地方自治日記

地方自治に誠実に取り組んできた県職員OBです。県の市町村課に長く在職したほか、出納局、人事委員会などのいわゆる総務畑が長く、自治制度等を専門分野としてきました。県を退職後も、時々、市町村職員などの研修で、自治制度、公務員制度、文書事務などの講義もしていました。 単に前年どおりに仕事をすることが嫌いで、様々な改革・改善に取り組んできました。各自治体の公務員の皆様には、ぜひ法令を正しく合理的に解釈し、可能な限り効率的、効果的な行政運営をしていただきたいと願っています。

2019年04月

 「定足数」の意味、誤った事例などを紹介します。

 定足数は、地方議会のみならず、何かを決定する権限のある合議体には、大抵定められています。地方自治法などに明確に定義されているわけではありませんが、一般に、「合議体が会議を開き、議事を行うための必要最小限の出席者数」と解されています。


地方自治法による定足数

 〔定足数〕

第113条 普通地方公共団体の議会は、議員の定数の半数以上の議員が出席しなければ、会議を開くことができない。但し、第117条の規定による除斥のため半数に達しないとき、同一の事件につき再度招集してもなお半数に達しないとき、又は招集に応じても出席議員が定数を欠き議長において出席を催告してもなお半数に達しないとき若しくは半数に達してもその後半数に達しなくなつたときは、この限りでない。

 〔評決数〕

第116条 この法律に特別の定がある場合を除く外、普通地方公共団体の議会の議事は、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

 前項の場合においては、議長は、議員として議決に加わる権利を有しない。

 

 条文の見出しには、法令が初めから定めた見出しと、法令には定めていないけれど法令集の編者が分かりやすいように勝手につけた見出しの2種類があります。これは後者です。自治法自体は、「定足数」とは言っていないのです。

 「法令の条文の見出し」

 

 第113条では、「会議を開くことができない。」と規定しています。

 第116条では、「出席議員の過半数でこれを決し」と規定しています。

 定足数を満たし、開催したところ、途中で帰る議員がいて、議決の時には定足数を欠いていた場合、その議決が有効か否か、この部分だけを見比べても明確ではありません。

 しかし、定足数は、会議を開始できる要件であると同時に、有効に継続できる要件であるとされており、議決の際に定足数を欠いていた場合、その議決は無効です。

 

職員団体の総会での誤った事例

 地方議会で、この定足数の扱いを誤った例は聞いたことがありませんが、職員団体(組合)の総会でこれを誤った例は近隣自治体の職員団体であります。

 どこの自治体の職員団体の規約でも、総会の開催は構成員の過半数(又は半数以上)の出席がなければできず、出席者の過半数の賛成で決定等と定められています。

 この団体では、会議を始める時に定足数に達していれば、その後退席者が出て定足数を欠いても大丈夫だと誤解していました。また、総会の出席者確保に苦しんでおり、出席者に弁当を配っていました。しかし、出席者の中に、弁当だけもらって総会開会後そっと抜ける者がいて、議決の時点では定足数を欠いていることがありました。

 ある時、そのことが公平委員会にバレて、その総会で選出された執行委員長ほかの役員の選任が受理されず、1年間、無効な役員体制でこっそり活動していたようです。

 

 定足数は、会議を始める要件であるだけでなく、有効に開催し続ける要件でもあることに注意が必要です。このことは、自治体の議会だけでなく、特別な規定がない限り、他の合議体も同様です。

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 副題に、「人口減少×高齢化×資本主義」と記されています。

 本書は、人口減少と高齢化が進む中、日本が今すぐに適切な対応をとらなければ三流国になってしまうとして、その対応策を示しています。

ここに示されている現状分析、対応策は、非常に論理的で説得力がありますが、今の日本の経営者、為政者は反発したくなるでしょう。

 

本書の主張

 国の経済を成長させるためには、人口を増やすか、生産性を高めるしか方法はありません。人口が減少していく中で、経済規模を維持していくためには、生産性を高めるしかありません。アメリカのように、移民受け入れによって人口増加を目指すのでなければ、生産性を高めるしかないのです。

 日本の生産性が低いことは、しばしば指摘されていますが、労働者の生産性は、世界銀行のデータ(2016年)によると29位で、先進国最低水準です。また、日本では中小企業で働く労働者の割合が高いこと、小規模な企業ほど生産性が低いこと等のデータから、生産性を高めるには、企業の統合を進めるのも有効です。

 生産性を高める最も直接的な方法は、最低賃金を上げることです。最低賃金を上げると企業倒産が増え、失業者が増えて、経済にマイナスになると主張する人が日本には多いのですが、それは新古典主義による錯覚だとのことです。

 イギリスなどでは、生産性を高めるために最低賃金を導入し、それがかなり成功し、また、失業も減少したという前例もあるようです。韓国が2018年1月に最低賃金を一気に16%も引き上げて失敗していますが、あんな極端なことをすれば無理が生ずることは当然で、あんなやり方をせず、イギリスのようにすればいいだけのことです。

 最低賃金を引き上げ、労働力を生産性の高い企業に誘導する。賃金引き上げに耐えられない企業は廃業に追い込まれるかもしれませんが、社長の数が減るだけで、失業は増えないでしょう。卓越した技術を持つ中小企業は、生き残るか、M&Aなどによって技術は承継されるはずです。企業の数を維持する必要はないとの主張です。

 

 私は、日本の最大の課題は人口減少等への対応であり、すべての政策をその方向に向けるべきで、それに逆行するような出入国管理法の改正には反対しています。

 「入管法改正は戦略を欠いた場当たり政策」 参照

 

 本書を読み、我が意を得たりという気持ちです。本書が多くの人に読まれてベストセラーを続けていることをうれしく思います。

 日本の政府が、労働力が不足しているから外国から安い労働者を受け入れるというようなその場しのぎの政策をやめ、一日も早く、論理的、戦略的な政策を実施されるよう願っています。

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 会計年度任用職員制度の導入など、2020年4月に施行される地方公務員法の改正等の対応について、アウトソーシングする自治体がかなりあるようです。正直に言って、私としては少し残念な気持ちです。

 新制度への対応について、県内の他自治体と情報交換している担当者の話によると、かなりの自治体が準備業務を民間企業(株式会社ぎょうせい など)に委託するようです。委託業務の内容は、条例、規則等の改正の支援、職員への新制度の説明会の開催などです。

 いわゆる「地方分権一括法」施行の際のことを思い出しました。

 

地方分権一括法の対応の思い出

 1999年7月にいわゆる地方分権一括法が公布され、大部分は2000年4月1日に施行されることになりました。機関委任事務の廃止などに伴い、各自治体でも多くの条例、規則の改正が必要になりました。

 当時、私は、県の市町村課の行政係長の職にありました。県庁各課、市町村等から情報収集し、改正を要する条例規則、改正点をリストアップして、市町村への情報提供、支援に努めました。

 そのころ、ぎょうせい、新日本法規などの行政系の出版社等も、ビジネスチャンスとみて市町村支援に乗り出しました。私としては、手厚く支援しているつもりだったので市町村には自力で例規の見直し等をやってほしかったのですが、一部の市町村が委託に走ってしまいました。小さな町村ばかりでなく、中規模の市でも委託したところがあり、少し残念な気持ちになりました。

 地方分権一括法の大騒ぎをきっかけに、例規の管理という根幹の仕事を外部委託してしまう自治体が増えてしまったような気がします。皮肉なことです。

 

 国が制度を頻繁に手直しすることに対応して自治体の条例や規則を改正することは、たしかに面倒な作業です。しかし、条例、規則等の管理は、地方自治の根幹です。極力、職員自らが行うべきだと思います。

 今回の地方公務員法等の改正は、地方分権一括法の施行と比べたら、それほど大変な準備を要するわけではありません。省力化の必要性は理解していますが、地方自治を担う職員の育成のためにも、自治の根幹部分はできる限り職員自らが行うべきだと思います。

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 ついにあの桜田五輪相が辞任に追い込まれ、更迭されました。東日本大震災の被災地を地盤とする自民党衆院議員のパーティーで、その議員を「復興以上に大事」と持ち上げたとのことです。

これまで数々のアホな言動を繰り返してきたので、更迭は当然といえば当然ですが、不適任であることが明白だったのに任命し、今まで在任させ続けた首相の国民無視の姿勢が批判されています。

 先週には、塚田国土交通副大臣が、不用意な発言で辞任に追い込まれています。

 福岡県知事選の自民党系候補の集会で、本州と九州を新たに結ぶ「下関北九州道路」の事業化調査をめぐり、自分が安倍総理、麻生副総理の意向を忖度したと発言したようです。

 

両者の共通点

 二人の失言には、共通点があります。

 ウケを狙って言わなくてもいいことを言ってしまったことです。狙った笑いは、普通は隠しておくべき本音をズケッと言ったときの滑稽味です。

塚田元副大臣は、総理と副総理の地元の事業だと言われれば国土交通省、副大臣としては忖度してしまうという本音、桜田元大臣は、復興よりも身内の議員の当選の方が大事という本音を漏らしてみせることによって、ウケを狙ったのでしょう。そんな本音を持っていること自体、とんでもないことだという点を分かっていなかったのでしょう。

ほんの少しの笑いを得ようとして、失敗してしまいました。発言の場には自民党支持者などの身内が多く、その人たち向けの冗談として言ったことで、多少の笑いも取れたようですが、第三者からするととんでもない発言だったという構図です。

 

私も気を付けなければ

 「泣き泣きも 良い方をとる 形見分け」(泣く泣くも良い方をとる形見分け)という古川柳があります。どんなに悲しいときでも欲は忘れない人間の本性をズバッと指摘することで滑稽味を感じさせる有名な句です。

 私も話を面白くするためにこの種の冗談を言うことがあります。

 私が失言しても社会的な影響はありませんが、この種の冗談を言うときは、それによって傷つく人がいないか、上げ足を取られないか、十分に注意が必要です。

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 新たな元号が、「令和」に決まりました。私の晩年は令和で過ごし、人生の終焉も令和で迎えることになりそうです。

 新元号の選考過程は、一切秘密にされ、他の候補などは公表されないはずだったのに、いつの間にかなし崩し的に公になってしまいました。4月1日の発表までは情報管理がうまくいっていたのが、それ以降、滅茶苦茶になってしまったようです。

 マスコミによる取材攻勢もさることながら、選考に関与した人の中に、選考過程に疑問、不満を持った人が複数いたようです。

 

首相の意向が

 今回、かなり早い時期から、出典が中国の古典ではなく、国書になるのではないかという観測が流れていました。それは、首相の意向が誰かに伝えられたか、誰かが忖度したか、首相の日ごろの政治姿勢からの観測だったのでしょう。

 最終選考の対象になったのは、中国の古典から「久化」「広至」「万和」「万保」、国書から「英弘」「令和」とのこと。「英弘」「令和」が目立つように両端に配置され、官房副長官が「国書を典拠とする案が選ばれれば、歴史上初めて」、「右端の『英弘』は企業名や人名にある」等という説明がなされたようです。かなり露骨な誘導と思ってしまいます。

 そもそもこの6つの案の中なら、うまくは説明できませんが、語の響き、字の意味などから、私も「令和」「英弘」がいいと思います。「英弘」が企業名などにあると説明されれば、「令和」しかありません。

 中国の古典に依拠するものが、こんな案しか残らなかった過程が気になります。

 

「令和」は、いい!

 選考過程でケチが付いてしまった感がありますが、私は「令和」そのものは、いいと思います。

 「命令」の「令」だなどとケチをつける人もいるようですが、私は「令夫人」「御令嬢」のような、気品のあるイメージを感じます。

 響きもいいと思います。

 

 ただ、数十年後の次回は、つまらぬ憶測を生まないよう、時の政権の意向が入り込む余地のない選考方法にしていただきたいと願っています。

 

 子や孫が生きる令和が、平和で穏やかな時代であることを心から祈念します。

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