地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしています。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2019年02月

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 沖縄の辺野古基地建設の賛否を問う県民投票224日に投開票され、「反対」が72.15%の434273票となりました。この数字は、投票資格者数(1153591人)の4分の1である「288398人」を超え、新基地反対の民意が明確な数字として示された形です。「民意」は、知事選の結果などでも示されていたわけですが、知事選などは様々な要素が入り込むので、この結果が、基地問題一点に絞った明確な民意です。

 

傲慢な姿勢は許されない

 政権側は、「真摯に受け止める」と口先では言いながら、工事はこのまま押し進める姿勢です。なにも「真摯に受け止めていない」ことは明確です。少なくともいったん工事を中断し、議論のテーブルに着かなければなりません。

 工事を進めながら、「理解を得ることに努める」などは、結論を変えるつもりがないままアリバイ工作的に交渉のテーブルに着くだけで、ごまかしでしかありません。このまま強行すれば、まるで植民地に対する態度のようです。沖縄県民の日本という国への帰属意識に重大な悪影響を及ぼします。そうなった場合、喜ぶのは、沖縄に対する野心を隠そうともしない某国ではないでしょうか?
 また、鳩山元首相が、この件について政権に注文めいた発言をすることも許せません。事をこじらせた張本人は、恥を知って静かにしているべきだと思います。

 

米軍基地の必要性は理解しているが・・・。

 私は、米軍基地の必要性は理解しているつもりです。普天間基地を縮小、移転しようとした場合、どの選択肢も著しい困難が伴うことも理解しています。それでも、工事を中断して議論のテーブルに着くべきです。

 

 憲法第95は、「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、法律の定めるところにより、その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することができない。」と定めています。もちろん、憲法のこの条文は、今回のケースには該当しません。しかし、憲法のこの考え方は、政府によって遵守されるべきだと思います。

 ある地方にばかり負担を負わせる施策は、その地域の住民の理解を得なければなりません。これをしなければ、日本も中国、北朝鮮、ロシアと同列です。

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 地方自治体も、未納の税金などの公的な債権、財産の貸付料などの私法上の債権など、様々な未収金を抱えています。これらの多くは、回収が極めて困難な、不良債権です。これがあると、監査などで指摘されるので、無駄だと分かっていても徴収の努力を続けなければなりません。

 監査する側も、費用対効果という面からは放置したほうが得策であることは半ば承知のうえで、立場上指摘を続けるような場合もあります。

 

私が関わってきた不良債権

 私が関わったこれまでの自治体の仕事の中でも、税金など以外でも様々な未収金がありました。

 庁舎の使用許可を受けて食堂を経営していた業者が倒産して光熱水費などの分担金が未収になったもの、退職手当を支払った後で不祥事が発覚して返還手続をしたものの未収になったもの、ある共済事業で詐欺によって共済金の支払を受けたことが発覚したもの、県立病院の診療費などです。

 これらは、いずれも、発生した直後には全力で回収を図りましたが、結局、未収のまま不良債権になってしまったものです。破産の手続などが行われればいいのですが、行われない場合が多い状況です。

 地方自治体にとっては、債務者が遠隔地に逃げてしまうと、お手上げです。回収できる見込みが薄い場合に、多額の出張旅費をかけることは、結局、損害を大きくしてしまうからです。

 

債権回収の仕組を!

 全国的な債権回収の仕組ができないものかと思います。

 債権回収機構のような組織に、全国の自治体で発生した回収困難な債権を集め、回収するのです。回収できた債権の一部を機構が受け取って運営費とするのです。

 少額の債権は、全額を機構の取り分としてもいいと思います。少なくとも、逃げ得は許さないことになります。

 民間の債権回収業者に委任したり、債権譲渡したりできるようにするのも一案です。この場合、未納者のところには怖いお兄さんが訪問することになりそうですが、未納を防ぐ効果は高いかもしれません。

 やはり公的な債権回収機構を作るべきだと思います。逃げて請求を無視し続ける債権者がいることは、不公平だと思います。

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 東京メトロの子会社「メトロコマース」の契約社員として、駅の売店で販売員をしていた女性4人が、正社員との間に不合理な格差があるとして損害賠償を求めていました。一審の東京地裁では、ほとんどの訴えが認められず、東京高裁に控訴していたのに対し、東京高裁は20日、「長期間勤務した契約社員に退職金の支給を全く認めないのは不合理」として、一審の判決を変更し、4人のうち2人に45万~49万円の退職金を支払うよう命じました。

 報道によると、住宅手当や勤続年数に応じた一時金(褒賞)、退職金の一部などは支払うべきだとした一方、基本給や賞与などについては、正社員と同じように支払うべきという主張は認めず、請求を棄却したとのことです。非正規社員には退職金が支給されないケースが多く、支払いを認めた判決は初めてのようです。

 

自治体への影響は?

 「同一労働・同一賃金」ということから、不合理な差別が禁止されることは当然です。

一般に、自治体の非正規職員は、「非常勤」という形で勤務時間が正規職員より短く設定されている人が多く、直接の影響はないと思われます。しかし、勤務時間が正規職員と同じだったりする場合には、住宅手当等の不支給が不合理とされる可能性があると思います。また、将来的には、勤務時間が多少短いからといって全く支給しないという扱いも、不合理とされる可能性もあるのではないでしょうか?

退職手当については、現在も、多くの自治体の条例では、非正規職員でも勤務時間が正規職員と同じならば、年数に応じて支給されるようになっています。

 

会計年度任用職員は?

 現在総務省から示されている「会計年度任用職員制度の導入等に向けた事務処理マニュアル」では、フルタイムの会計年度任用職員には、時間外勤務手当等、通勤手当、期末手当、退職手当は、適切に支給することとされています。また、特殊勤務手当等の職務給的な手当、地域手当やへき地手当等は、勤務形態や地域の実情等に応じて、適切の判断することとされています。

 しかし、「上記以外の手当」については、「支給しないことを基本とする」とされています。住居手当などは、方針変更を要するかもしれません。

 

 私が定年前に在職していた県庁、現在在職している小規模自治体とも、非正規職員が「正規職員と同じ仕事をしている」という実態にはありません。仕事の内容、性質は、異なっている職場がほとんどです。県の一部の職場(県立病院等)では、正規職員以上の仕事をしている非正規職員もおられましたが・・・。

 現在の職場では、今回の判決によって直ちに見直さなければならない点はないだろうと思いますが、今後の動向を注視したいと思います。

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 年度末が近づき、我が小規模自治体でも各担当者が新年度の契約の準備をしています。

 毎年繰り返される契約は、おおむね前年と同じように準備すればいいわけですが、今年は少し頭を悩ませる要素が二つあるようです。元号の問題と消費税の問題です。

 

年号の表記

 例えば、契約期間の始期は平成31年4月1日として、終期をどのように表記するかという問題です。

 これは大きな問題ではありません。平成32年3月31と表記しても、2020年3月31と表記しても、どちらでもいいでしょう。終期だけ西暦で表記することがカッコ悪いと思えば、両方を西暦表記とすればいいでしょう。周辺自治体の様子を探ると、平成32年3月とか平成3110月とか、改元の予定を無視した表記をするところが多いようです。それが一番簡単なのでしょう。

 いずれにしても契約の効力、内容には影響しません。

 

消費税の税率の問題

 201910月から消費税の税率が8%から10%に引き上げられる予定になっています。契約金額をどうするかに悩む担当者も多いようです。

 ある自治体では、次のような複数の対応策を示し、どれを選ぶかは契約の性質に応じて担当課で判断せよという対応を採っているようです。

 まずA案は、普通に8%で計算した金額で契約し、契約の中に「消費税率の改正があった場合には、改正日以後に変更契約を行う。」等の文言を入れておくやり方。この方法では、税率が改正された際には変更契約と、変更支出負担行為が必要になります。

 B案は、9月までは8%、10月以降は10%で計算した金額で契約を結ぶやり方。この方法では、予定どおりに消費税引き上げが行われた場合、追加の手続は要りません。

 C案は、契約書の契約金額は税抜き金額を表示し、支払う際には消費税を上乗せして支払う旨を表記しておくやり方。この方法では、変更契約は行う必要がなく、支出負担行為も10月以降は税率10%で計算した額で積算しておけば、変更は不要でしょう。

 最後にD案は、普通に8%で計算した金額で契約し、契約の中に「消費税率の改正があった場合には、改正日以後における消費税は改正後の消費税率を適用する。」等の条項を加えておくやり方。この方法も、C案と同様、変更契約は不要で変更支出負担行為も不要と思いますが、明記されている金額と別の金額を支払ったり支出負担行為をしたりすることに違和感があるかもしれません。

 

 私の考えでは、A案は相手方にも余計な負担を負わせるので良案ではありません。B案は、4月の統一地方選挙や7月の参院選で与党が大敗して消費税アップが見送られた場合、後始末が面倒なのでお勧めできません。

 一般的にはC案がベストかなと思いますが、各担当者は、契約の内容に応じて検討されていることと思います。

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 年度末が近づいてきました。今年は、331日が日曜日に当たり、地方自治体の一般的な職場は閉庁日となっていて、職員は普通はお休みです。

 しかし、その日に職員が出勤して執務したかのように偽装する公文書が、大量に作成されることと思います。

 3月31日が契約期間の末日または履行期限となっている各種契約に係る代金の支出命令について、履行確認(検査)を3月中に行ったことにしなければ、旧年度予算での支払いができないという総務省(旧自治省)の指導があるのです。

 例えば、41日から331日までを契約期間とする警備委託、機器の保守管理委託で、3月分の代金を支払うには、4月1日午前0時の直前まで適切に委託業務が履行されていたことを確認する必要があります。それは、41日以降でなければ不可能です。

 それにもかかわらず、相手方に代金を支払うための支出命令決議書には、3月中に履行確認をしたことにしなければ、旧年度予算での支払いができないのです。そのため、真面目な地方公務員も、3月31日の日曜日には出勤などしなくても、その日に履行確認をしたという虚偽の記載を余儀なくされています。深く考えずに出された旧自治省の通知等が原因です。

 3月中に履行されたことを4月に確認すればいいことです。

 詳しくは「3月31日の履行検査 虚偽の日付記載」

 

 このようなことを繰り返すことによって、公務員は、日付を遡った公文書を作成したりすることに罪悪感がなくなってしまっていることも大きな問題です。公文書に虚偽の日付を記載することは、犯罪です。

 我が自治体独自でも是正したいところですが、国の会計検査が入った場合のことを考えて躊躇しています。総務省が、このような犯罪を生み出している指導、通知を早期に是正されるよう希望しています。

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