著者は、1987年に記者としてNHKに入社して様々な活躍をされ、森友学園問題でも鋭く真相を暴く追及を続けてこられた方です。安倍官邸に忖度して真相を隠そうとするNHK幹部によって記者の仕事を外され、今後も森友学園関係の取材を続けるために、NHKを退職され、大阪日日新聞に移られたとのこと。
著者を含め、NHKの取材の現場には正義感溢れる記者がたくさんいるものの、幹部の中に官邸に忖度して政権に都合の悪いことは隠そうとする勢力が強く、その相克が今のNHKの報道になっているようです。政権よりの幹部といえども、露骨に真実を隠そうとすれば他社の報道と乖離してしまい、視聴者の怒りを買うので、さすがにそれはできません。また、幹部の中にも正義派はいるようです。
本書は、「安倍官邸vs.NHK」という題ですが、正確には「安倍官邸に忖度するNHK幹部vs.正義派の記者ら」といったところです。
NHK内部の戦いの様子も興味深いものでしたが、ずっと公務員をやっていた身としては、やはり近畿財務局や大阪府の職員の行動がより興味深いものでした。
自殺された近畿財務局の職員が、国有地の不当廉売、起案文書の書き換えに追い込まれた状況などが、身につまされました。私も彼の立場なら、同じようにせざるを得なかったでしょう。ただし、私は、自殺などせず、洗いざらい公表したと思うのですが、彼がなぜそうしなかったのか、分からない部分があります。家族の安全を脅かされれば、自殺してしまったかもしれません。
また、国有地に埋められているごみの量のことで森友側に口裏合わせを依頼した近畿財務局の職員も、本来は正義感の強い方のようです。
大阪府の私学審議会では、委員には小学校の許可に否定的な意見が多かったにもかかわらず、府職員である事務局が強引に「許可相当」の方向に持っていったようです。
私もこれまでに上からの圧力は経験していますが、これほどの不正を強いられたことは、幸いにしてありません。公務員にとっては、ケーススタディーになります。
正義感の強い公務員に不正行為を強いた人たちに、あらためて怒りを覚えました。このようなことは、これで最後にしたいものです。
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