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※ 本稿で指摘した誤りの一部は、第4次改訂版第4刷では訂正されています。(2019年2月)
地方公務員の新採用職員用テキストとして使用されることが多い「地方公務員 フレッシャーズブック」が改訂されました。平成29年度の研修では第3次改訂版を使いましたが、内容的にかなり古いため改訂を待ち望んでいました。それが、せっかく新しく改訂された第4次改訂版にいくつか誤りが残っており、少しがっかりしています。これをテキストに使用される団体は、注意された方がいいと思います。
使用するなという趣旨ではありません。全体的に見て、この本が最も適当だと思うので、我が団体でも新年度に使用するつもりで、注意を喚起したいという気持ちだけです。だから、万一出版社の方が御覧になっても、怒らないでください。営業妨害になるような書き方はしませんので…。
先日、新年度のテキスト用として講義準備のために配付されたので、我が団体で使用を予定している第1編、第2編だけ、ざっと目を通しました。完全な間違いが二つ、がっかりした部分が三つありました。精査すれば、もっとあるだろうと思います。
本稿では、使用の際に特に注意いただきたい間違い部分の二つについて、まず、御紹介いたします。
休息時間が一般的?
国家公務員の休息時間が平成18年に廃止され、地方においてもその後順次廃止されました。平成28年4月時点で廃止していないのは、1団体だけのようです。
このテキストでは、次のように説明しています。
「休息時間は、労働基準法によるものではありませんが、従前の国家公務員の例に準じて、午前・午後それぞれ15分間の休息時間を条例で定めているのが一般的です。」
平成19年ころにはこういう状況だったかもしれませんが、平成22年ころにはほとんどの団体で廃止されていました。ずっと前から改訂漏れが続いているようです。
遅延防止法の説明に誤り
テキストでは、次のように記載されています。
「地方公共団体が契約の対価を支払うのは、給付完了の確認又は検査を終了した後、相手方から適法な支払請求書を受理した日から、原則として工事代金については40日、その他の対価は30日以内とすることとされています。」
「政府契約の支払遅延防止等に関する法律」では、契約書を作成する場合は対価の支払の時期を明示することとし、その明示すべき時期として、「適法な支払請求書を受理した日から、原則として工事代金については40日、その他の対価は30日以内」としています。また、定めをしなかった場合は、相手方が支払請求をした日から15日以内の日と定めたものとみなすこととされています。単純に、40日、30日以内に支払えばいいものではないのです。
新採用の職員が、庶務、会計に配属され、契約書など作成せずに事務用品を購入した請求書の処理をすることもあるでしょう。30日以内に支払えばいいと思っていると困るので、職員に配付する際は、注意が必要です。
誤りとまでは言わなくていいものの、がっかりしたこと、不十分と思われることは、次稿で紹介させていただきます。