地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2019年02月

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 「なぜ我が国の首相はこんなに言葉が軽いのだろう?」と思ってしまいます。よく考えずに思いついたまま発言してしまうからこうなるのでしょう。

安倍首相は2月10日の自民党大会で、自衛官の募集をめぐり、「都道府県の6割以上が協力を拒否しているという悲しい実態がある。」と発言しました。12日の衆議院予算委員会では「正しくは都道府県と市町村だ。」と修正しているそうですが、それも事実ではありません。ほとんどの自治体は、協力しています。

自衛隊は違憲だから協力しないなどという自治体は、ほとんどないでしょう。

 

自衛官募集事務

 私は、県に在職中、自衛官募集事務を担当する係長を務めたことがあります。

 自衛官募集事務などのため、各都道府県に「〇〇県自衛隊地方連絡部」という組織が置かれていました。「地連」と略称されていました。今は、「自衛隊地方協力本部」という名称に替わっているようです。

 その組織が県や市町村の協力を得て、自衛官の募集事務を行っています。

 県は、住民基本台帳を直接に管理していないので、協力できることも限られていました。市町村の担当者を集めた説明会を開催したり、庁舎への懸垂幕で募集の広報をしたりなどです。それでもできることは誠実に協力していたつもりです。

 

首相発言に不快感

 私のように、募集事務を外れてから20年も経ったOBですら、首相の発言は不愉快でした。まして、現在その事務を担当している県や市町村の職員は、もっと不愉快でしょう。

 窓口になっている地方本部の職員に文句を言うべきことではないことは、理屈では分かっていても、つい「私たちは、何も協力していませんかね?」などと嫌みの一つも言いたくなってしまうでしょう。

気の毒なのは、首相の発言を謝罪しながら協力を依頼する羽目になった地方本部の職員(自衛官等)の皆様です。彼らは、「余計なことを言ってくれた!」と首相を恨んでいるかもしれません。

 

 本当に自衛隊のことを大切に思っているなら、改憲よりも、自衛隊がアメリカの戦争に巻き込まれないため、有事には自衛隊は米軍の指揮下に入るという日米地位協定の密約(指揮権密約)の見直しの方を優先させるべきでしょう。
 「憲法改正は時期尚早」
 『「知ってはいけない」(矢部宏治)を読んで』

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 地方公務員の新採用職員用テキストとして使用されることが多い「地方公務員 フレッシャーズブック」(第4次改訂版)の誤っている箇所について、1年前にこのブログで注意喚起させていただいていました。あの記事は、第4次改訂版の第2刷をチェックした結果のものでした。
 「新採用職員研修のテキストに注意1」
 「新採用職員研修のテキストに注意2」

平成31年度の新採用職員研修の準備として、同テキストの最新版(第4次改訂版の第4刷)が配られたので、早速チェックしてみました。誤っていた箇所のうち、簡単に訂正できる箇所がかなり訂正されていますが、まだ、誤りも残っており、古すぎる部分もあるので、早めに改訂していただきたいと思います。

20204月から施行される地方公務員法等の大改正(会計年度任用職員等)に対応させなければならないので、それに合わせた抜本改訂が必でしょう。そのついでに、誤り、古すぎる内容等も直していただきたいものです。

 

訂正された箇所

「休息時間は、労働基準法によるものではありませんが、従前の国家公務員の例に準じて、午前・午後それぞれ15分間の休息時間を条例で定めているのが一般的です。」という誤った記載が訂正され、一般の公務員では廃止されている旨が明記されました。

また、前稿では指摘しなかった点で、「職階制」とか「勤務成績の評定」などの記載が、「人事評価」等に訂正されています。

旅費について、「運用上は概算払をすることが普通です。」という記載が、「運用上は概算払をすることが多いようです。」に訂正されました。しかし、旅費については、件数では日帰りの旅行が圧倒的に多いと考えられ、概算払をすることが多いとは考えられません。

 

支払遅延防止法に関する誤りはそのまま

 テキストでは、「地方公共団体が契約の対価を支払うのは、給付完了の確認又は検査を終了した後、相手方から適法な支払請求書を受理した日から、原則として工事代金については40日、その他の対価は30日以内とすることとされています。」とされています。

前稿で指摘したとおり、「政府契約の支払遅延防止等に関する法律」では、契約書を作成する場合は対価の支払の時期を明示することとし、その明示すべき時期として、「適法な支払請求書を受理した日から、原則として工事代金については40日、その他の対価は30日以内」としています。また、定めをしなかった場合は、相手方が支払請求をした日から15日以内の日と定めたものとみなすこととされています。単純に、40日、30日以内に支払えばいいものではないのです。

新採用の職員が、単純に30日以内に支払えばいいと思ってしまうと困るので、職員に配付する際は、注意が必要です。

 

 また、文書事務等についての内容の古さは、変わっていません。

 2020年度の新採用職員研修には間に合うよう、抜本改訂していただきたいものです。

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 2019年2月8日、山下法務大臣が、所有者不明土地の対策について、214日に予定されている法制審議会に諮る考えを述べたという報道がありました。
法制審議会への諮問のポイントは、次の4点とのことです。

 ①相続登記の義務化

②土地所有権の放棄を認める制度新設

③遺産分割の期限設定

④一部の所有者と連絡が取れない「共有地」の利用

 

 私がこの報道に接して、まず感じたことは、次の3つです。

 ①今さらかよ!

 ②相変わらず縦割りで、総合的な土地政策が見えない!

 ③これまでの無策のツケを国民に押し付けようとしているな!

 

今さらかよ!

 これらの問題を検討する必要性は十分に理解しています。当然、行うべきでしょう。しかし、少子化、人口減少などに伴うこれらの問題は、10年以上前から指摘されていたことです。今まで政府は何をやっていたのかと問いたくなります。

 

総合的な土地政策を

 土地については、様々な大きな課題が指摘されています。

 離島、水源地などの土地を外国人が買い集めている安全保障上の問題、空き地空き家の問題、この所有者不明土地の問題、相続税や固定資産税の評価額が時価より高い地域が多くなっている問題などです。

 これらの問題は、同じ原因による部分も多く、各省庁が自分の担当分野について対症療法的な施策を講じても、効果は限られるでしょう。

 国として総合的な土地政策を検討し、それに沿って各省庁が施策を実施することが求められます。しかも、大至急です。

音頭をとろうとする政治家がいないことが、我が国の不幸です。
 「国土交通省の空き地空き家対策」

 「硬直した固定資産評価が地域を滅ぼす」 参照
 

無策のツケ

 少子高齢化、人口減少など、何十年も前から予測できたことです。それにもかかわらず、乱開発を続け、市街地を拡散させてしまいました。

 今に至ればやむを得ないかもしれませんが、単に相続登記を義務付けたり、所有権放棄を認めるなど、無策の極みです。土地の効用、財産的価値を守ろうとする施策は、検討しないのでしょうか?

 

 政府には、総合的な土地政策を早急に検討していただきたいものです。日本が衰退していくのを指をくわえて見ていたくはありません。

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 確定申告が来週月曜日(2月18日)から始まります。

 私は、主たる給与所得のほかに僅かばかりの委員報酬や不動産所得などがあるため、確定申告をしなければなりません。そこで、昨日(2月10日)までの三連休に所得の計算を終わらせてしまおうと思っていたのですが、1件、源泉徴収の支払調書が届かず、できませんでした。ほかの関係の源泉徴収票等は全てそろったのですが・・・。

 昨年11月にある県の研究会で我が小規模自治体の取組を説明した時の旅費です。旅費など源泉徴収をしなくていいような気がするのですが、一部交通費以外の日当が含まれているため税務署からの指導があったとのことで、全体の1割ほども源泉徴収されていました。ほとんどが交通費(必要経費)なので、ほぼ全額が還付されるはずです。お互いに無駄な手間だと思います。

 

源泉徴収票などの発行時期

 所得税の確定申告は、通常、216日から3月15日の間にすることになっています。しかし、還付申告については、それよりも前に行ってもいいことになっています。

 サラリーマンが確定申告をするのは、還付を受ける目的の場合も多いはずです。2月16日に間に合えばいいわけではなく、遅くとも1月中、できれば1月前半にはいただきたいものです。

 地方公共団体に限らず、一般に事業所では、12月の最後の給料で年末調整をし、12月中か1月の初めには職員に給与所得に係る源泉徴収票を発行するでしょう。

 庶務担当者がお忙しいことは分かりますが、職員に対する給与所得に係るもの以外の源泉徴収票(委員報酬など)や支払調書(講師謝礼など)も、遅くとも1月中には相手方に届くように発行しなければ、相手方の迷惑になります。

 

 昨年は、我が家も台風でかなりの被害を受けたので、雑損控除による還付を期待しています。遅れている支払調書が届いたらすぐに申告しようと思って、手ぐすねを引いて待っているところです。

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 不動産の管理が大変なため、土地や家屋の相続をしたがらない等の問題が全国で発生しています。固定資産税の負担も一因になっています。

 

ある地方都市の例

 ある地方都市の中心部から少し外れたところに、昔からの商店街があります。昭和の時代まではそれなりに栄えていたのですが、平成に入り、周辺に郊外型の大型店がたくさん進出したため、衰退していきました。10年ほど前からは半数以上の店舗がシャッターを閉めている状態です。

 売りに出されている店舗(併用住宅)も多いのですが、買い手がほとんどいなく、時々成立する売買は、ただ同然の価格(十分に使用可能な敷地200㎡程度の店舗併用住宅が全体で30万円など)です。所有者が、固定資産税などの維持費に耐えかねて、投げ売りをしている状態です。

 買い手には、外国人も含まれています。こんな地方都市は、全国にあるようです。

 

固定資産税の評価

 土地や家屋に係る固定資産税は、地方税法第341条、第349条で、「価格」(適正な時価)を基準として課税されます。具体的には、総務大臣の定める「固定資産評価基準」に基づいて市町村が評価します。

 土地については、実務上、地価公示、地価調査等の価格の7割を固定資産評価額とすることになっています。

 地価公示、地価調査等の価格は、バブル崩壊以後、下落を続けている地方都市がほとんどですが、その下落の度合いが実態とかけ離れ、極めて緩慢なのです。売買実例価格がピーク時の1割に下落していても、地価公示等の価格は半分程度にしかなっていないようです。その7割に設定された固定資産評価額は、売買する時に成立する価格を大幅に上回ることは当然です。

 

時価を上回る評価は違法

 最高裁では、平成25712日判決などで、固定資産評価基準に基づいて算定された価格であっても「当該土地の客観的な交換価値としての時価を上回るとき」は違法という判断が定着しています。この判断は、固定資産税の性格から、当然の判断です。

 市町村とすれば、国(地価公示)や都道府県(地価調査)が悪いと反論したいところだろうと思います。しかし、これに基づいて課税する以上、課税する価格についての説明責任は市町村が負わなければなりません。

 

 高すぎる固定資産評価が、衰退した地域に追い打ちをかけ、投げ売りを招いています。市町村が、滅びゆく地域に引導を渡しているような構図です。

 市町村は、自らの評価に責任を持ち、求められればその価格で不動産を購入するような制度を導入すべきではないかと思います。

 「国土交通省の空き地空き家対策」参照

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