地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2018年12月

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 平成301221日付け「超過勤務命令の上限の設定等に係る条例参考例の送付について(通知)」という総務省自治行政局公務員部公務員課長からの文書が、県を経由して我が小規模自治体にも届きました。

 働き方改革によって民間に導入される規制と同程度の規制を地方公共団体でも設けるという趣旨です。このことは、準備を促すための予告の事務連絡が事前に来ていました。

 「超勤管理の難しさ」 参照

 

条例参考例の内容

 条例参考例によると、条例では時間外勤務についての必要事項は規則に委ねる旨の改正だけで、細部は規則で定めることになっています。規則の内容は、人事院規則の改正案がまだ示されていないので、それを待たなければなりませんが、次のような内容が想定されています。

⓵ 上限時間の適用が除外される職員の範囲

② 上限時間を超えてもいい場合(災害対応等)

③ 上限時間を超えた場合の事後の検証

 

 この「事後の検証」は、従来にないアプローチなので、人事院がどのような仕組を作るのか注目しています。

 

「事前命令の徹底」は功罪あり

 上限を設定すれば、事前命令を徹底しなければならないでしょう。前稿でも論じましたが、事前命令の徹底は業務量を減らすこととセットで行わなければ、職員を苦しめたり、持ち帰り残業を増やしたりすることにつながりかねません。

 条例、規則の改正は簡単ですが、地方公共団体の人事当局としては、運用に十分な注意が必要です。

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 大河ドラマが好きで、何十年もずっと見ています。テーマ音楽を聞くと、「土日が終わっちゃったな。」「明日からまた1週間仕事だな。」という少しもの悲しいような気持ちになります。

 

「西郷どん」はおもしろかった!

私は、明治維新には否定的な気持ちが強く、戊辰戦争など不要だったと思っています。その明治維新の暗い面をどのように描くのかということにも興味を持って視聴していました。

そんな中で、薩長側が幕府討伐の勅書を偽造し、ならず者を使って江戸で商家を襲うなどのテロを起こしたことなども正直に描かれていました。また、西郷どんの廉直さを引き立てるためでしょうが、山縣有朋、井上馨ら明治政府高官が私腹を肥やしていた史実も描かれていました。

最後は明治政府によって討たれた西郷どんを主人公としたからなのでしょうが、単純に明治維新を礼賛していない点に好感が持てました。

 

ロッキード事件を思い出す

 大久保利通も私腹を肥やすようなことはしなかったようです。大久保利通の幼い子供たちも登場しましたが、それを見ていて、唐突にロッキード事件を思い出しました。

 私が高校生の時の事件で、田中角栄元総理がロッキード社から賄賂をもらったというものでした。その際、仲介役の丸紅商事の会長や専務が国会で証人尋問されていました。その丸紅の専務が大久保という姓で、大久保利通の孫とテレビで紹介されていました。「祖父譲りの端正な顔」とも紹介されていました。

 

 幕末、明治維新のころの歴史は、まだ生々しさを残したまま現在につながっていることを感じました。会津をはじめ、賊藩とされて辛酸をなめた地域の人たちの複雑な気持ちは残っています。政府には、そのことを理解した上で行動していただきたいと思います。

関連記事

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 『かなり正直な「西郷どん」2 結局勝ったから官軍』

 『「明治維新という過ち」(改訂増補版、原田伊織)を読んで』

 『平成の薩長同盟?』

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日本政府が商業捕鯨を再開するため国際捕鯨委員会(IWC)を脱退することを決定し、表明しました。

 たしかに、IWCの現在のあり方は、海洋資源の有効活用という目的を逸脱し、感情的な捕鯨反対論に支配されていることは知っています。また、水産庁などが捕鯨再開に向けた努力を続けてこられたことも理解しています。しかし、今ここでIWCを脱退してしまうことは、日本にとって失うものの方が大きく、国益に反するのではないかと思います。

 私も、小学校の給食で鯨肉を喜んで食べ、鯨汁も大好物です。しかし、高価ではありますが、今でも食べられないわけではありません。食糧難の時代と違い、今は鯨を食べることがどうしても必要だというわけではありません。

 

商業捕鯨再開のメリットは?

 一般国民にとってのメリットは、鯨が少し安くなるかもしれないことくらいでしょう。捕鯨に携わる事業者にとってはメリットがあるでしょうが、ごく一部の地域の一部の事業者だけなのではないでしょうか?
 政権にとっては、移民を容認するような入管法改正でぐらついている右派(政権のコアな支持層)の支持を取り戻す狙いもあるのかもしれませんが・・・。

 

デメリットは大きい!

 日本は太平洋戦争後、国際協調を大切にしてきました。多くの国で日本に対する好感度が高いのは、その賜物でしょう。ここで国際機関をいきなり脱退することは、世界の信用を失います。日本も、自国第一主義のトランプの米国、中国、北朝鮮などの同類だと思われてしまうのではないでしょうか?

 また、IWC脱退により、南氷洋での調査捕鯨も一切できなくなるようです。資源を管理していく上でも、南氷洋での調査ができなくなることは、痛手でしょう。

 

周到な準備があるのか?

IWCを脱退するならば、事前に周到な準備が必要です。

報道によれば、一部の自民党有力議員の強引な圧力に官僚が押し切られたようです。

日本は、IWCとは別に国連海洋法条約も締結しています。それによって、鯨の保護に関する協力を「その保存、管理及び研究のために適当な国際機関を通じて」行うよう義務付けているようです。IWCにオブザーバーとしてとどまって資源管理に協力すると言っているようですが、それで理解が得られるのでしょうか?それで済まなければ、日本は、新たな国際機関を設立するか、北大西洋海産哺乳動物委員会(NAMMCO)のような既にある海洋資源管理の国際機関に加盟する必要があります。

IWCを脱退するなら、少なくともそのような根回しをしたうえで脱退すべきだったのでしょうが、その様子は不明です。まさか、それは検討中などというお粗末な話ではないと期待しているのですが・・・。

 国民への十分な説明や議論もなく、重要なことが決められてしまったようです。最近は、こんなことばかりです。

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 平成があと数か月で終わろうとしています。終わりの時期が明確に予定されている今回のような終わり方は、過去に例がないので、各方面で様々な工夫、苦肉の策が講じられています。

 運転免許証のように、西暦表記に切り替える動きもあります。今回の改元のやり方が、西暦使用への動きにつながっているようです。

 

公文書は西暦表記を原則とすべき

 私は、公文書の表記は、西暦を原則とするよう変更すべきだと思います。

 こんなことを言うと、天皇制を否定していると誤解する人もいるかもしれませんが、私は天皇陛下や皇族の皆さまを敬愛しています。天皇制は絶対に存続してほしいと思っています。そもそも元号を天皇の在位と結びつけたのは、明治以降です。天皇制そのものとは、関係ありません。

 また、元号を廃止する必要もないと思います。ただ、公文書やビジネス文書は、西暦で統一しておかないと不便です。

 

元号の不便さ

 私の過去の事件は、すべて元号で記憶されています。生まれたのは昭和〇年、大学に入学したのは昭和〇年、県に就職したのは昭和〇年、長女が生まれたのは昭和〇年、長男が生まれたのは平成〇年、県を退職したのは平成〇年などです。すぐに西暦で言い換えられるのは、自分の生まれた年と、県に就職した年くらいです。県に就職した年は、職員コードに西暦の下二桁が使われていたため、覚えてしまったという特殊事情です。

 仕事に関する記憶も、〇〇課にいたのは平成〇年度というように元号で記憶されています。異なる元号の間の年数を考えるときなど、これは非常に不便なことです。

 

国際化への対応にも支障

 今後、好むと好まざるとにかかわらず、国際化はますます進むでしょう。元号を使用していること自体、日本の国際化にマイナスです。

 さらに、元号使用による社会全体の不効率は、国際競争の上で足かせになります。

 

 元号を廃止する必要はありませんが、この機会に、公文書などは西暦使用を原則とすべきです。

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 いわゆる働き方改革に伴う労働基準法の改正により、20194月から、使用者は、労働者(年間10日以上の年次有給休暇を付与されている者に限る。)に年間5日以上の年次有給休暇を取得させることが義務付けられます。「有給休暇取得の義務化」等と報道されていますが、国家公務員だけでなく地方公務員も適用が除外され、対象外となっています。

 しかし、働き方改革の趣旨を尊重し、実質的に同等の対応を取るため、人事院職員福祉局から各省庁に「計画表の活用による年次休暇及び夏季休暇の使用の促進について(通知)という文書が出されました。それが、総務省、県経由で、我が小規模自治体にも参考として通知されました。

 ただ、総務省からの事務連絡は、非常勤職員に対する結婚休暇の新設等の通知の中に付け足しのように付いているだけです。見落としそうになりました。

 

国家公務員の対策のポイント(引用)

○ 各省各庁の長は、一の年において10日以上の年次休暇を使用可能な職員に対し、5日以上使用できるよう配慮を行う。

○ 各省各庁の長は、毎年9月末日時点で当該年の年次休暇の使用日数の累計が5日に達していない職員について、年次休暇の使用を促すとともに、当該年において5日以上の年次休暇を使用することができるよう配慮を行う。

※ 年初において、職員が、育児、介護その他の事情により、5日以上の年次休暇を日を指定して使用することを希望しない場合を除く。

 

 具体策として、年初に計画表を作成し、また、夏季休暇の前後に取得して連続した休暇、記念日や行事に合わせた休暇使用等に配慮することとされています。

 施行は、平成31年1月1とされています。これは、国家公務員の年休が暦年単位で付与されるからでしょう。

 

我が自治体も

 我が自治体も、早速、新年から、計画表を庁内LAN上に作り、職員の年休取得を促進することになりました。これまで、年休をほとんど取得しようとしない職員もいたので、効果を期待しています。

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