地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

 4月22日(火)、石破首相が、物価高対策としてガソリン価格を1リットル当たり10円引下げることを表明しました。生活必需品があれこれ値上がりしている中で、なぜガソリンなのか疑問です。

なぜガソリン?

 マイカーが生活必需品である地域があることも承知していますが、それでも本当に生活に困っている人はマイカーなど持たず、ガソリン代が下がっても恩恵はありません。公共交通や運輸業者などの経営が苦しいのであれば、その部分に限って支援すればいいことであり、ガソリン代を引き下げる必要はありません。

 露骨な参議院選挙対策という声が聞こえてきますが、それに加えて、自動車メーカーや石油業界から政治献金をもらっている見返りでしょうか?

 温室効果ガス排出量削減のため、ガソリン消費を抑制すべき時に、ガソリン消費を奨励するような施策は行うべきではありません。そんなことをするくらいなら、コメの価格を引き下げたり、生活保護費の底上げをしたりすべきでしょう。

国民民主党も

 国会中継で、国民民主党が「ガソリン暫定税率の撤廃」を訴えていましたが、同様の理由で私は反対です。そんな財源があるなら、他に回すべきです。
 私もマイカーを持っているので、ガソリンが安くなれば助かることは助かりますが、食料品が安くなった方が助かります。また、地球環境のためには、ガソリンは高くてもやむを得ないと思います。

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 愛知県豊橋市の新アリーナ建設計画をめぐり、建設推進派が多数を占める豊橋市議会と、昨年11月に計画の中止と既に締結済みの整備運営契約の解除を掲げて当選した市長が裁判で争うことになったようです。

県への審査の申立てから裁判へ

 報道によると、議会が「契約解除には議会の議決が必要」とする条例の改正案を可決したのに対し、市長は議決が法令に違反すると主張し、議決の取り消しを求めて愛知県に審査を求めましたが、知事は3月末にこれを棄却していました。市長側が、この条例を「議会の権限を越え法令に違反する」と主張したのに対し、県は「条例で契約解除を議決事項として定めることを否定する内容が法令などで明文化されていない」などとして棄却しました。

 県の裁定に不服な市長側は、今度は条例改正のの取消しを求めて名古屋地裁に市議会を提訴しました。提訴理由は、「議会の権限を越え法令に違反する」に加え、この条例改正が契約解除を阻止することが目的で「裁量権行使の逸脱または濫用にあたる」などのようです。しかし、この主張、私は無理があると思います。

「解除」という言葉に違和感

 一般に契約の「解除」とは、相手側の債務不履行とか相手側が暴力団関係者だったことが判明した等の契約書で定められた事由があった際に一方的に行うものでしょう。本件についてはそんな事由はないようで、一方的な「解除」はできません。「解除」などと言いつつ、実際は「合意による解約」でしょう。

 契約の相手側がこんな「解除」にすんなり応じるはずはありません。この契約のためにこれまで費やした経費はもちろん、将来得られるはずだった利益も補償しなければならないと思います。

 万一、市長側が裁判に勝ったとしても、「解除」は難しそうです。

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 2024年の夏に表面化したコメ不足問題、政府が備蓄米の放出を始めても品不足感は解消されず、価格も一部を除き高騰したままです。政府は流通の目詰まりなどという認識を示していましたが、流通関係者の間では基本的に品不足という見方が多かったようです。特に凶作だったわけでもないのに生じたこの事態は、政府の失策であることは間違いありません。

 私も、需給計画、見通しが根本的に誤っていた、甘すぎたのだろうと思います。訪日外国人観光客が食べたために不足したなどという分析もありますが、国としてインバウンドを推進しておきながら、その分をコメの需要に盛り込んでいなかったとすればお粗末過ぎるし、また食糧問題に関してそんな綱渡りの計画で実施するなど、正気の沙汰ではありません。農林水産大臣がテレビでコメの輸入の増加に対して文句を言っていましたが、こんな事態を招いたのは農水省の責任です。私もコメの輸入増加には反対ですが、農水省は文句を言える立場ではないでしょう。

 欧米先進国の多くは、主食用食糧の輸出国です。それは、各国が万一の場合にも国民を飢えさせないために、農家への所得補償をして安い食糧を余るほど生産し、ふだんは余剰分を輸出しているからということです。それは利己的な政策だとは思いますが、せめて日本もカロリーベースで最低でも70%の自給率は確保しなければなりません。日本の経済力はジリ貧を続けており、今のように必要なだけの食糧を海外から輸入し続けられるかどうか分かりません。

 今回の「令和のコメ騒動」を教訓に、食糧安全保障を再構築しなければなりません。
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