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 これまで、哲学についてはほとんど勉強したことがありません。

 高校の倫理社会では、ソクラテス、プラトン、カント、ヘーゲルなどは習いましたが、ほとんど忘れてしまいました。ニーチェなどは、習った覚えもありません。

 「神は死んだ。」という言葉とかニヒリズム(虚無主義)は聞いたことがありましたが、ニーチェの思想についてまとまった知識は皆無でした。そこで、ニーチェの思想について、漫画で概略を理解できれば儲けものだと思い、図書館で借りて読んでみました。

 読みやすく、楽しめ、分かりやすい本で、お勧めです。

 

アドラー心理学に似ている?

 読み始めてすぐ、以前に読んだ「嫌われる勇気」「幸せになる勇気」(岸見一郎ほか、アドラーの心理学を解説した本)で説かれていたことと似ているという印象を持ちました。

 一般に、他人に同情することは良いことだとみなされていますが、ニーチェは、「他人に同情する人は、実はそのとき自分のうちに力を感じる快感を得ている。」、つまり、同情とは相手に対する優越感とセットのものと捉えました。意地の悪い考え方のようですが、私には否定することはできません。

 このように、ニーチェの思想は、人間の心理を深くえぐるような面があり、後の心理学(フロイトなど)の先駆けとなったようです。アドラーの考えと類似点があるのも当然です。

 

日本人にはなじみやすい

 キリスト教のような一神教に浸されていない一般的な日本人は、絶対的な価値など存在しないことを抵抗なく理解できます。私たちの善悪の基準と、別の文明で育った人の善悪の基準とは異なっていることを、自然に理解しています。絶対的な価値観などないことを説くニーチェの考えは、無神論者の多い日本人にはなじみやすいでしょう。

 ただ、「善」とは弱いものが自分を守る口実に過ぎないと言われると、観念的には理解できるのですが、同意しきれない部分はあります。

 

本書のあらまし

 レストランでアルバイトをしている主人公は、他人に気を使いすぎる面もある優しい20歳くらいの女性です。それが、近所に住む客の爺さん(猫じい。ニーチェを理解している。)、同僚の女性たち、先輩などとの関わり合いの中で、同情とはどういうことか、絶対的な価値などないこと、自分の価値観を持ち、それに従って生きていくべきことなどを学んでいくストーリーです。

 

 私は、絶対的な価値などないことは理解していましたが、与えられた価値観を自分の価値観としてそれに従って生きていたのではないかと言われると、否定などできません。せめて、自分が今持っている価値観は社会から与えられたものであることを自覚していようと思います。そうすれば、いつか自分の価値観を持てるようになるかもしれません。

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