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 昨日(4月19日)、Yahooのトップページを開いたところ、「新潟知事辞任 東電再建に暗雲」という記事の見出しが目に入りました。

 「晴れ間が見えた」とか「暗雲が晴れた」ということなら分かるのですが、新潟県の米山知事が辞任することで東電再建に暗雲というのはどういうことか、頭の中に?を点滅させながらクリックしてみました。

 

産経新聞のネット記事

 クリックした先は、産経新聞のネット記事でした。そこでの見出しは、「新潟知事辞任 原発再稼働の先行き混沌 東電再建は視界不良」というものです。

 「辞職を受けた知事選は再稼働に慎重だった“米山路線”の是非が大きな争点となる見通しだが、新しい知事次第で再稼働の時期が大きく変わる可能性がある。突然の知事辞任で県政の混乱が長引けば再稼働が遅れ、東電の経営再建にも暗雲が立ちこめる。

 ここに書かれていることのほとんどは、そのとおりだと思います。新しい知事次第で、再稼働の時期が大きく変わる、あるいは、再稼働できない状態になるでしょう。しかし、それは、再稼働に慎重な米山知事が当選した時から暗雲が立ちこめていたのであって、米山知事の辞任によって立ちこめたわけではありません。再稼働に慎重な米山氏が知事に在任している間は、先行きの見えない、暗雲の立ちこめた状態だったのです。むしろ、知事選挙で原発再稼働を推進している自民党系の候補が当選した場合、再稼働への道筋が見えてきます。

 当然、米山知事の辞任は、東電や原発再稼働を推進する勢力にとっては、歓迎すべきことなのは間違いありません。

 

なぜそんな記事が?

 産経新聞が、そのような事情を知らずに記事を書いたはずがありません。知っている上で、あえて見当はずれの記事を載せているのでしょう。どういう意図があるのか、聞いてみたい気持ちでいっぱいですが、伝手もないので、勝手に推測してみました。

 二つの可能性が考えてみました。

 

陰謀論をけん制

 一つは、陰謀論が出てくることをけん制するため。

 霞が関の現役キャリア官僚(ペンネーム、若杉冽)が覆面で書いたという小説「原発ホワイトアウト」では、「新崎原発」再稼働に慎重な「新崎県」の「伊豆田」知事が陰謀によって罪を着せられる状況がリアルに描かれています。また、福島県知事で東電に厳しい姿勢で対峙していた佐藤栄佐久氏が収賄額が0円という不可解な収賄事件で失脚させられた事件が引用されています。

 今回の米山氏の事件は、知事就任前からの関係で事実であることも間違いないのですが、なぜ今、援助交際していた女子大生が週刊誌に売ったかという点で、陰謀論が出てくる余地が残ります。

 再稼働推進派の産経新聞としては、そんな陰謀論が知事選挙に影響することを避けるため、けん制したのかもしれないと思いました。

 

うれしさを隠すため

 もう一つは、もっと単純に、うれしさを隠すため。

 再稼働推進派の産経新聞としては、慎重派の米山知事の失脚は本心ではうれしいのだと思います。しかし、人の失脚をあからさまに喜ぶのも品がないので、それを隠すため、あえて見当違いの憂慮を示してみせたとも考えられます。

 

 上記の理由を二つとも考慮した上での記事かも知れません。それにしても、不自然な記事でした。


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