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 NHK受信料は、変な制度です。受信しようがしまいが、受信機を保有しているだけで受信料を払えという制度です。一般的な法秩序を無視している制度だと思います。そのせいもあり、地方自治法上の取扱いをどうすべきか、疑問な点がいくつかあります。

 

支出科目「節」は?

 民間企業では、おそらく通信費に計上しているところが多いと思いますが、地方自治体では「役務費」の節に計上しているところが多いと思います。しかし、これらはいずれも役務の提供を受ける対価としての支払を想定している費目であり、提供を受けるかどうかにかかわらず支払わなければならないようなものの支出には、不適当のような気もします。

 自治法施行規則で規定している節では、他に、負担金使用料及び賃借料委託料なども考えられますが、いずれも、同様の理由で不適当でしょう。

 最もぴったりくるのが、「公課費」です。テレビがあれば、NHKを受信するか否かにかかわらず払わなければならないとすれば、テレビにかかる公租公課と考えるべきではないでしょうか?NHKは、嫌がるかもしれませんが…。

 

長期継続契約には該当する?

 地方自治体の契約は、年度を超えてはいけないことが原則です。例外として、地方自治法第234条の3では、「電気、ガス若しくは水の供給若しくは電気通信役務の提供を受ける契約又は不動産を借りる契約その他政令で定める契約」は、年度を超えて契約できることになっています。

 この「政令」では、年度を超えて締結しなければ不都合な契約の種類について、各自治体が条例で指定することになっています。各自治体では、コンピュータや複写機などの機器の賃借(リース)契約や庁舎の管理委託契約などを条例で定めています。

 まず、「電気通信役務」にNHKの受信契約を含むかどうかですが、一般的な解釈では無理でしょう。CATVやWi-Fiは、電気通信役務でしょうが、放送は無理です。

 各自治体が、条例で制定するかどうかが次に問題になりますが、私の知る限り、条例でNHK受信契約を指定している団体はありません。また、総務省(旧自治省)が、各自治体に条例で指定するように助言している形跡も見当たりません

 実は、これを長期継続契約として扱いにくい理由があります。

 次稿「NHK受信料2  長期継続契約はダメ?」で説明します。
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