地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2018年10月

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 1030日、韓国の最高裁判所で、危惧されていたとおり、日本企業に戦時徴用についての賠償を命ずる判決が出ました。

 一番困っているのは、韓国の外交当局などで一応の常識を持った人たちだろうと思います。安倍総理も、「毅然と対応」を明言していますが、どんな対応を見せてくれるのか楽しみです。これまでのように、単に「強い遺憾の意」を表したり、通貨スワップの締結に応じないなどくらいでは、国民の納得が得られないでしょう。少なくとも、日本企業など日本側に損害が及ばないような措置が必要です。

 

そもそも日韓請求権協定では

 日韓請求権協定では日本が韓国に有償・無償合わせて5億ドルの経済支援を与える見返りに「両締結国及びその国民の間の請求権に関する問題が・・・完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する」と明記しています。それでも日本側は不安だったようで、さらに「締結国及びその国民の・・・すべての請求権であって、同日(協定に署名した日)以前に生じた事由に基づくものに関しては、いかなる主張もできないものとする。」と念を押しています。

 どう解釈しても、徴用についての個人賠償の請求など、日本側にはできない条文です。

 また、完全に対等な当事者の交渉であり、日本が押し付けたものでないことは明らかです。

 

交渉過程でも

 国交正常化交渉は、日本の敗戦間もない昭和26年に始まっていますが、当初、韓国政府が補償を請求してきた項目には、「被徴用韓人未収金」「戦争による被徴用者の被害に対する補償」が入っています。日本側は被徴用者に対する個人賠償をしようとしたのに対し、韓国が経済支援の方を希望し、最終的にあの協定で決着しています。

 そのような経過からも、韓国最高裁の理屈は理解できないものです。

 

韓国政府も

 韓国政府も、今の文在寅政権は分かりませんが、過去には、日本に対する請求はこの協定によって既にできないことを明言していました。文在寅の師匠の盧武鉉政権もそうでした。この件については、交渉の両当事者が一致しているのです。

 完全に韓国の国内問題です。

 

対応策は?

 韓国政府の問題ならともかく、司法の問題なので、日本政府としても今すぐに強硬な対応は採れないでしょう。せいぜい国際司法裁判所に提訴するくらいでしょうか?

 私は国際法、訴訟法には詳しくないのですが、日本の裁判所での請求権を認めなかった判決との関係はどうなるのか、また、もっと早く、日本企業側から「請求権不存在確認訴訟」を日本の裁判所に提訴する手法は採れなかったのかなという疑問を持っています。今度、知り合いの弁護士にあう機会に聞いてみようと思います。

 

 安倍政権には、韓国側が二度とこのような愚挙を起こそうという気になれないような、強力な対応を期待しています。

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  副題: 東大ゼミで「人間と歴史と社会」を考える

 本書は、東京大学の大沼保昭教授が、その法学部・公共政策大学院の合併ゼミとして、慰安婦問題を通して人間と歴史と社会を考えるというテーマで1年間にわたり行われたゼミの記録です。その間、アジア女性基金にかかわった人たち、国の責任を曖昧にしたままの基金による償いに反対して国家補償を主張する人、補償に反対の立場の論客、歴史家など、20名ほどの人たちの講演を聴き、質疑応答をされています。本書では、その中から和田春樹氏、秦郁彦氏、吉見義明氏、上野千鶴子氏、長谷川三千子氏、石原信雄氏、村山富市氏の講演とゼミ生との質疑応答の概要、その他の講師の講演概要がまとめられています。

 編著者の大沼教授自身は、アジア女性基金の設立にも大きく関わった方で、元慰安婦に対する補償を推進された立場です。

 

分かったこと、分からないこと

 私は慰安婦問題について自分なりの考えは持っていましたが、事実はどういうことであるのかをもっと明確に知りたいという気持ちがあり、本書を読んでみました。

 軍などによる強制性を認め、補償に賛成する立場の人たちも含め、歴史学者の方たちは、朝鮮半島においては軍や官憲による強制連行とか、女子挺身隊として徴用した女性を慰安婦にしたなどということについては全く裏付けがなく、そんな事実はなかったであろうことについては、概ね一致しているようです。

 慰安婦の募集や移送について軍や行政が便宜を図り、また、慰安所の管理運営について軍の統制があったことについても、一致しています。ただし、それをもって「強制性」として補償を要するものと考えるかどうかという点で、考え方の相違があるだけのような気がします。他に何か「強制性」を示す具体的な事実がないか、注意深く読んでみましたが、本書からは読み取れませんでした。

 官憲が、甘言を弄して女性をだまして連れて行ったという元慰安婦の証言はありますが、目撃者の証言などはないようです。補償を支持する立場の人の中には、それらの証言を一部信じる人もいますが、怪しげな証言もあることは認めているようです。

 悪質な業者を官憲が取り締まっていた資料があるので、悪質な業者もいたことは間違いないでしょう。ただ、ほとんどの場合、連れていかれた親、家族にかなりの額のお金が支払われ、抵抗運動などが発生していないことからすると、親や家族は知っていたと考えるほうが自然だと思います。

 

 慰安婦を利用したという道義的な責任はあるかもしれませんが、当時は違法ではなく、それを断罪するなら他国の軍隊も同罪です。

 政府には、強制連行などという根も葉もない言いがかりに対しては、毅然として対処していただきたいと思います。

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 題名を見れば見当がつく通り、加計学園の獣医学部新設と安倍総理の関与についての詳しいレポートです。加計学園の問題が明るみに出る前、昭恵夫人がフェイスブックに投稿した写真(安倍総理、加計理事長ら、親しい友人によるクリスマスパーティーで撮影した写真)の表題「男たちの悪巧み」を引用したものでしょう。

 『「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』という副題が付されています。

 半年ほど前に市立図書館に申し込んでいましたが、ようやく順番が来て、読むことができました。国民が高い関心を持っていることがうかがわれます。

 

安倍夫妻と加計氏の深い関係

 既に国会やマスコミで話題になり、疑惑の背景にある様々な事実が明らかにされていますが、本書はさらに詳しく、深堀しています。

 安倍夫妻、時には昭恵夫人だけが加計理事長と海外へ同行し、加計学園の海外戦略の手助けをしている状況も紹介されています。加計学園傘下の英数学館小学校と米バージニア州にあるグレートフォールズ小学校の姉妹校提携に際しては、再三昭恵夫人が加計氏に同行し、加計学園に箔をつける役割を果たしています。明らかに便宜を図っている形で、獣医学部の件だけは便宜を図っていないと言われても信じることは困難です。

 元文部科学大臣の下村氏の夫人も再三同行しています。

 そのような夫婦ぐるみの深い関係性の中で、昭恵夫人は、加計学園傘下の御影インターナショナルこども園の名誉園長を務めるなどしています。森友学園の問題でも昭恵夫人が名誉校長に就任していますが、これは森友学園が加計学園の手法を真似たことなのでしょう。

 

官僚の忖度では片づけられない

 下村氏が文部科学大臣だった時には下村氏が、文部科学大臣が代わってからは、官邸の萩生田官房副長官が加計学園の獣医学部のために動いていたようです。そして、この二人には、パーティー券のまとめ買い、落選中の特認教授への採用、報酬支払という形で、資金が提供されています。

 萩生田氏等は、文部科学省で存在が明らかになった文書等で、総理のご意向として、かなり明確に官僚に対して指示しています。官僚の「忖度」で済ませられる程度を超えた指示でしょう。ただ、残念ながら、本書でも、安倍氏と下村氏や萩生田氏等の間が、明確な指示だったのか阿吽の呼吸だったのかは明確にされていないようです。

 

 これだけのことを書かれて、それに対して訴訟などで明確な反論をしていないのは、反論のしようがないのでしょう。それでも政権交代に至らなかったのは、「一強」の弊害なのだと思います。

 

 私は、本書を読んで、加計学園の件について安倍総理は黒だという確信を強めましたが、安倍氏に対する好感度はアップしました。友人をとても大切にする人であることが分かりました。

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 925日、四国電力伊方原発3号機の運転差し止めを命じた広島高裁仮処分決定を巡る異議申立ての審査で、同高裁は仮処分決定を取り消しました。当初の決定は、阿蘇カルデラの破局的噴火の可能性を理由に挙げていましたが、今回の決定では、そんなことは社会通念上、想定する必要がなく、立地は不適当とはいえないと判断したとのことです。この決定を受け、四国電力は1027日に3号機を再稼働させる予定のようです。

 

「社会通念」を都合よく解釈?

阿蘇カルデラの破局的噴火の可能性の問題が主な争点になり、この決定では、「発電用原子炉施設の安全確保の観点から巨大噴火の危険をどのように想定すべきかについては、我が国の社会が自然災害による危険をどの程度まで容認するかという社会通念を基準として判断せざるを得ない。」としています。

結局のところ社会通念を基準として判断せざるを得ないことは理解できます。また、我々は、発生の可能性が著しく低い自然災害は、対策をあきらめ、暮らしています。富士山の大噴火を想定すれば東京には住めませんし、巨大隕石が落下してくる可能性を想定すれば、住める場所などありません。だから、社会通念としては、それらは、避けようがないから、容認しているわけです。
 しかし、原発などは設置しなければそれに由来する危険は避けることができます。自然災害が起きたときにその被害を壊滅的なものにする可能性のある原発による人為的な被害まで容認しているのが社会通念だと言われると、それは違うと言わざるを得ません。

 

国民は原発による人為的な被害の拡大は容認しない

 巨大地震、巨大噴火、隕石落下の可能性は著しく低いことは分かっています。しかし、発生した場合に、それがなかった場合の被害を桁違いに拡大させてしまうような原発の存在など容認しないのが、国民多数の意見であり、社会通念でしょう。
 また、
原発を狙ってミサイルが飛来する可能性、原発を標的としたテロの可能性は、著しく低いとは言えないでしょうから、原発の存在を容認しない国民が多いでしょう。それらのことは、政府与党も分かっているようです。その証拠に、原発が選挙の争点にならないよう、政府与党は関係する選挙のたびに争点隠しをしています。

仮に住民投票をすれば、どこの地域でも原発の早期撤去を求める側が勝利するでしょう。

 

 事故対策の費用、使用済み燃料などの核廃棄物の処分の問題、原子炉等を廃棄した場所などはほとんど永久に使用できないこと等を考慮すると、原発が経済的に有利かどうかにも疑問が生じています。電気料金が多少高くなることなど、破滅の不安に比べれば小さいものでしょう。

 真剣に子や孫の将来を考えて議論していただきたいと思います。

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 報道によると、今日1023日は150年前に元号が慶応から明治に改められた日にあたるということで、明治維新150年を祝う政府の記念式典が永田町の憲政記念館で開かれ、与野党の国会議員や各界の代表者ら約350人が出席しました。

驚いたことに、天皇陛下のご出席はなかったとのことです。宮内庁では「政府からお声がけがなかった。」(西村泰彦次長)としていますが、にわかに信じられません。

50年前、佐藤栄作内閣のもとで開かれた明治100年式典の際は、昭和天皇と香淳皇后が出席されています。普通なら、今回も天皇、皇后両陛下のご臨席をお願いするのではないでしょうか?

 

皇室と現政権の間に確執か?

 本当に内閣が皇室に何のお声がけもせずに開催したとしたら、皇室に対して信じがたいほど失礼、不敬なことで、さすがにそれは考えられない気がします。

 そうであれば、宮内庁を通じた相談の結果、天皇陛下の不参加が決まったか、内閣の参加要請を天皇陛下が固辞されたか、いずれかでしょう。

 共産党は、明治150年の前半は侵略戦争と植民地支配に向かった負の歴史で丸ごと祝うようなものではないことを理由に不参加だったようです。また、50年前と違い、今は明治維新に対する否定的な意見も多くなっています。

 『「明治維新という過ち」(改訂増補版、原田伊織)を読んで

 

天皇陛下の不参加は、これらと同じ理由ではないでしょうが、国内のこのような意見、中国、韓国などの反応に配慮して、あまり大きな行事にすることを避けたのかもしれません。

別の可能性としては、安倍政権がこのイベントを利用して憲法改正に弾みをつけるなどの意図があると読み、政治利用されることを避けられたということも考えられます。

また、譲位の件などで安倍内閣が天皇の御意向を無視、軽視してきたことに対する反発も考えられます。

 

 いずれにしても、国内国外からこのような憶測を呼ぶ不参加です。それを想定していなかったとは思えないので、このような反響を予測した上での不参加でしょう。

 いずれ真相が明らかになることを待っています。

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