ipt async src="//pagead2.googlesyndication.com/pagead/js/adsbygoogle.js"> 職員団体 : 地方自治日記

地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

タグ:職員団体

労働基本権(団結権、団体交渉権、争議権の3種)は憲法第28条で保障されていますが、公共の福祉による制約を受けます。公務員については、その地位の特殊性と職務の公共性にかんがみ、一定の制約が行われ、その代わりとして法定勤務条件の享有、人事院・人事委員会による給与勧告等の代償措置が取られています。

 

地方公務員の労働基本権の制約

 地方公務員も、警察職員と消防職員を除き、団結権は認められており、ほとんどの地方公共団体には「職員団体」があります。

 適法な職員団体は、当局と団体交渉をする権利はありますが、団体協約を締結する権利は有しません。ただし、法令(条例を含む。)に抵触しない範囲で書面による協定は締結できることになっています(地公法55⑨)。

 公営企業職員や技能労務職員は、団体協約を締結することもできますが、協約の効力には一定の制約があります。

 争議権は認められていません。

 

給与条例主義等との関係

 「労働協約」は、一般に、使用者が定める就業規程、給与規程等に優先する強い効力を持ちます。

 一般の地方公務員について、団体交渉権を認めながら団体協約締結権は認めないという中途半端な形になっているのは、勤務条件条例主義、給与条例主義からくる制約です。勤務条件や給与の基本的な事項は条例で定めなければならないというこの原則からすれば、これらを定める労働協約など認めることができません。

 給与や勤務条件は議会で決めるというこの原則は、労働基本権制約の代償措置という性格も有していますが、親方日の丸で倒産の心配のない公務員労働者が労使交渉で過大な勤務条件を勝ち取ってしまうことを防止するためでもあるのです。私は、後者の意味合いの方が主であると考えています。

地方公務員法第24条第5項
 
職員の給与、勤務時間その他の勤務条件は、条例で定める。

 

 勤務条件を変更しようとするときは、当局は職員(団体)に説明して誠実に協議をする必要があります。しかし、合意しなければ改正条例案を議会に付議することはできないという制約まではありません。

 職員団体側もその限界を承知しているため、人事院、人事委員会の勧告に基づく給与の減額等の不利益な変更も、最終的に当局と合意に達して議会に諮られるのが一般的です。議会で可決され、条例が成立した後は、当局側も職員団体側もそれに違反し、または違反する運用を要求することはできません。

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1114日の臨時党大会で、社民党の事実上の分裂が決定的と報じられました。

この大会では、国会議員や地方組織が立憲民主党へ合流することを容認する議案が審議され、賛成84、反対75の賛成多数で可決されたとのことです。福島党首が合流反対を主張していたものの、多数の支持には至りませんでした。国会議員では、福島党首一人だけを除き、立憲民主党に合流する見通しのようです。

客観的にみて、再生は難しいでしょう。今昔の感があります。

 

私が社民党を嫌いな理由

私は、社民党というか、旧社会党が嫌いでした。県庁に入ったばかりの1980年代に、私も職員団体(県職労)に入っていましたが、そのころ、組合の動員で社会党の政治活動を強制されたことが原因です。勤務条件に関する活動なら参加させられても納得できたのですが、選挙の際には社会党候補のための個別訪問までやらされました。

当時は、組合を脱退すると出先機関では仲間外れにされたり、職場に波風を立てたりしそうだったので、それもできませんでした。40代のときに地方公務員法上の「管理職員等」になって無事に組合を自動的に退会したときは、ホッとしました。

 『自治体の「管理職」「管理職員等」』 参照

 

組合役員の強制も

 今はどうしているのか知りませんが、職員団体の役員まで嫌々やらされていました。

 役員でも、県職労本部役員、支部役員などは、やりたい人がやっていました。あるいは、共産党系の人が就任することを防ぐため、社会党支持者が固めていました。

 しかし、その下の分会役員などは、なり手がおらず、順番とか、じゃんけんで無理やり就任させられていました。私も、分会の役員、支部青年部の役員をやらされたことがあります。

 

 職員団体(労働組合)が、一般組合員に対して、政治活動を強制したり、役員就任を強制したりしたことが、組合嫌い、社会党(社民党)嫌いを増やした面があると思います。少なくとも、私や私の友人たちは、そうです。

 労働者の組合離れが続いていますが、組合自身にも原因があるのでしょう。また、組合に頼り過ぎた社会党(社民党)にも責任があるのは、当然です。

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 また信じられないようなニュースが報じられました。

 サントリー系列の飲料会社ジャパンビバレッジの支店長が、部下に「有給チャンスクイズ」と題したメールを送りつけていました。クイズに正解しなければ有給休暇を取得させないとする内容でした。

不正解だった部下には、実際に有給休暇の取得を認めていなかったとのことですが、お粗末にも出題ミス?のため、正解はない問題とのことです。笑い事ではありませんが、思わず失笑してしまいます。

この事件には、常識では考えにくいことが、重なっています。

 

管理職教育は?

 公務員の職場でも有給休暇が取得しにくい職場があるので、この支店長が有給休暇をなかなか認めたがらなかったことは、不適正であることはもちろんですが、驚きはありません。驚くのは、名前の通った企業グループの支店長が、有給休暇が労働基準法で認められた権利であることを知らなかったと思われることです。全く、そういう教育を受けずに管理職になっていたわけです。

 私も長く管理職をやっていましたが、職員団体と交渉等をするとき、こちらに弱みがあってはまともに交渉できません。特に、サービス残業を強いたり有給休暇を取得しないように圧力をかけたりすれば、職員団体から吊るしあげられるので、そんなことはしようとも思いませんでした。

 この支店長は、ほかにもパワハラ、労基法違反のようなことを繰り返していたようです。企業の管理体制がずさんだったことは間違いありません。

 

組合は必要だ

 以前から、労働組合、職員団体の組織率の低下が続いています。組合のない職場、組合に入らない労働者も増えているようです。

 私は、組合や職員団体が政治活動をすることには反対していますが、今回のジャパンビバレッジのような事件もあるので、組合自体はやはり必要だと思います。

 この支店長の問題を明るみに出したのも外部組合(ブラック企業ユニオン)です。

 こういう組合と日常的に対峙していないと、当局側にゆるみが生じてしまうのでしょう。


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 1月末までに、職員の退職手当改定の条例改正について、いつ施行するか、市町村関係の動向が固まってきました。市町村の多くは、年度途中での改定を避け、平成3041日施行になりそうな状況です。

 地方公務員の退職手当改定の行方3

 

 さらに、私の住む県では、新たな進展がありました。

 県内最大の市が職員団体と41日施行で合意したこと、私の古巣の県が31日施行(2月県議会の冒頭提案)を決めて22日に職員団体に通告して交渉を打ち切ったこと、この2つです。

 

 県の対応と市町村の大勢が食い違ったことから、わが小規模自治体も難しい判断になりました。先日、この状況を長に説明し、協議した結果、わが自治体は、41日施行で改定することとし、職員団体に提示しました。

 

 公務員の退職手当について民間の厳しい意見があること、国家公務員に準じることが原則であることは十分承知したうえで、私がこのように判断し、動いた理由は、次の通りです。

 

1 そもそも給与自体が、国家公務員よりかなり低いこと。また、今の退職者の世代は、若いころ民間よりもかなり低い給与に甘んじていた人たちであること。

2 今になって支給率を改定することは、昨年の夏ころから現行の水準を前提に勧奨退職の手続を進めてきた職員たちを裏切る結果になること。

3 駆け込み退職が出て、混乱する可能性もわずかながらあること。駆け込み退職はほとんど出ないと思うが、それは、退職予定者の使命感、責任感によるもので、それに甘えて職員に経済的損失を負わせることは、信義則に反する気がすること。

4 多くの自治体の条例と同様、わが自治体の条例も、60歳に達していれば年度途中で退職しても定年扱いになる。つまり、3月生まれの職員だけが駆け込み退職もできず、退職者間で不公平が生ずること。

5 改定条例を3月に施行し、30年、40年一生懸命働いてきた職員に、最後にそういう仕打ちをすることは、最後に腹立たしい思いを残しかねず、情として忍びないこと。

6 民法では期間の定めのない雇用契約は解約の申し入れから2週間で終了することになっている。また、自治体によっては、退職する場合は10日前までの申し出を服務規程などで義務付けている。つまり、退職しようとする場合は、退職の意思表示から退職の日までに相当の日数を置くことが社会通念上の常識である。したがって退職に関する制度を改定しようとするときは、施行日までに相当の周知、検討の期間を置くべきであり、それを欠くのは、信義に反するのではないか。

 かなり心情的な理由も混じりますが、これが私の正直な気持ちです。

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 この問題が、ほとんど騒がれず、静かなのが、不気味なほどです。

 多くの地方自治体の当局は、12月中に職員団体に対し、退職手当を引き下げる改定を年度内に施行する旨を提案し、交渉に入っていると思います。111日の時点で、その交渉にほとんど動きがなく、時間だけが過ぎている印象です。

 「退職手当の改定」

 「地方公務員の退職手当改定の行方」 参照

 

当事者にもほとんど知らされていない

 私の古巣の県庁でも、近隣の自治体でも、今年度末の退職予定者に対する説明はほとんど行われていないようです。職員団体も、あまり大々的な抗議活動を展開していません。多くの退職予定者は、自分の退職手当が減額されるかもしれないということを知らずにいます。

 

自治体の長、担当者の本音

 各自治体の担当者は、年末からさかんに電話などで情報交換をしています。そんな中から、長や担当者の本音も垣間見えてきます。

 多くの首長や担当者は、年度途中での改定は好ましくないと考えており、4月1日施行の流れになることを期待していますが、先頭を切って新年度からの施行にすることは避けたいと考えているようです。だから、41日施行に踏み切る都道府県が現れれば、一気にその方向に流れる気がします。

 一方、財政難のため年度内施行にしたかったり、総務省の指導に忠実にあろうとする長、担当者もいます。職員団体の抵抗が少ないことから、交渉を打ち切って年度内施行を打ち出すタイミングをうかがっているようです。これらの自治体も、そのような流れができることを期待して、情報収集に励んでいます。

 

職員に周知されないことの解釈

 改定する予定であれば、当事者である退職予定者に説明すべきことは当然です。それがないことについて、私は二つの可能性を考えています。

 一つは、当局として、年度内施行などするつもりがなく、混乱を避けるため沈黙している場合です。職員団体も当局の意向を察知しているかもしれません。

 もう一つは、年度内施行を明言して退職予定者に説明した場合、駆け込み退職が発生することを恐れ、ぎりぎりまで公表せずに引っ張ろうとしていることも考えられます。後者であれば、職員への裏切りであり、不誠実な態度です。

 

 引下げ改定自体はやむを得ないことですが、この年度内施行を強行することはあまりにも筋悪であり、多くの団体が4月1日施行とされるよう期待しています

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