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一部の自治体では、財務規則で、「立替払費用償還」という制度を設けています。
しかし、この制度は、違法といわれているため、多くの自治体では設けていません。総務省の研究会では、この制度化の必要性に言及していますが、実現の見通しは、不透明です。
制度を設けている自治体の規則例
第○条 収支命令職員は、緊急かつ予期しない場合において、即時対価を支払わなければ物品の購入、通信運搬、借上げ、人夫の雇用等諸役務の調達が著しく困難な経費を立て替えて支払をした職員に対し支出しようとするときは、当該職員に立替払費用償還請求書を提出させなければならない。
違法とされている理由
自治法第232条の5第1項で、自治体の支出は債権者のためでなければしてはならないことになっており、また、同条第2項で、そのやり方も限定しています。限定列挙されている中には、職員が債権者に対して立替払いしてそれを後日自治体が償還するというやり方は、ありません。
したがって、自治体は本来、規則でそのような手続を定めてはならないことになります。
〈参照条文〉
地方自治法
第232条の5 普通地方公共団体の支出は、債権者のためでなければ、これをすることができない。
2 普通地方公共団体の支出は、政令の定めるところにより、資金前渡、概算払、前金払、繰替払、隔地払又は口座振替の方法によつてこれをすることができる。
この制度の必要性
規則で制度を設けている自治体も、違法といわれることは承知の上で、制度化しているのでしょう。私も、必要な制度であると思います。
この制度を否定する人は、「あらかじめ資金前渡を受けておけば、立替払などをしなくて済むはずだ。」と言います。多くの場合、その通りなのですが、うっかり失念して事前手続をしないまま立て替えざるを得なかったとき、それを職員に負担させるようなことは不公正です。制度は、ミスがあった場合もカバーできるようにしておくべきであり、このような制度は絶対に必要です。
正々堂々と立替払費用償還をする仕組がないと、裏金を作っておきたくなったり、妙な裏技を生み出したりするようになるものです。
したがって、私は、これは現行自治制度の瑕疵であると考えており、制度化している自治体を批判しません。