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4月1日の奇跡

 昔から、一部で、「41日の奇跡」と呼ばれている現象があります。

 毎年、全国各地の役所で41日という日付の入った契約書が大量に作られます1日でそんなに多数の契約の締結ができることだけでも驚きです。更に驚くべきことは、その契約を締結するための、起案や見積もり合わせまで、すべて同日に行われているケースが多いことです。

 役所で何かの契約を締結するには、原則は入札ですが、入札までは要しない場合でも多くの手続が必要です。まず、担当者が性能や価格を調査して原案を作ります。そして起案(契約執行決議、支出負担行為決議など)をして権限を持つ役職員が決裁をするのですが、その中で、予定価格(契約の上限額)、契約の方法(入札、随意契約など)、相手方候補者(入札参加者、見積書をもらう相手等)を決めます。見積もり合わせによる随意契約を例にとると、その後、相手方に見積書の提出等を依頼し、提出されたら見積もり合わせをして相手方を決定し、ようやく契約を締結することができます。これらの起案以降の手続のすべてが、41日に行われたことになっているケースも多いようです。

 なぜこのような馬鹿げたことが行われているかというと、「予算単年度主義」により、役所の契約は、年度内に完結することとされ、年度をまたぐことが原則として禁止されているからです。そのため、多くの契約が4月1日から3月31日までを履行期間として4月1日付けで締結されるからです。

土曜、日曜も奇跡は起こる

 土曜日、日曜日は、一般的な役所は閉庁ですが、41日が土日であっても、41日という日付の契約書は、いつもの年と同じように大量発生します。契約の締結のために大勢の公務員が休日出勤するとは考えられず、別の日に締結した契約書の日付だけを41日にしていることは明白です。今年、41日は土曜日ですが、昨年と同じ程度、41日付けの契約書が作成されるでしょう。

民間とは違う!  公務員の場合は犯罪だ!

 「契約書の日付の遡りなどは民間でもやっていることだから、どうでもいいよ。」と言われるかもしれませんが、民間と地方公共団体では、契約書の位置づけが全く違うのです

 地方自治法第234条第4項では、「普通地方公共団体が契約につき契約書・・・を作成する場合においては、当該普通地方公共団体の長又はその委任を受けた者が契約の相手方とともに、契約書に記名押印し・・・なければ、当該契約は、確定しないものとする。」と規定しており、契約書に両者の記名押印が完了することが契約の成立、効力発生の要件になっています。

 一方、民間は、民法により、契約の効力は申し込みに対して承諾があったときに成立し、契約書の作成は効力発生要件ではありません。つまり、民間ならば、41日に契約の効力を発生させるという両者の合意があれば、契約書の作成が後日になっても問題ないわけです。

 公務員が、本当は43日に作成した契約書を41日の日付にした場合は、刑法第156条の虚偽公文書作成罪に当たると考えるのが当然です。

  刑法第156条(虚偽公文書作成等)

公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したときは、印章又は署名の有無により区別して、前2条の例(有印等の場合、1年以上10年以下の懲役)による。

必要悪ではない!簡単に避けられるのに・・・

 真面目な公務員もこのような犯罪行為に手を染めています。それも、たいして罪悪感を感じることなく・・・。それは、おそらく、これは制度の欠陥でやむを得ないこと、必要悪だと考えているからだと思います。

 しかし、地方自治法の「長期継続契約」の制度を使えば、大部分は犯罪を避けられるケースであり、一部のきちんとした地方公共団体では、そのようにしています。この制度は、毎年41日から役務の提供を受けることが必要な庁舎の警備、清掃、設備やソフトウェアの保守管理などの契約、複数年にわたる機器のリース契約、不動産の賃貸借契約等は、年度を超えて契約することを許容する制度です。

これを使えば、現在、日本中で虚偽公文書作成罪を犯しながら行われている契約の大部分は3月中に契約してもいいのです。

 具体的には、別稿で、そのようにしていい根拠などをお示しします。


  長期継続契約の制度をもっと有効に活用せよ! 

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