地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2018年03月

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 前稿では、調定日の属する年度をその歳入の所属年度にしようとすると、特別徴収分の住民税等で矛盾が生ずることを述べました。

 「歳入調定の時期と年度区分(1) 45月特別徴収の住民税等」

 

 本稿では、延滞金や督促手数料等で生ずる矛盾について述べます。

 

延滞金や督促手数料の所属年度

 地方自治法施行令第142条第3項は、次のように規定しています。

「3 普通地方公共団体の歳入に係る督促手数料、延滞金及び滞納処分費は、第1項の規定にかかわらず、当該歳入の属する会計年度の歳入に組み入れるものとする。」

 つまり、税や使用料などの収入が延滞になって、出納整理期間中に収入されたら、その収入自体は旧年度の歳入になります。その場合は、そこで生じた延滞金や滞納処分費も旧年度歳入にするということです。

 当然、本収入が納付されなければ延滞金等の計算はできませんから、それらの金額が確定するのは、4月以降になります。調定した日で所属年度を判別しようとすると、自治令の規定と矛盾が生じます。

 それについて、「地方財務実務提要」などは、次のような苦しい説明をしています。

①「観念的には本収入が調定された時点において当該付帯収入の調定が行われたと解するほかはないでしょう。

②「督促手数料等の形式上の調定行為は4月、5月の日付で行われても、この行為は法律上の調定行為というべきものではなく、単なる財務手続上の整理にすぎないと考えるべきでしょう。この場合の法律上の調定行為は、観念的に、本収入の納期限後発生する附帯収入として、前年度の331日までに基礎計算の表示があれば、それが督促手数料等の実質上の調定であると観念せざるを得ないものであり、」

 

 思わず失笑してしまうような苦しい説明です。本収入を調定するときに延滞になることを想定して基礎計算を表示しておく担当者は皆無でしょう。基礎計算の根幹は、何日に納付されたかであり、それが分からずに「基礎計算の表示」などできるはずもありません。結局、「観念的に」、旧年度中に行ったことにしてしまうということです。法令の規定による調定の意味を無視しています。

 

 別稿でお示ししたように、歳入の調定に時期については、地方自治法、自治法施行令に、明確な定めがありません。

 「行政財産使用許可に伴う使用料等の調定の時期」

 前稿でお示ししたように、調定の日をその歳入の所属年度にしなければならない法令上の根拠はありません。

 「歳入調定の時期と年度区分(1) 45月特別徴収の住民税等」

 

 調定日は、その歳入の所属年度内の日でなくてはならないという根拠のない呪縛のため、多くの職員が、虚偽の日付の記載を強いられています。そんな呪縛を脱し、実際にその収入の金額等を調査、決定した日を正々堂々と調定日にすべきです。


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 歳入の調定を行うべき時期について、地方自治法や同法施行令で明確な規定がないことについては、別稿で紹介いたしました。

 「行政財産使用許可に伴う使用料等の調定の時期」

 

 ここでは、そのことによって実務に生じている疑問について述べたいと思います。

 

自治令は調定の時期と年度区分を関連付けていない

 歳入の会計年度所属区分は、地方自治法施行令第142条に規定されています。長いので引用できませんが、この各項、各号で年度区分の基準としているのは、納期の末日特別徴収義務者が徴収すべき月納入通知書等を発した日申告があった日などです。

 調定とか、歳入の原因となる契約や許可の日とかを基準とする文言は、一切見当たりません。

 さらに、調定の日と納入通知書等を発する日を同じ年度にしなければならない根拠もなく、そのことは総務省も認めています。調定を旧年度中に行い、納入通知書の発送が新年度になっても、別に違法ではなく、その場合は、新年度の歳入になるということです。

 

翌年度以降の歳入の調定はできるか

 調定の日と歳入の所属年度とを直結させる必要がないとすれば、翌年度以降の歳入の調定を行うこともできそうです。

 典型的なのが、特別徴収の住民税です。あれは、5月中に給与支払者等に徴収すべき税額を通知し、6月分の給与から翌3月分の給与から特別徴収される分は当年度歳入に、翌4月と5月の給与から特別徴収される分は翌年度歳入になります。この翌年度4月、5月分の調定は、いつ行うべきなのでしょうか。当年度末の3月までの分の調定を行うのと同時に、当年度の5月頃行っていいのか、翌年度に入ってから調定しなければならないのかが問題です。

 

システム上の問題とは別に考えるべき

 電算のシステムで、平成30510日に調定しても平成31年度歳入にできるなら問題はありません。調定の日で、歳入所属年度を決めてしまうようなシステムになっていると、調定の時期は31年度になってからでなければならないことになります。

 しかし、それはシステムの問題であり、制度上、法令上どう判断すべきかとは関係ありません。

 

国の「通知」の疑問

 昭和381219日付けで、次のような通知(質疑応答)があります。

 問 新令第142条第1項第3号ただし書の規定による収入の調定の時期は予算に計上してあれば41日以降調定してさしつかえないか。

 答 調定は年度内にしなければならない。

 この通知は、次のような意味です。

「随時の収入で通知書等を発しないものは、領収した日の属する年度の歳入とする。ただし、地方交付税や地方債は、その収入を計上した予算の属する年度にするが、その場合でも、調定は3月末までにやっておかなければならない。」

 この通知は、3号ただし書にいう地方交付税や地方債などのことだけ言っているのか、収入調定全般について言っているのか、明確ではありません。しかし、いずれにしても内容に疑問があり、無理な事務処理をさせる元凶になっています。

 

「調定」とは何か

地方自治法 (歳入の収入の方法)

第231条 普通地方公共団体の歳入を収入するときは、政令の定めるところにより、これを調定し、納入義務者に対して納入の通知をしなければならない。

地方自治法施行令 (歳入の調定及び納入の通知)

第154条 地方自治法第231の規定による歳入の調定は、当該歳入について、所属年度、歳入科目、納入すべき金額、納入義務者等を誤つていないかどうかその他法令又は契約に違反する事実がないかどうかを調査してこれをしなければならない。

 

 自治令の規定等から、調定とは、「所属年度、歳入科目、納入すべき金額、納入義務者等を誤っていないかどうかその他法令又は契約に違反する事実がないかどうかを調査して、収入することについて内部的に意思決定する行為」でしょう。

 相手方に徴収すべき額の通知をする前には、内部的な意思決定は済ませておかなければなりません。特別徴収義務者や納税義務者に税額の通知を出す前には、当然、内部的意思決定である調定は済ませてあるのが当然です。直感的に考えれば、翌年度歳入の調定は翌年度に入ってからでなければできないような気がしますが、法令を厳密に解釈すると、翌年度以降に収入すべき歳入の調定も今年度にできると解釈すべきだろうと思います。

 

 電算システムの問題等で、実質的な調査、確認、徴収の内部意思決定は前年度中に行っているにもかかわらず形式的な調定を当年度に入ってから行うこととしている団体や、実際の調定日と「調定日として整理する日」を分けたりする団体も多いようです。

 

 調定日と年度区分については、もう一つ問題があり、別稿で紹介します。

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 一昨日あたりからニュースに流れ始め、昨日(316日)名古屋市教育委員会がメールでのやり取りの内容を公開したことから、今朝の新聞に詳報が載りました。

 

事件の概要

 名古屋市立中学校が前川喜平・前事務次官を講師に招いて授業、講演会を行いました。それについて、文部科学省が名古屋市教育委員会に対し、前川氏を招いた意図などを執拗に問いただしたうえ、授業内容や録音データの提出を市教委に求めていました。その要請メールの中で、前川氏が組織的天下り問題で処分を受け次官を辞任した経緯や、出会い系バーに出入りしていたことにまで触れています。不適当なことをしでかした下部機関を問い詰めて責めているような内容です。

 名古屋市教育委員会は、メールでの質問に回答し、執拗な追加質問についても回答しています。その回答ぶりは、淡々とした落ち着いたものですが、不当な要求は拒否しています。

 

名古屋市教委の対応に拍手!

 私は、市教委の対応に拍手を送ります。地方自治や教育の自由を居丈高に主張して拒否することはせず、差し支えないことは回答しながら、不当な介入については毅然としてはねつけています。

 地方自治に携わる一員として、うれしくなりました。

 今回のことは、国の省庁にとって、いい教訓になると思います。

 

文科省の対応の見苦しさ

 それに対して、文科省のやり方のみっともなさが目立ちます。

 安倍政権の歓心を買うために、政権にたてつく前川氏の動きを封じようとしたように見えます。

 文科省は、森友、加計関係の一連の問題で政権の不興を買っており、何とか挽回しようと必死ですり寄っているような焦りすら感じます。少し、同情したくなる部分もあります。

 

文科省の居丈高な姿勢の背景には

 文科省初等中等教育局があのような居丈高な姿勢をとることの背景には、義務教育費国庫負担に基づく権限があります。教職員定数の加配の問題などです。

 この国庫負担の制度は、20年ほど前、三位一体の改革が叫ばれていた時、文科省の課長時代の前川氏が政権にたてついてまで守ろうとされたものです。おそらく、官僚生命をかけておられたのでしょう。

 その権限を背景に、文科省の今の官僚が、政権にすり寄るために前川氏を圧迫しようとしていることに皮肉を感じます。

 私も県職員のころ、公立学校の施設・設備(公立文教、産振など)の補助の手続(事業認定、単価補正など)や、大学設置認可の関係などで、頻繁に文部省、文部科学省を訪問した時期が3回ほどあります。意地の悪い人もいましたが、いい人もたくさんおられました。親切にもしていただきました。一生懸命に仕事に励んでおられる方が大勢おられました。
 国民の目線を取り戻してくださるよう願っています。

 

 今後、名古屋市には、文科省の権限を背景にしたいじめが始まる可能性があります。名古屋市教委は、そんな兆候があったらすぐに情報を公表していただき、我々も監視していきたいと思います。

 

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 先日、ある方から次のような相談をいただきました。

 「電柱や電話ボックスを置く使用許可(更新)の申請が行われ、当市ではでは3月中に決裁をとり、3月中の許可日で、許可期間を41日から翌年331日までとしている。調定は、許可日の属する年度に行い、その年度の歳入にすべきと考えるが、どうか。」
 許可を4月1日以降にするというやり方は、不適切であることは当然です。4月1日の午前零時に許可書を交付できるはずがありませんから。

 

法令に明確な定めはない

 実は、歳入の調定に時期については、地方自治法、自治法施行令に、明確な定めがありません。

地方自治法

(歳入の収入の方法)

第231条 普通地方公共団体の歳入を収入するときは、政令の定めるところにより、これを調定し、納入義務者に対して納入の通知をしなければならない。

地方自治法施行令 

(歳入の調定及び納入の通知)

第154条 地方自治法第231の規定による歳入の調定は、当該歳入について、所属年度、歳入科目、納入すべき金額、納入義務者等を誤つていないかどうかその他法令又は契約に違反する事実がないかどうかを調査してこれをしなければならない。

 普通地方公共団体の歳入を収入するときは、地方交付税、地方譲与税、補助金、地方債、滞納処分費その他その性質上納入の通知を必要としない歳入を除き、納入の通知をしなければならない。

 前項の規定による納入の通知は、所属年度、歳入科目、納入すべき金額、納期限、納入場所及び納入の請求の事由を記載した納入通知書でこれをしなければならない。ただし、その性質上納入通知書によりがたい歳入については、口頭、掲示その他の方法によつてこれをすることができる。

 

 いずれも、調定の時期については、何も指示していません。

 もう一つ考えあわせるべき条文は、自治法施行令第142条の歳入の会計年度所属区分に関する規定です。この第1項第2号で、随時の収入で、納入通知書を発するものは、当該通知書等を発した日の属する年度」としています。原因となる許可や契約の日の属する年度にしなければならないのなら、そのように規定するはずです。そのような厳格な規定になっていないということは、原因行為の日に必ず調定し、納入通知書等を発行することを義務付けていないのでしょう。

 

会計年度独立の原則からは

会計年度独立の原則は、各年度に支出すべき経費の財源は、その年度における収入によって調達すべきことをいいます。役所の会計は現金主義なので厳密な運用はできませんが、企業の会計では、費用収益対応の原則から、費用や収益を所属させる年度は、その原因の存在する年度に厳密に一致させます。例えば、6月のボーナスは、前年度の12月から当年度の5月までの勤務に対するものだとすれば、4か月分は前年度の経費にし、2か月分だけ当年度の経費にします。

その考え方からすれば、平成30年度に行政財産を使用させる許可による使用料は、平成30年度の歳入にするほうが望ましいと考えられます。そのためには、3月中に許可したものも、調定は4月に行い、新年度歳入にすべきと思います。

いずれにしても、自治法等に明確に定められていない問題であり、各自治体の判断で、やり方を決めていいことだと思います。

 

昔は・・・

 私も、新採用に近いころ、県の土木関係の出先機関で、道路占用料などの徴収を担当していました。年度末には、更新の許可を大量に行わなければなりません。許可だけは、何とか前年度末までに間に合わせたとしても、調定、納入通知書の送付までは、絶対に不可能でした。

 当時は、調定決議書も納入通知書も、何枚かの複写の用紙に手書きで記入し、納入通知書は封筒に手書きで宛先を書いて郵送していました。何とか5月中旬までには発送できるよう、頑張って残業したものです。6月にずれ込むと監査から指摘されるなどと言われていました。

 そんな状態ですから、許可の日と調定の日を同じ年度にすべきだという考えは、浮かぶはずもありません。

自治法、自治令のこの部分は、私が担当していたよりも更に昔のローテクの時代に制定されています。今のように、更新分の調定決議書や納入通知書などは台帳システムから自動的に打ち出される状態を想定してはいないと思います。

 

法令で調定の時期や年度区分が明確に定められていないことで、実務に疑義が生じている問題があります。これについては、別稿で改めて紹介いたします。

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 財務省が、検察庁に押収されていることを理由に森友学園関係の書類の提出を拒んでいたことについて、検察の事情を知る識者からの批判が相次いでいました。頼めば貸してくれるはずだということです。私も、あれは単なる逃げ口上に過ぎず、既に存在を知っているか、探す気がないかのどちらかだと思っていました。

 私は、40年近く前、県庁の新採用職員の時、税務の調査のため、検察庁で、押収している書類の検査をさせていただいたことがあります。特に面倒な手続もなく、この経験から、財務省の言い分は嘘であることを確信していました。

 

償却資産の知事配分

 固定資産税は、市町村税なので、一般には市町村が調査などを行いますが、二つ以上の市町村にまたがって存在する償却資産は、県に申告していただき、知事が関係市町村に課税標準額などを配分する制度があります。資産が複数都道府県にまたがっていると、総務大臣の配分になります。鉄軌道、送油菅、送ガス管、工業用水道管などが、配分資産に指定されています。

 

 私の在職していた県では、これらの知事配分資産について、数年に一度は調査に行って、正しく申告されているかどうか確認することにしていました。その年に調査すべき順番の資産の所有会社に調査に訪問したい旨の連絡をしたところ、会社がある事件の捜査を受けていて経理関係の書類が検察庁に押収されているとのことでした。

 

検察庁での調査

 今の私ならば、そんな面倒なことには関わらず、順番を後回しにしたと思います。が、真面目で怖いもの知らずだった新採用職員の私は、検察庁(地方検察庁)に電話で依頼し、検察庁で書類検査をさせていただきました。

 調査する権限などを記載した公文書の依頼を持って行っただけで、特に面倒な手続はありませんでした。

 検察庁の執務室の会議テーブルに書類を出していただき、先輩職員と二人で、固定資産台帳などを探して確認しました。検察庁の職員の方は、同じ部屋で執務されていましたが、特に厳しく監視されることもありませんでした。ただし、これが、事件当事者の会社の職員だったら、証拠隠滅をしないか、もっと厳格な対応だったと思います。

 調査を終えて帰る前にお礼の挨拶をしたとき、検事さんが、「何か見つかりましたか?」と期待を込めて聞かれました。

 「いえ、この資産の申告については、正しく行われているようです。」とお答えし、帰庁しました。

 

 昨今の一連の事件のおかげで、忘れかけていた懐かしい新採用時代の一コマを思い出しました。


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