地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

 物価高対策という名目の選挙対策で、政界では減税の議論がやかましく行われています。与野党とも、目先の選挙のことばかり考え、そのようにすれば有権者に受けるか、党の手柄になるか、熱心に議論しています。あの熱意を日本の根本的で長期的な課題に向けてくれれば、日本も少しは希望が持てる社会になるかもしれないと思うのですが・・・。


物価高対策に税制は対症療法

 物価高対策として税制をいじるのは、対症療法に過ぎません。物価を抑えるのではなく、国民の手取り収入を増やしたり物価に上乗せされる消費税を削ったりするだけですから。

 物価を抑えるなら、まずこの異常な円安を何とかすべきでしょう。トランプ政権が日本の円安を問題視しているのなら、それに便乗して対策を講ずればいいのです。自動車産業等、輸出企業の業績は悪化するかもしれませんが、消費者は助かります。

 米国との関税交渉で、為替の問題が出なかったなどと胸をなでおろしている政権は、消費者のことなど考えていないのでしょう。食糧安全保障のことを考えるなら、コメや大豆を差し出すより、日米協力して為替を実態に合ったレートにすべきでしょう。

特に消費税をいじるのは迷惑

 一般に税制が改正されると、企業の経理担当者や税務署の職員が大変な思いをします。景気を見ながら税制をこまめに動かすなどは、実務を知らない無責任な政治家の思い付きに過ぎません。

 岸田政権の末期に行われた定額減税、経理担当者や税務署員に大迷惑を与えた挙句、景気の底上げどころか政権の浮揚にすら役に立ちませんでした。

 消費税をいじられれば、所得税以上に事業者の負担は大きいでしょう。本当に迷惑です。

 社会保障、子育て支援、防衛費の問題などで今後増税を余儀なくされると予想されています。そんな中で減税してしまえば、将来の増税の痛みを大きくするだけです。今さえ良ければ後のことは知らないという売国的政治家が多いのは嘆かわしいことです。
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 昨年の夏からコメが不足して高騰したり、野菜やタマゴの高値も続いていますが、それでもスーパーには食料品が豊富に並び、日本ではほとんどの人は飢える心配などせずに暮らしています。しかし、世界に目を向けると、飢えで苦しむ人が大勢おり、日本も今の暮らしを続けることができるのか不安になります。

 本書の副題は「食料安全保障から考える社会のしくみ」で、表紙にはさらに「戦争、原油高騰、温暖化、大不況etc.本当は何が飢餓をもたらすのか」という問いかけがあります。読んでみて、食料問題を考えるうえで必読の入門書であると感じました。

 著者は、京都大学博士(農学)、農業研究者です。しかし、このテーマを語るには、エネルギー、社会、経済の問題を避けて通れません。今の日本の農業は、海外から輸入した化石燃料や化学肥料を使うことを前提としています。1キロカロリーのコメを作るため2.6キロカロリーの化石燃料を使っていて、エネルギー収支はマイナス179%とのことです。トラクターをほとんど使わず、化学肥料もわずかしか使わなかった1955年ころは、投入エネルギー(労働など)の1.1倍ほどの収穫が得られ、エネルギー収支はプラスでした。

 本書は5章で構成されています。第1章は「日本は何人養える?」で、28の一問一答になっています。そこで結論的には、海外から化石燃料を輸入できるという前提であれば8千万人か9千万人、海外からエネルギーも食料、肥料等も輸入できなければ3千万人(鎖国していた江戸時代の人口)という検討結果になっています。

 1998年に農林水産省が、水田は全て作付けし、畑にはジャガイモやサツマイモなどの高カロリー野菜を植え、考えられる限りの対策をとったと仮定したシミュレーションでは、8千万人という結果だったとのことです。ただ、この試算は、石油等の輸入は現状のままという前提です。

 第2章は「飢餓はなぜ起きる?」というテーマで、飢饉のときに都市住民より農民の餓死者が多い理由、農業国に貧しい国が多く飢える人も多い理由等が示されます。第3章は「大規模農業はすべてを解決するのか?」というテーマで、大規模化した場合の問題点等が示され、それぞれも問題が検討されています。

 ウラン燃料も限界が見えているので原子力発電も一時しのぎにしかならず万一の事故の際の「取り返しのつかなさ度」(著者の造語)を考えれば頼れるようなものではありません。太陽光発電などもまだ問題を解決できる技術水準ではないようです。
 このようなことを長期的視野で検討し、政策を考えるような政治家が存在してくれればいいのですが・・・。
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 ChatGPTなどの生成AIに質問を入力したり、回答を受け取った時に、「お願いします」とか「ありがとう」と礼儀正しく接する人は多いと思います。私も実は、ChatGPTを使い始まるためのオンラインセミナーを受講した時、講師から、礼儀正しく接したほうが的確な答えが返ってくると教わったため、そうしています。

 しかし、OpenAIのCEOのサム・アルトマン氏が、そのような礼儀正しい接し方により、数十億円規模の電力消費が生まれている可能性があると認めたことが報じられました。

 言われてみれば、その通りだろうと思います。人間であれば、美辞麗句は聞き流して質問内容だけ聴き取りますが、生成AIはそんなことはできないような気がします。

 そもそも生成AIは膨大な電力を使うようです。今年版の「日経大予測」によると、ChatGPTの一回の回答には、通常のグーグル検索の10倍の電力を消費するとのことでした。

 「日経大予測2025これからの日本の論点」(日本経済新聞社編)を読んで 参照願います。

 10倍も電力を使うのであれば、よほど生産性を高めなければなりません。技術が発達し、便利になった結果、温室効果ガスの排出が増えたり原発が必要になったりするのであれば、そんな技術は人類に有害です。
 これ以上便利にならなくてもいいので、これからの技術開発は、エネルギーを節減する方向に進めていかなければならないでしょう。とりあえず、今後。生成AIとやり取りする時は、事務的に、コンパクトにするよう心がけます。
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