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 バブルがはじける前は一億総中流と言われ、国民の多くが中流意識を持っていました。それが、近年は、中流階級の分化が進んでいることを実感しています。

本書は、ベストセラーにもなり、話題を集めました。各種データを用い、現代日本の階級の状況、人々の階級所属意識、親子間の階級の世襲、移動等の状況を分析しています。著者が社会学者だけあって、類書と比較して、統計を駆使した分析が多い印象です。

 

5つの階級

本書では、現代の日本の階級構造を資本主義的な企業の領域自営業の領域の二つの部分に大別します。そして、資本主義的な企業の領域には、上から、資本家階級新中間階級労働者階級が入ります。労働者階級は、さらに、正規労働者と非正規労働者の二つの階級に分かれています。

自営業の領域は、旧中間階級が属し、商工・サービス業の自営業者、自営農家やその家族労働者が含まれます。

合わせて、五つの階級になります。新中間階級とは、被雇用者のうち比較的所得の高い管理職、専門職、上級事務職を指しています。

女性については、配偶者の有無、配偶者の所属階級などで、さらに複雑な分け方(パート主婦など)も試みています。

 

本書の主張

40年ほど前は、実際の所得の階層に関わらず、ほとんどの人が自分を人並みだと考えていました。それが、徐々に階層所属意識が実際の所得を正確に反映し、人並みより上、人並みより下と意識する人が増えてきています。自分の暮らし向きを人並みより下と意識せざるを得ない人の割合が増えているということです。

著者が特に問題にしているのは、もちろん、非正規労働者(アンダークラス)の人たちです。家庭を持つことをあきらめざるを得ず、家庭を持ったとしても子供に十分な教育を受けさせられないので、子供もアンダークラスになりがちで、階層の固定化、世襲という問題も生じます。また、アンダークラスは、人とのつながりも希薄になりがちであり、いざというときに頼れる人がいない状態であることも深刻です。

近年、自民党政治は、最高税率を引き下げるなど、高所得者を優遇する政策をとり続けています。それが、格差の拡大に拍車をかけているようです。

 

若干の疑問など

本書の内容は私の生活感覚と一致しており、私としてはほとんど同意できるのですが、若干の不満、疑問があります。

統計資料の制約でやむを得ないかもしれませんが、所属階級は、基本的には少なくとも世帯単位で考えるべきだと思います。妻は夫の付属物ではないことはもちろんですが、夫の所属階級と妻の所属階級を分けて考えるのは、あまり意味がない気がします。

また、現時点の就業状況だけで所属階級を決めることも、実態には合いません。

著者もこれらの点は気にされているようで、ところどころに補足的な分析、記載があります。

 

本書は、賛否が分かれる部分もあるでしょうが、日本の格差問題に問題意識を持っている人は、一度は読んでおくべき本だと思います。

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