ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 地方公務員 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:地方公務員

 地方公務員災害補償法第1条は、「この法律は、地方公務員等の公務上の災害(負傷、疾病、障害又は死亡をいう。以下同じ。)又は通勤による災害に対する補償(以下「補償」という。)の迅速かつ公正な実施を確保するため、地方公共団体等に代わつて補償を行う基金の制度を設け、その行う事業に関して必要な事項を定めるとともに、その他地方公務員等の補償に関して必要な事項を定め、もつて地方公務員等及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。」と規定しています。

 この法律に基づき、「地方公務員災害補償基金」という地方共同法人(以前は特殊法人)が設けられており、全国で統一的に補償事業を行っています。

 

公務災害補償制度の概要

 補償の対象としているのは、公務上の災害通勤災害です。

 公務上の災害には、職務の遂行中又は出張の途中の事故のほか、任命権者が実施したレクリエーションに参加中の事故、公務上の原因による疾病なども含まれます。

 通勤災害は、職員が住所と勤務先の間を合理的な経路及び方法により往復する途上で発生した事故等です。途中で飲み屋に寄り道をしたりした場合は、該当しないとされています。

 補償の内容は、療養補償(治療等に必要な費用)、休業補償(療養のため給与を受けられないときの補償)、傷害補償(年金又は一時金。症状が固定して障害が残った場合などの補償)、介護保障、遺族補償(年金又は一時金)などです。

 補償の対象、内容とも、民間の労働者災害補償保険制度(労災)とほぼ同様です。

 

地方公務員全員が対象ではない

 地方公務員災害補償法に基づく補償制度は、なぜか常勤の職員だけを対象としています。つまり、非常勤の職員はこの制度の対象ではありません。非常勤の職員のうち、現業の職場(現場の土木事務所等)の職員は、民間と同じ労災制度の対象になりますが、非現業の職場(役場の本庁など)の職員はその対象からも外れ、各地方公共団体がそれぞれ条例を定めて補償することになっています。

地方公務員災害補償法第69 地方公共団体は、条例で、職員以外の地方公務員(特定地方独立行政法人の役員を除く。)のうち法律(労働基準法を除く。)による公務上の災害又は通勤による災害に対する補償の制度が定められていないものに対する補償の制度を定めなければならない。
(注:「職員以外の地方公務員」とは、この制度の対象外の非常勤の職員のことです。)

 地方独立行政法人は、職員以外の役員のうち労働者災害補償保険法の規定の適用を受けないものに対する補償の制度を定めなければならない。

 第一項の条例で定める補償の制度及び前項の地方独立行政法人が定める補償の制度は、この法律及び労働者災害補償保険法で定める補償の制度と均衡を失したものであつてはならない。

 

 さらには、特別職の地方公務員である消防団員、公立学校の学校医、学校歯科医等についても、それぞれの法律で公務災害補償制度が定められ、各地方公共団体が対応することになっています。消防団員、市町村議会議員などは、補償制度のための全国組織、基金が組織されています。

 

 公務災害の制度などは、民間の労災制度と一本化してもいいのではないでしょうか?いくつもの制度に分かれていて非常に煩瑣であり、各地方公共団体は条例や規則の改正など制度のメンテナンスの手間もかかります。事故が起こった場合の対応ももちろん必要です。労災制度と別にいくつもの制度を乱立させておく必要はないと思います。

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 総務省から「地方公務員の再任用実施状況及び退職状況等調査」の結果が公表されました。この調査は、総務省が、地方公務員の高齢対策のために、全都道府県、市区町村、一部事務組合等を対象に毎年実施しているものです。

 私が興味を持ったデータをいくつかピックアップさせていただきました。

 

退職者の再就職状況

 平成28年度中の定年退職者のうち、再就職をした者は68.1です。そのうち、最も多いのが再任用された者で、44.6、次いで当該団体で臨時・非常勤職員等として再就職した者が9.4%、非営利法人への再就職が6.8%、営利法人への再就職が4.2%です。

 年金の支給開始が遅くなる中、定年退職後も再就職することが主流です。その受け皿として再任用制度が中心的な役割を果たしていることが分かります。

 

再任用者の給料

 平成29年度に採用された再任用職員で、フルタイムの職員は、一般行政職では24万円以上26万円未満が最多で、教育職では26万円以上28万円未満が最多です。

 短時間勤務の職員は、一般職では20万円以上22万円未満が最多、教育職では12万円以上14万円未満が最多になっています。教育職は、勤務時間が比較的短い勤務の人が多いようです。

 フルタイムならば、年金が支給されるまでの生活には支障のないレベルでしょう。

 

再任用制度の実施状況

 私が最も関心を持ったのが、この項目です。

 再任用条例を制定していない団体は、平成30101日の時点で、全国4町村だけなので、制度はほぼ全ての団体が持っています。

 平成29年度に再任用を実際に行っているのは、都道府県、政令市は全団体です。そかし、政令市以外の市・特別区では95.5%、町村で70.8%、一部事務組合等で31.3にとどまっています。

 

 我が自治体の周辺の町村でも、実際に再任用制度を実施していない団体が目に付きます。職員に話を聞くと、首長がやりたがらないという話をよく聞きます。公務員ばかり恵まれているという批判があるからなのか、小規模な職場ほどかつての上司が再任用職員になった場合のやりにくさが大きいからなのか、いずれかでしょう。

 高齢職員が安心して働けるよう、希望すれば再任用される制度は必要だと思います。

 また、経験豊富な職員をこのくらいの給与で活用できれば、自治体としてもいいことだと思います。ただし、「俺は実務は卒業した。」などといって管理職的なことしかできない職員では、再任用職員として使えません。どこかの大臣のようにパソコンを使えない高齢職員は、地方公務員にはいないと思いますが、高齢になっても実務能力の保持は欠かせません。  

私は再任用職員ではありませんが、勤務する以上、能力の研鑽は続けなければならないと思っています。

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 平成301221日付け「超過勤務命令の上限の設定等に係る条例参考例の送付について(通知)」という総務省自治行政局公務員部公務員課長からの文書が、県を経由して我が小規模自治体にも届きました。

 働き方改革によって民間に導入される規制と同程度の規制を地方公共団体でも設けるという趣旨です。このことは、準備を促すための予告の事務連絡が事前に来ていました。

 「超勤管理の難しさ」 参照

 

条例参考例の内容

 条例参考例によると、条例では時間外勤務についての必要事項は規則に委ねる旨の改正だけで、細部は規則で定めることになっています。規則の内容は、人事院規則の改正案がまだ示されていないので、それを待たなければなりませんが、次のような内容が想定されています。

⓵ 上限時間の適用が除外される職員の範囲

② 上限時間を超えてもいい場合(災害対応等)

③ 上限時間を超えた場合の事後の検証

 

 この「事後の検証」は、従来にないアプローチなので、人事院がどのような仕組を作るのか注目しています。

 

「事前命令の徹底」は功罪あり

 上限を設定すれば、事前命令を徹底しなければならないでしょう。前稿でも論じましたが、事前命令の徹底は業務量を減らすこととセットで行わなければ、職員を苦しめたり、持ち帰り残業を増やしたりすることにつながりかねません。

 条例、規則の改正は簡単ですが、地方公共団体の人事当局としては、運用に十分な注意が必要です。

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 いわゆる働き方改革に伴う労働基準法の改正により、20194月から、使用者は、労働者(年間10日以上の年次有給休暇を付与されている者に限る。)に年間5日以上の年次有給休暇を取得させることが義務付けられます。「有給休暇取得の義務化」等と報道されていますが、国家公務員だけでなく地方公務員も適用が除外され、対象外となっています。

 しかし、働き方改革の趣旨を尊重し、実質的に同等の対応を取るため、人事院職員福祉局から各省庁に「計画表の活用による年次休暇及び夏季休暇の使用の促進について(通知)という文書が出されました。それが、総務省、県経由で、我が小規模自治体にも参考として通知されました。

 ただ、総務省からの事務連絡は、非常勤職員に対する結婚休暇の新設等の通知の中に付け足しのように付いているだけです。見落としそうになりました。

 

国家公務員の対策のポイント(引用)

○ 各省各庁の長は、一の年において10日以上の年次休暇を使用可能な職員に対し、5日以上使用できるよう配慮を行う。

○ 各省各庁の長は、毎年9月末日時点で当該年の年次休暇の使用日数の累計が5日に達していない職員について、年次休暇の使用を促すとともに、当該年において5日以上の年次休暇を使用することができるよう配慮を行う。

※ 年初において、職員が、育児、介護その他の事情により、5日以上の年次休暇を日を指定して使用することを希望しない場合を除く。

 

 具体策として、年初に計画表を作成し、また、夏季休暇の前後に取得して連続した休暇、記念日や行事に合わせた休暇使用等に配慮することとされています。

 施行は、平成31年1月1とされています。これは、国家公務員の年休が暦年単位で付与されるからでしょう。

 

我が自治体も

 我が自治体も、早速、新年から、計画表を庁内LAN上に作り、職員の年休取得を促進することになりました。これまで、年休をほとんど取得しようとしない職員もいたので、効果を期待しています。

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 平成301031日付けで総務省から出された「地方公務員における長時間労働の是正について」という事務連絡が、県の市町村課を通じて我が小規模自治体にも届き、回覧されていました。

 

文書の概要

 本年7月に施行された「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」により、民間では、平成314月から時間外労働の上限規制が導入されます。また、8月に行われた人事院の「公務員の人事管理に関する報告」でも、長時間労働の是正に関する報告が行われています。

 これらを踏まえ、超過勤務命令の上限を設定する条例の制定長時間労働に関する面接指導の強化を求める内容です。国の人事院規則がまだ制定されていないので、具体的な内容はこれからですが、各自治体の「職員の勤務時間、休暇等に関する条例」の改正を求め、また、医師の面接の対象者を1箇月あたり100時間から80時間への拡大、職員の申し出がなくても面接を実施することなどが示唆されています。

 

言うは易く行うは難し

 職員団体や議会から長時間勤務の是正を求められた執行部が、まず口にするのは、「事前命令の徹底」です。しかし、これは不可能に近いほど困難なことです。

 執行部としては、「必ず事前に命令を受けよ!」と強調しておくことにより、事前命令を受けていないのは時間外勤務とみなさない、無断で残っている職員が悪いと弁明する逃げ道を用意できます。

 職員の側からすると、急ぎの仕事で事前申告し、明日は明日の仕事があるのに、「明日にしてください。」などと言われ、上司と口論するくらいなら、こっそりサービス残業、風呂敷残業をした方がいいと思うでしょう。

 超過勤務命令の上限時間を設定することも、同じことです。

 一方、一部だとは思いますが、ダラダラ残業をしながら十分な戦力になっていない職員がいることも事実です。

 

 超過勤務を減らすには、仕事のやり方を工夫して業務を減らすか、十分な戦力になっていない職員を再教育するか、人員を増やすしかないでしょう。部署ごとの人員の過不足の解消も有効でしょう。上限時間の設定などは、ごまかしを生み、問題を見えにくくする小手先の手段です。問題の根本を解決する別の対策が不可欠です。

 組織・人事当局、管理職の覚悟、手腕が問われているということでしょうか?

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