金融庁の金融審議会の総会が9月25日に開催され、95歳まで生きるには公的年金だけでは夫婦で約2千万円が不足すると試算した老後資金報告書の撤回を決定したという報道がありました。報告書は「案」のまま公文書として残し、金融庁のホームページ(HP)に掲載を続けるとのことです。要は、棚上げ、廃案です。
総会では、今後は報告書を議題としない、来春以降に別の報告書の策定を目指すが、公的年金や老後の必要な資金額には触れないことが決められたようです。
金融審に諮問した麻生太郎金融担当相が報告書の受け取りを拒否するという馬鹿げたことをし、こんな結果になってしまいました。
議論を封殺?
たしかに、金融庁は年金を所管しているわけではありません。しかし、国民の貯蓄行動、投資行動の側面から、老後の生活費や年金のことに触れることは当然でしょう。特に資産家でもない我々一般庶民は、老後の生活費のために資産を蓄えているのですから。
金融庁でこの議論を継続しないなら、厚生労働省などがこの議論を引き継ぎ、国民も議論に参加させたうえで、今後の年金制度を検討しなければなりません。このような議論を封殺してはなりません。
報告書案に携わった人たちに同情
あの報告書案は、何も間違ったこと、突飛なことが書かれているわけではありません。よく読めば、理解できる内容です。説明不足で誤解されやすい部分があることは確かですが、その部分を修正すればいいことです。それをせずに、政治の思惑で棚上げにしてしまいました。
諮問を受けて審議した委員各位、報告書案の原案を作成した金融庁の職員の皆様は、プライドを傷つけられ、きっと悔しい思いでしょう。「やってられるか!」という気持ちかもしれません。同情を禁じえません。
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