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 日産のカルロス・ゴーン会長の突然の逮捕劇は、世界中を驚かせました。有価証券報告書への巨額の虚偽記載が直接の逮捕容疑ですが、加えて、自身や家族の住まいなどへの私的流用もあったようです。さらに、フランス政府がルノーと日産の不可逆的な経営統合(日産の完全子会社化)を画策し、当初はスルーしていたゴーン会長も、大株主であるフランス政府の要求に応ずることに転じ、日産の経営陣が反発してクーデターを起こしたという観測も流れています。

 

金の卵を産む鶏を殺そうとしたフランス政府?

 このクーデター説を聞いて、私はイソップの寓話「金の卵を産むニワトリ」を思い浮かべました。ある男が、毎日1個ずつ金の卵を産むニワトリを飼っていたが、もっとお金が欲しくなり、ニワトリの腹の中には金の塊が入っているに違いないと考え、腹を裂いたが、金はなく、ニワトリは死んでしまったという、あのお話です。

 クーデター説の真否はともかく、フランス政府がフランス国内の雇用改善等のためにルノーと日産の経営統合(ルノーによる日産の完全子会社化)を画策し、ゴーン氏もその方向をほのめかす言動をしていたことは事実のようです。日産の経営陣、大多数の社員には、受け入れがたい話でしょう。

 仮に、経営統合が強引に進められ、日産の子会社化が成功していたとしても、社員のモチベーションが劇落ちした日産が従来と同程度の業績を続けられるとは思えません。日本国内の販売も激減するでしょう。

 フランス政府の目論見は、金の卵を産むニワトリを殺そうとするものだったと思います。

 

欲はほどほどに

 ゴーン氏による多額の私的流用、横領などが事実だとすれば、仮に経営統合計画に対する日産経営陣の反発があったとしても、クーデターと呼ぶべきではありません。企業のガバナンスが正常であれば、ゴーン氏は排除されて当然であり、今回の騒動、内部告発は、日産の自浄作用が機能したというべきでしょう。

 

 この事件をきっかけに、フランス政府の日産子会社化の思惑がクローズアップされてしまいました。こうなっては、いくら4割を超える株式を保有していても、目論見通りにはいかないでしょう。

 フランス政府は、連携によるメリットや日産から得られる巨額の配当金で満足せず、さらなる利益を狙って、企業連合の存続自体を危うくしてしまいました。ゴーン氏も、巨額の報酬に加えてさらに不当な利得を得ようとして、地位や名声を失ってしまいつつあります。

 ゴーン氏、フランス政府とも、強欲すぎて失敗してしまいました。イソップの教訓は現在も生きているようです。

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