稿では、調定日の属する年度をその歳入の所属年度にしようとすると、特別徴収分の住民税等で矛盾が生ずることを述べました。
「歳入調定の時期と年度区分(1) 4、5月特別徴収の住民税等」
本稿では、延滞金や督促手数料等で生ずる矛盾について述べます。
延滞金や督促手数料の所属年度
地方自治法施行令第142条第3項は、次のように規定しています。
「3 普通地方公共団体の歳入に係る督促手数料、延滞金及び滞納処分費は、第1項の規定にかかわらず、当該歳入の属する会計年度の歳入に組み入れるものとする。」
つまり、税や使用料などの収入が延滞になって、出納整理期間中に収入されたら、その収入自体は旧年度の歳入になります。その場合は、そこで生じた延滞金や滞納処分費も旧年度歳入にするということです。
当然、本収入が納付されなければ延滞金等の計算はできませんから、それらの金額が確定するのは、4月以降になります。調定した日で所属年度を判別しようとすると、自治令の規定と矛盾が生じます。
それについて、「地方財務実務提要」などは、次のような苦しい説明をしています。
①「観念的には本収入が調定された時点において当該付帯収入の調定が行われたと解するほかはないでしょう。」
②「督促手数料等の形式上の調定行為は4月、5月の日付で行われても、この行為は法律上の調定行為というべきものではなく、単なる財務手続上の整理にすぎないと考えるべきでしょう。この場合の法律上の調定行為は、観念的に、本収入の納期限後発生する附帯収入として、前年度の3月31日までに基礎計算の表示があれば、それが督促手数料等の実質上の調定であると観念せざるを得ないものであり、」
思わず失笑してしまうような苦しい説明です。本収入を調定するときに延滞になることを想定して基礎計算を表示しておく担当者は皆無でしょう。基礎計算の根幹は、何日に納付されたかであり、それが分からずに「基礎計算の表示」などできるはずもありません。結局、「観念的に」、旧年度中に行ったことにしてしまうということです。法令の規定による調定の意味を無視しています。
別稿でお示ししたように、歳入の調定に時期については、地方自治法、自治法施行令に、明確な定めがありません。
前稿でお示ししたように、調定の日をその歳入の所属年度にしなければならない法令上の根拠はありません。
「歳入調定の時期と年度区分(1) 4、5月特別徴収の住民税等」
調定日は、その歳入の所属年度内の日でなくてはならないという根拠のない呪縛のため、多くの職員が、虚偽の日付の記載を強いられています。そんな呪縛を脱し、実際にその収入の金額等を調査、決定した日を正々堂々と調定日にすべきです。
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