世界で起きていることや西洋の文学を理解するためには聖書やコーランの基礎的知識が必要だとの考えから、この著者による一連の解説書を読んでいます。

「コーランを知っていますか」(阿刀田高)を読んで

 「旧約聖書を知っていますか」(阿刀田高)を読んで

 

 著者は、大多数の日本人と同様、信仰を持ちません。信者でない客観的な視点、推理作家としての視点から聖書を解釈されています。その見解には、同じく信仰を持たない身から、深く同意する部分がたくさんあります。

 

 本書は、聖書のあらすじをまとめたものではありません。新約聖書にもたくさん収められているエピソードの中で、ごく有名なものしか紹介されていません。しかし、それで、新約聖書にはどういうことが書かれているか概観できるように解説されています。

 

 新約聖書は、長短さまざまの27巻で構成されていますが、これらは別々に時期に別々の人が書いたものを後に聖典として一つにまとめたもののようです。中心をなすのが、「マタイによる福音書」「マルコによる福音書」「ルカによる福音書」「ヨハネによる福音書」4つの福音書です。これらは、イエスの孫弟子あたりが直弟子から聴いたことをまとめたようで、著者は「福音書は、イエスの言動を伝えるものと思われがちだが・・・そして、たしかにそういう部分を含んではいるのだが、厳密に言えば、それぞれの著者がイエスをどう捕らえたか、どう伝えねばならないと思ったか、執筆者の主観と立場を反映したものである。」と書いています。

 他の巻は、使徒言行録やパウロ等の使徒の手紙(各地の教団へ出した檄文、最後の審判などのヨハネの幻視を記した黙示録など)です。

 旧約聖書では、神がイスラムの民ばかりをえこひいきしていたことと比較し、新約聖書は、キリスト教が世界宗教に脱皮していく様子も記録されています。初期のキリスト教徒は、割礼もし、ユダヤ教の律法も守っていたようですが、パウロ以降、変容していく様子も解説されています。

 

 旧約聖書では、正直に言ってキリスト教のことが嫌いになりましたが、新約聖書で、少し見直しているところです。興味を持たれた方が読むとすれば、やはり順番どおり、「旧約聖書を知っていますか」「新約聖書を知っていますか」の順で読まれることをお勧めします。

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