地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2018年08月

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 私は、慰安婦問題について、朝日新聞も騙されていたものであり、他にも騙されて報道していた新聞もあることから、朝日新聞に対しては比較的同情的でした。しかし、今度発覚した姑息な工作は、弁解の余地がありません。

 

英文の訂正記事に検索回避の工作

 朝日新聞は、今も英文記事で、慰安婦について「forced to provide sex」と日本軍が強制したかのような表現を使用し続けているとのことです。そこで、ケント・ギルバート氏と、オーストラリア・ジャパン・コミュニティ・ネットワーク代表の山岡鉄秀氏は、以前から朝日新聞に対し、このようなミスリードを発生させる表現を今後使用しないこと、および、いわゆる吉田証言は虚偽であり、記事を撤回した事実を英文で再度告知することなどを求めていました。

 しかし、朝日新聞は、吉田証言が虚偽であることを認めた201485日付け記事の英訳版は『朝日新聞デジタル』に掲載していて現在も全文閲覧できることを7理由として、これを拒否していました。

しかし、その英訳記事は、朝日新聞が提示したURLを直接入力すると画面が表示されますが、グーグル、ヤフーなどのサーチエンジンで検索しても出てこないので、ケントさんなどは不思議に思っていたそうです。そのことをテレビで話したところ、ネット民が朝日新聞の姑息な工作を発見しました。

誤報を伝える英訳記事には、検索を回避させる『noindex』『nofollow』などのコマンドが埋め込まれていたそうです。さらに、英文記事であるにもかかわらず、日本語サイト内に作成されており、『日本語の記事』と定義するタグも埋め込まれ、外国のユーザーが英語で検索しても拾われないようになっていました。これでは、誰も閲覧することができなかったわけです。

この検索回避工作は、朝日新聞が慰安婦と女子挺身隊を混同していたことを認めた記事にも施されていました。朝日新聞は、自分に都合の悪い訂正記事などは検索エンジンにかからないようにしていたわけです。

 

あらためて英文で虚偽だったことを告知せよ

 いささか時機を失した感はありますが、朝日新聞は、今からでも、日本軍による強制連行などは虚報だったことをあらためて全世界に周知する義務があります。「慰安婦問題の本質は変わらない」などと馬鹿げた言い訳をする前に、まずは事実を世界に周知することが朝日新聞の義務でしょう。

 

 昔、朝日新聞は、格調の高い権威ある新聞でした。私も就活の学生のころ購読していた時期があります。

 真摯な反省の下、立ち直ってほしいものだと思いますが・・・。

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 826日、安倍首相は、訪問先の鹿児島県垂水市で来月の自民党総裁選への出馬を正式に表明しました。記者団に対し、桜島をバックにビジュアルな効果も狙った演出でした。

同じ日、安倍首相は、鹿児島県鹿屋市で開かれた森山国会対策委員長の講演会合に出席し、「ちょうど今晩のNHK大河ドラマ『西郷どん』は『薩長同盟』だ。しっかり薩長で力を合わせ、新たな時代を切り開いていきたい。」とスピーチして、薩長の絆を強調してみせたとのことです。

鹿児島でのリップサービスに過ぎないことは承知しています。しかし、そういう言動がこの国の多くの人々に恨みを思い出させ、国を分断するものであることに思いが至らない鈍感さにあきれます。

薩長だけで勝手にやってくれと言いたくなる人たちもいるでしょう。

 

150年後も残る複雑な感情

 私は、賊軍とされて特別にひどい目にあわされた地域の出身ではありません。しかし、いろいろな歴史を読み、いわれもなく賊軍、朝敵とされた人たちに同情し、今も恨みを忘れていない地域の気持ちがよく分かります。

 安倍首相に限らず、勝った側の地域の人たちにとっては、薩長連合とか薩長土肥とかは、輝かしい歴史を感じる言葉なのかもしれません。しかし、それ以外の地域の人たちにとっては、いいイメージの言葉ではないことを理解しなければなりません。

 「平成の「薩長土肥」連合?」

 「「明治維新という過ち」(改訂増補版、原田伊織)を読んで」

 

 

歴史の検証を

 この発言で、福島県を中心とした東日本の地方票が多少は逃げるでしょうが、今回の自民党総裁選はすでに結果が見えていると言われています。

 安倍首相は、先祖が150年前に申し訳ないことをしたという忸怩たる気持ちはないようです。2007年には、参院福島補選で応援に入った安倍首相が「(戊辰戦争で)先輩がご迷惑をかけたことをお詫びしなければならない。」と謝罪しましたが、自民党候補は落選しました。あの謝罪は、選挙目当ての口先だけのものであったことが、ここで露呈してしまいました。

 30年前、戊辰戦争後120年の時に、山口県萩市から会津若松市に友好都市締結の話があり、会津若松市民が猛反発しました。締結に前向きだった市長は翌年落選したそうです。その後も和解の機運は高まりません。

戊辰戦争が必要だったのか、恭順を示していた会津、桑名、庄内藩などをあれほど酷い目にあわせたことが正しかったのか、検証すべきだと思います。

 それがなければ、いつまでも恨みは続きます。


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 20188月、多くの中央省庁、いくつかの県で、障害者雇用率を水増しして報告していたことが明らかになりました。まずいくつかの省庁で発覚し、それを契機に、県などにも拡大したようです。

 

気持ちは分からなくもないが・・・

 私も、県の教育委員会でこれらを担当したことがあり、悩まされていました。私が担当したころは今ほど法定雇用率が高くなく、2%くらいだったと記憶していますが、私が在職していた県は、知事部局も教育委員会も達成できていませんでした。そのため、毎年のように労働局から嫌味を言われ(文書で注意)、議会でも追及され、かなりのプレッシャーを感じていました。

 障がい者の採用に努めたのはもちろん、既にいる職員の中で病気などで障害者手帳を取得した人の掘り起こしも試みましたが、手帳を持っていない人まで加えて水増しすることまでは思いつきませんでした。やりたくなる気持ちは分からなくもありませんが、禁じ手でしょう。
 
また、水増ししていた省庁や団体で、意図的な虚偽ではなかったと主張する声もありますが、1人や2人ならともかく、十人以上の水増しなら、意図的なごまかしでしょう。障害者手帳を持っていることが大原則であることは、担当者の常識です。

 

達成の困難さ

 まず、県の教育委員会についてですが、圧倒的な人数を占めるのは教員です。しかし、そもそも教員免許を持っている障がい者が少なく、採用自体が困難でした。その分を事務職員などでカバーしようとしても、無理でした。

 知事部局など、一般的な行政職場でも、電子化や外部委託が進んでいることなどがネックになっています。浄書(タイピストや印刷機の操作など)、清掃のような仕事は、ほとんどありません。

 県の職場は、バリアフリーになっているところが多いので、下肢だけの障害で車椅子を使用している人などは採用できる場合が多いのですが、障害の態様によっては、仕事をしてもらえそうな職場が見当たらないことも多々ありました。

 こういう事情は、民間もほぼ同じでしょうから、言い訳にならないことは理解しているのですが・・・。

 

業務の見直しが必要か?

 今後、技術の進歩によって障がいをカバーできるようになるかもしれません。しかし、業務の見直しによって、既に外部委託している業務を直営に戻すなどをしなければ、法定雇用率の達成は難しいような気がします。


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 また信じられないようなニュースが報じられました。

 サントリー系列の飲料会社ジャパンビバレッジの支店長が、部下に「有給チャンスクイズ」と題したメールを送りつけていました。クイズに正解しなければ有給休暇を取得させないとする内容でした。

不正解だった部下には、実際に有給休暇の取得を認めていなかったとのことですが、お粗末にも出題ミス?のため、正解はない問題とのことです。笑い事ではありませんが、思わず失笑してしまいます。

この事件には、常識では考えにくいことが、重なっています。

 

管理職教育は?

 公務員の職場でも有給休暇が取得しにくい職場があるので、この支店長が有給休暇をなかなか認めたがらなかったことは、不適正であることはもちろんですが、驚きはありません。驚くのは、名前の通った企業グループの支店長が、有給休暇が労働基準法で認められた権利であることを知らなかったと思われることです。全く、そういう教育を受けずに管理職になっていたわけです。

 私も長く管理職をやっていましたが、職員団体と交渉等をするとき、こちらに弱みがあってはまともに交渉できません。特に、サービス残業を強いたり有給休暇を取得しないように圧力をかけたりすれば、職員団体から吊るしあげられるので、そんなことはしようとも思いませんでした。

 この支店長は、ほかにもパワハラ、労基法違反のようなことを繰り返していたようです。企業の管理体制がずさんだったことは間違いありません。

 

組合は必要だ

 以前から、労働組合、職員団体の組織率の低下が続いています。組合のない職場、組合に入らない労働者も増えているようです。

 私は、組合や職員団体が政治活動をすることには反対していますが、今回のジャパンビバレッジのような事件もあるので、組合自体はやはり必要だと思います。

 この支店長の問題を明るみに出したのも外部組合(ブラック企業ユニオン)です。

 こういう組合と日常的に対峙していないと、当局側にゆるみが生じてしまうのでしょう。


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 2020東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森会長の要請を受けて、安倍首相が自民党にサマータイム導入の検討を指示したとの報道がありました。それを受けて、多くの識者が反対を表明しています。反対の声が圧倒的ですが、自民党や経済界の一部が導入に積極的らしいので、少し心配です。

 ちょうどこのタイミングで、以前からサマータイムを実施していたEU諸国で、廃止に向けた議論が進んでいるという報道がいくつか流れました。ヨーロッパ議会が、サマータイムが健康に悪影響を及ぼすことなどを理由に、今年2月に、廃止の是非を徹底的に評価するよう求めた特別決議を採択し、本格的な議論を始まったとのことです。

 これで、森会長の赤っ恥の歴史が一つ増えただけで、日本での馬鹿馬鹿しい議論にも終止符が打たれるのではないかと、期待しています。

 

サマータイム導入論にも2種類

 現在のEU諸国のように、時間を前後させてしまう純粋なサマータイムを主張する人がいます。一方、わざわざ時間、時計を動かさなくても、夏期には企業や官公庁の始業時間を1、2時間早めればいいという意見もあります。例えば、現在は830分の官公庁の始業時間を、夏期は630分にすれば、わざわざ時計をいじらずに済むというわけです。

たしかに、いろいろなシステムの改修は少なくて済むかもしれませんが、実効性が疑問です。国家公務員の始業時間を前倒しにすることはできるでしょうが、民間企業が一斉に右へ倣えをするとは思えません。地方自治体の足並みも乱れるでしょう。実際上は、無理だと思います。導入するなら、EU型しかないでしょう。

 

サマータイムはメリットがあいまいでデメリットは明白

東京オリンピックを口実にする人がいますが、バカも休み休みに言ってほしいものです。各競技の時間を適当に設定すればいいだけで、日本中を付き合わせる必要はありません。

導入推進派の最大の理由は、省エネです。職場の冷房費用はたしかに節減できると思いますが、その分、家庭の冷房費用が増えてしまうでしょう。産業界の狙いは、そこかもしれません。また、システムの切り替えなどに費用や手間がかかります。費用や手間がかかるということは、エネルギーを消費するということです。本当に省エネになるか、疑問です。

余暇の活動などによる経済効果を主張する人もいます。経済効果があるということは、経済活動が行われる、エネルギーが使われるということで、省エネとは逆行します。また、早く帰宅できたとしても早く就寝しなければならないので、余暇時間が増えるわけではありません。経済効果など、疑わしいものです。

EUで議論されているように、健康に悪いのは確実でしょう。就寝時間、起床時間を前後させることは容易ではありません。切り替え後しばらくは、寝不足になりそうなことは、容易に想像できます。日本睡眠学会の医師によると、睡眠不足により、心筋梗塞、脳卒中、うつなど、様々な病気のリスクが高まるとのことです。

 

 健康に悪いとすれば、仮に少しばかり経済界に利益があったとしても、導入してはならないことは当然です。


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