昨年(2020年)6月に課税誤り等を告発した職員を一人だけの畳部屋に異動させるパワハラ事件を起こし、全国的に注目を集めた山口県田布施町で、再発防止のために「コンプライアンス行動指針」「ハラスメント防止要綱・指針」「公益通報制度要綱」を策定し、ホームページに掲載しました。
今年3月にネットニュースで、これらを策定中で議会等に説明した後に施行するとの報道があったので、注意していました。しかし、続報がなく、気になってネットで検索したところ、4月16日付けで町のホームページに掲載されていました。
早速読んでみましたが、3月の報道を読んで危惧していた通り、再発防止にはあまり役立ちそうもない内容で、がっかりしました。
『田布施町で「行動指針」を策定中らしいが』 参照願います。
策定の目的は?
これらの要綱、指針等を策定することになったそもそもの目的は、「畳部屋隔離事件」のようなパワハラを二度と起こさないことだったはずです。今回の一連の要綱、指針を見ても、その趣旨が全く表れていません。
「畳部屋隔離事件」は、人事権を持った人たち、つまり町当局(町長、副町長、総務課長など)が引き起こした事件であることは明白です。だから、再発を防止するには、人事権を持つ当局者が職員を圧迫しようとしたときにそれを防止するものでなければなりません。しかし、今回公表されたものは、この辺が全く考慮されていないようです。
全体に、どこか先行自治体の要綱等を拝借したのか、作文としては良くかけていると思います。しかし、田布施町での経緯からすると、当局者が、自分たちでパワハラ事件を起こしておきながら、職員に向かって「みんなで反省しよう!」と言っているような的はずれの印象を禁じえません。
外部窓口の充実が不可避
ハラスメント防止要綱では、ハラスメントがあった場合の通報・相談窓口は、総務課になっており、「ただし、必要に応じ外部の機関に委託することができる」とされています。
必要性を判断するのは誰でしょうか?先般のような町当局によるパワハラがあった場合、被害者は総務課などに相談する気になるはずがありません。被害者が外部窓口を切望したときに用意されていないのでは、役に立ちません。
外部窓口は、「必要に応じ」などと言わず、あらかじめ用意しておき、その役割や権限についても定めておかなければ、役には立たないでしょう。
全体に、「対策を講じました」というアリバイづくりのような印象を持ちました。
これも、事実関係の解明や原因究明が途中で放棄されたせいかもしれません。もっと真面目に再考されることを期待しています。
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