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地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

カテゴリ: 読書、テレビ等

 半年ほど前、新聞のランキングに載っていて、題名が気になったので読んでみました。

私は、10年近く前から既に終活に取り組んでおり、死ぬことは特に怖くはないのですが、まだ死ぬのが楽しみという心境には達していません。それで興味を持ったわけです。

 本書はコメディーです。高校時代に応援団だった70歳の老人が急病(脳出血?)で亡くなり、葬儀に参列するため元応援団員の3人が久しぶりに顔を合わせます。そこで、個人の孫娘から「応援団を再結成してほしい。」という故人の遺言を受け取って応援団を再結成し、ドタバタを繰り広げるストーリーです。

 ドタバタの中に、人生の教訓的なことやジーンと共感する言葉が散りばめられています。例えば、遺言を叶えて欲しいと孫娘から頼まれた仲間の一人が、「久しぶりなんだよ。何かを頼まれたの。」「この歳になるとさ、・・誰も僕に頼みごとなんかしてこないんだよ。・・老人(僕ら)は支えられるだけで、誰かを支えちゃいけないのかな?

 私が気になった題名の意味は、最後の部分でようやく分かりました。それを説明しようとするとネタバレになるので詳細は避けますが、自分が死んだ後のことで、想像した時に楽しみになるようなことがあればということです。それは、宗教のように天国で楽しく暮らすなどということではありません。私は、死んだら無に帰るだけだと信じているので、今さら天国や極楽などを楽しみにすることはできません。

 自分の死後、この世で残された人たちのことを想像して楽しみになるようなことです。

 私が取り組んでいる終活は、私の死後に家族が困らないことを目的にしていますが、もう一つ、死期が迫った時に死ぬのが楽しみになるような準備という視点も加えようと思います。自分が死んだ後のことを想像して楽しくなるようなことを用意しておきたいものです。

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 著者は児童精神科医であり、医療少年院の勤務などで犯罪を犯した多数の少年たちを診察する中で、彼らの多くが知的障害や発達障害を抱えていることに気づきました。彼らの多くは、丸いケーキを三等分しようとする場合の切り方が分からず、簡単な足し算引き算も、簡単な図形を模写することもできないとのことです。

 この問題は、少年院に入所する少年たちばかりでなく、一般の学校でも存在し、著者らは問題解決に向けて啓発活動をしておられます。

 

知的障害があってもほとんどが放置

 現在の定義ではIQ70未満を知的障害とするのが一般的です。しかし、この定義は1970年代以降のものであり、それ以前は85未満を知的障害としていた時期があったとのことです。それだと全体の16%にもなり、多すぎて対応できないので70未満に変更されたとのことです。その結果、従来は知的障害に数えられていた全体の14%ほどの、IQ70以上85未満の子供たちがケアの対象から外れました。彼らは一般に「境界知能」といわれています。14%は、クラスの下から5人ほどに当たります。

 また全体的なIQはさほど低くなくても、一部の機能が著しく劣る知的障害、発達障害もあるようです。

 彼らの多くは学科が全く理解できず、授業は苦痛だったでしょうが、適切なケアを受ける機会を得られず、犯罪行為に至ってしまうこともあります。

 ただ、彼らに劣っている機能を鍛える訓練を施すことによって、改善させることが可能で、本書ではそれが提言されています。

 

2023年の神戸の事件

 2023年6月、神戸市で6歳児が母親とその兄妹ら4人から虐待、殺害された事件がありました。あの兄妹らには知的に問題があったようです。

 「神戸の6歳児遺棄、誰が悪いのか?」 参照願います。

 

 本書で危惧されていることが、最も悲劇的な形で現実になってしまったようです。

 本書は、教育(特に子供の教育)に携わる人たちには必読ですが、話題になった本なので、ほとんどの人は読んでいるでしょう。著者は、「コグトレ研究会」を検索してサイトを訪問することを勧めておられます。著者が主宰する研究会で、知的に問題がある児童に対するノウハウの普及を進めるもののようです。

 教育関係者だけでなく、行政関係者、子育てに悩む親らにも参考になる本だと思います。

 興味深く読ませていただき、犯罪を犯した人に対する見方が少し変わりました。

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 私が本書のことを知ったのは、約1年前、本書の出版などを理由に著者が日本共産党を除名になった報道によってでした。

 「やはり共産党が統一地方選挙で惨敗」 参照願います。

 さらに先月、党大会であの除名処分を批判した勇気ある地方議員に対して、田村氏(直後に委員長に就任)がパワハラ発言をし、その発言に対して地方議員の間で批判が広がっていることが報じられたことで、本書を読んでみようと思いました。

 「日本共産党に失望」 参照願います。

 

 私自身は党員でも党友でもありませんが、県職員時代には知り合いの県会議員に頼まれて赤旗日曜版を購読していたこともあり、比例区などでは共産党に投票することもある、いわゆる「リベラル」だと思っています。共産党の動向には少し関心を持っています。

 本書は、「ヒラ党員が党首公選を求めて立候補する理由」という副題が示すとおり、党員による党首選挙を求める内容です。その主張に具体性を与えるため、認められれば著者自身が立候補することを言明し、自衛隊・安保問題など主要な論点についての所信も披露されています。正直に言って、共産党の党首選挙にはあまり関心がありませんが、自衛隊・安保問題に関する著者の考えはとても参考になりました。

 例えば、核抑止力の問題について、日本が核攻撃された時に米国が自国も核攻撃される危険を冒して反撃してくれるかどうか、著者は懐疑的です。エマニュエル・トッド氏も同様で、それゆえにトッド氏は日本も核を持つべきだと主張されます。著者は、「核抑止抜きの専守防衛」を主張されます。詳細は割愛しますが、私は説得力を感じました。

 また、自衛隊についても、専守防衛に徹する限り合憲という主張です。共産党は昔から、旧社会党のような非武装中立などという非現実的な主張はしてきませんでしたが、著者の主張もその流れにあると感じました。

 著者が党首公選を主張されるのは、それによって共産党内の意見の違いを可視化し、外部からも見える形で議論することで、党の活性化を図り、同時に国民の間にある「共産党は怖い」というイメージを払しょくすることが主な目的のようです。たしかに、外部から見える形で議論し、中国やロシアとは違うこと、暴力革命などするはずがないことを国民に示すべきでしょう。

 著者は、大学在学中から約半世紀も共産党員として活動し、党の政策委員会で安保外交部長も務めたこともある方です。本書にも共産党に対する著者の熱い思いが溢れており、なぜ本書が除名の理由になるのか、全く理解できません。共産党内でも意見の違いがあることを暴露してしまったからでしょうか?だとすれば、やはり共産党は怖い?

 共産党幹部が考えを改め、正常な党に回帰してくれることを期待します。

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 読んでいて、「自分に何かできることはあるのだろうか?」と、居ても立ってもいられない気持ち、焦燥感を覚えました。地方都市とはいえ先進国の都市に住んでいる私は、グローバルサウスや未来の世代から不可避的に搾取して生活しています。

 「人新世」(ひとしんせい)は、ノーベル化学賞のパウル・クルッツェンが言い出した言葉で、人類の経済活動が地球上に大きな影響を与えた時代を地質学的に表現したもののようです。

 大気中の二酸化炭素の増加による気候変動は深刻化の一途をたどっています。それに対応するはずのSDGsなどは、「アリバイ作りのようなものであり、目下の危機から目を背けさせる効果しかない」と著者はいいます。グリーン・ニューディールなど、新しい技術を使って地球環境の改善と経済成長の両立を目指すことなど不可能だと言います。経済が成長すれば、同じだけの生産をするための二酸化炭素の排出が少しくらい減っても相殺されてしまい、絶対量の削減にはつながりません。

 また、気候変動による災害に対応するため、ますます多くのエネルギーを消費しなければならなくなります。

 地球上の資源は、化石燃料にしろレアメタルにしろ有限で、再生不可能であり、経済成長を目指すことはグローバルサウスや未来の世代から搾取することで、それもいずれは限界を迎えます。

 資本主義は、本質的に経済成長を目指すもので、このままでは資本主義より先に地球が滅亡するという危機感が示されています。

 地球を守るには、「脱成長」しかあり得ず、それは資本主義の下では不可能なので、新たな社会体制が必要です。地球から搾取せずに自然の循環に合わせて生産活動をする、その生産計画や統制は民主的な市民・労働者の合議体が行う、電力や水道は社会の共有財とする、そのために労働の形態を抜本的に変えることなどを内容とした「脱成長コミュニズム」が、破綻を防ぐ道であるとの主張です。

 マルクスは、「資本論」第1巻を出版後、考察を続け、第2巻以降は未完に終わりました。考えの変化もあり、晩年は、自然の物質代謝を攪乱しないことを重視した持続可能な経済発展を目指す「エコ社会主義」から、さらには「脱成長コミュニズム」を構想していたと著者は主張しています。

 マルクスが何を考えていたかにはあまり関心はありませんが、本書で説かれていることには私は大いに影響を受けました。

 「フィアレス・シティ」(国家が押し付ける新自由主義的な政策に反旗を翻す革新的な地方自治体。バルセロナなど)の動きも紹介されており、政治、行政に携わる人にはご一読いただきたい本です。

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 「それは信者8000万人の巨大カルト」という副題、コピーが付いています。本書は、財政均衡主義、財政健全化論を唱える財務省を批判し、大規模な財政出動を主張するものです。著者の考えは、いわゆるMMT(現代貨幣理論)に近いようです。

 本書の主張は、日本の国家財政が危機的状況にあるなどということは財務省が国民を洗脳しようとする嘘っぱちで、国債を大いに発行し、消費税も撤廃または減税して、経済を活性化させるべきすべきだとしています。

 

 まず、国債について、日本の国債残高はたしかに膨大ですが、政府が保有している資産も膨大なので、総合的にはあまり心配するほどでないとの説明です。財務省が公表している2020年度末の国の連結貸借対照表によると、資産は1121兆円、負債は1661兆円で、差引540兆円ほど債務超過です。酷い数字のようですが、これは名目GDPの102%、ほぼ同額で、先進国では普通の水準とのことです。

 また、国債については、日銀が購入した時点で返済義務は事実上消滅するとのことです。永遠に借り換えることにすれば利息分だけ償還を続ければいいわけですが、利息から日銀の経費を差し引いた利益分は国庫納付金として戻ってくるとのことです。

 このような形で財政拡大、通貨の大量発行をした場合、心配されるのは、悪性インフレです。MMTの理論では、目標とするインフレ率を設定し、そのインフレターゲットに達するまでは国債を発行し続けても心配なく、目標に達したら引き締めを始めれば大丈夫であるとのことです。黒田日銀が行った異次元緩和という壮大な実験を世界の経済学者が注目していましたが、悪性インフレなどは起こらず、国債発行はまだ余裕がありそうだとのことです。

 安倍元首相も岸田首相も、最初は積極財政を唱えていたもののザイム真理教の信者たちの包囲網で腰砕けになったり、軍門に下ったりしてしまったとのことです。

 著者の主張は説得力がありますが、私も長らく財務省に洗脳されていたためか、まだ完全に信じ切ることはできていません。

 本書では、上述の主張のほか、様々な指摘があります。森友学園への国有地の格安売却が批判されましたが、大手新聞社の多くも国有地の格安販売をしてもらっている疑惑があることなどです。消費税アップの際、なぜか新聞代が軽減税率で据え置かれたことも私には極めて不自然に思えました。その他、税制が富裕層優遇になっていること等・・・。
 私が持っていた考えと別の考えを提示され、迷いが生まれています。読んで良かったと思います。

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